インボイスの登録取消しの15日ルール


今回は、インボイスの登録取消しの15日ルールを確認してみましょう。

登録取消しの手続き

インボイス制度の改正で、
インボイスの登録申請やインボイスの登録を取り消す場合の手続きが、
1カ月(30日)前から15日前に短縮されました。

以下、インボイスの登録を取り消す場合の手続規定を確認します。


インボイス発行事業者が、
「インボイスの登録取消届出書」を提出した場合には、
その提出があった日の属する課税期間の末日の翌日(注)から、
インボイスの登録が失効します。

注、提出が一定期間中の場合には、課税期間の翌課税期間の末日の翌日

課税期間の末日の翌日

課税期間とは、消費税の計算期間です。

個人事業者の課税期間は、
「1月1日から12月31日まで」となりますので、
令和5年中に「インボイスの登録取消届出書」を提出した場合、
R6/1/1からインボイスの登録が失効します。

ただし、提出が一定期間中の場合は、R6/1/1に失効されません。

一定期間

「インボイスの登録取消届出書」の提出が、
「一定の日」の翌日から
その課税期間の末日までの間にされた場合には、
その課税期間の翌課税期間の末日の翌日に、インボイスの登録が失効します。

「一定の日」とは、「インボイスの登録取消届出書」の提出があった日の
属する課税期間の翌課税期間の初日から起算して15日前の日です。

事例で確認します。

事例

令和6年1月1日から登録を失効させる場合を考えてみます。
「初日から起算して」とあるので、R6/1/1からカウントします。

15日目が、R5/12/18の月曜日です。
15日「前」の日とあるため、1日前のR5/12/17の日曜日となります。

ここまでの考え方は、インボイスの登録申請と同じです。

インボイスの登録申請については、土日祝日の延長があるため、
翌日に延長すると考える場合は、R5/12/18の月曜日、
遡り計算すると考える場合は、R5/12/15の金曜日が提出期限となりますが、

「インボイスの登録取消届出書」については提出期限がないため、
R5/12/17の日曜日が一定の日となります。


2023/8/4_追加
国税庁、適格請求書等保存方式の概要、令和5年7月、
P18に次の記載があります。

(当該翌課税期間の初日から起算して、15日前の日までに提出する必要があります。15日前の日が土日祝日に該当する場合でも、その翌日に延長されません。)。

国税庁、適格請求書等保存方式の概要、令和5年7月

国税庁、インボイス制度において注意すべき事例、
P3ページに「インボイス発行事業者の登録・取消しに係る手続の日数計算」が公表されています。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/0023007-071.pdf

登録申請手続きについては、「12月17日までに提出しなければならない。」とあり、これは経過措置期間中の「登録希望日」には期限延長が適用されないからだと考えます。

経過措置が終わると登録希望日の記載が不要となるため、期限延長の内容が加わると考えましたが、期限延長の内容は記載されていません。推測ですが15日ルールを消費税法から消費税法施行令に変更したのは、期限延長を適用させないためなのかもしれません。

登録取消手続きについても、「12月17日までに提出しなければならない。」とありますが、こちらは期限延長が適用されないからです。


2023/8/23_追加

「免税事業者のインボイス発行事業者への登録と取消しに係る手続」には、
R6/1/1の取消手続きについて

「12/17(日)、※郵送の場合は12/17(日)の通信日付有効」とあり、
期限延長はされない(翌日延長も遡り計算もしない)ことが公表されています。


規定にあてはめてみると

一定の日(R5/12/17)の翌日(R5/12/18)から
その課税期間の末日(R5/12/31)までの間に、
「インボイスの登録取消届出書」を提出した場合には、

R6/1/1からではなく、「課税期間の翌課税期間の末日の翌日」に
インボイスの登録が失効します。

翌課税期間は、原則としてR6/1/1からR6/12/31まで、
その期間の末日はR6/12/31となりますので、
翌日のR7/1/1にインボイスの登録が失効します。

インボイスの登録取りやめについてもギリギリではなく、
早めに検討して対応する必要があります。

参考リンク
インボイスの登録申請の15日ルール

参考規定

インボイスの登録取りやめ手続き

10 適格請求書発行事業者が、次の各号に掲げる場合に該当することとなつた場合には、当該各号に定める日に、第一項の登録は、その効力を失う。
一 当該適格請求書発行事業者が第一項の登録の取消しを求める旨の届出書をその納税地を所轄する税務署長に提出した場合 その提出があつた日の属する課税期間の末日の翌日(その提出が政令で定める日の翌日から当該課税期間の末日までの間にされた場合には、当該課税期間の翌課税期間の末日の翌日)

消費税法、施行日令和5年10月1日

一定の日

3 法第五十七条の二第十項第一号に規定する政令で定める日は、同号の届出書の提出があつた日の属する課税期間の翌課税期間の初日から起算して十五日前の日とする。

消費税法施行令70条の5、施行日令和5年10月1日
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