今回は、リース取引の判定について法人税の基本通達を確認してみましょう。
リース取引の判定
法人税の基本通達が改正されていますので確認してみましょう。
(リース取引の判定)
法人税基本通達12の5-1-3
12 の 5- 1- 3 資産の賃貸借が法第 64 条の2第3項各号⦅リース取引に係る所得の金額の計算⦆に掲げる要件に該当するかどうかを判定する場合において、当該資産の賃貸借が次のいずれかに該当するときは、当該資産の賃貸借は、同項第2号に掲げる要件に該当することに留意する。以下省略
法第64条の2第3項各号を確認してみましょう。
3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
法人税法第64条の2第3項、令和7年6月1日施行
一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。
二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。
1号の要件は、実質的に解約できないことです。2号の要件は、実質的に資産を購入していることと変わらないことです。
基本通達(12の5-1-3)のリース取引の判定は、法人税法に関するものです。
(法人税法施行令に関する基本通達もあります。)
基本通達の続きを確認してみましょう。
当該資産の賃貸借が次のいずれかに該当するときは、当該資産の賃貸借は、同項第2号に掲げる要件に該当することに留意する。
次のいずれか(1の現在価値の判定か2の耐用年数の判定か)に該当するときは、同項第2号に該当することになります。同項第2号は、実質的に資産を購入していることと変わらないかどうかの判定です。
現在価値の判定
1つ目の要件を確認してみましょう。
⑴ 賃貸人の会計リース料の現在価値が、原資産の現金購入価額のおおむね90%以上であること。
借り手が支払うリース料を現在の価値に戻した金額が、実際に資産を買ったとした場合の金額の90%以上であることです。
例えば、次の場合
・資産の現在価値 298万円
・現金購入価額 330万円
現在価値(298万円)≧現金購入価額×90%(330万円×90%=297万円)となり、1の要件を満たします。そのため、リース取引の要件の1つを満たします。
耐用年数の判定
2つ目の要件を確認してみましょう。
⑵ 賃貸人の会計リース期間が、原資産の経済的耐用年数のおおむね75%以上であること(原資産の特性、経済的耐用年数の長さ、原資産の中古市場の存在等を考慮した場合に、⑴による判定が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。)。
リース期間≧経済的耐用年数の75%となる場合です。
経済的耐用年数の定義を確認してみましょう。
⑷ 経済的耐用年数 資産の賃貸借の時における賃貸借資産の性能、規格、陳腐化の状況等を考慮して見積もった経済的使用可能予測期間を用いて計算した年数をいう。
使用できる期間を見積もった年数です。
判定例
・リース期間(5年)≧経済的耐用年数(5年)×75%=3.75年
・リース期間(5年)≧経済的耐用年数(6年)×75%=4.5年
・リース期間(5年)<経済的耐用年数(7年)×75%=5.25年
カッコ書きには、例外が規定されていますので確認してみましょう。
原資産の特性、経済的耐用年数の長さ、原資産の中古市場の存在等を考慮した場合に、⑴による判定が90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。
(1)は、現在価値の判定です。90%を大きく下回ることが明らかな場合は、耐用年数の判定で75%以上であっても、要件を満たさなくなります。
例えば、次の場合
・資産の現在価値 150万円
・現金購入価額 330万円
現在価値(150万円)<現金購入価額×90%(330万円×90%=297万円)となり、90%を大きく下回ることが明らかです。
まとめ
1か2の要件のいずれかを満たす場合、リース取引の要件の1つを満たします。
1、現在価値の判定
現在価値≧購入金額×90%
2、耐用年数の判定
リース期間≧経済的耐用年数×75%
(1の判定が90%大きく下回る場合を除く。)
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おまけ1
リース料の現在価値の計算
1年後に120万円
2年後に120万円
3年後に120万円
合計360万円を支払う場合、10%で割り戻すと
120万円÷1.1=109万円
109万円÷1.1=99万円
99万円÷1.1=90万円
合計 109万円+99万円+90万円=298万円となります。
おまけ2
改正前の基本通達には耐用年数の判定(おおむね75%以上)がなかったと思いますが、リース会計の改正にともなって改正後の基本通達に耐用年数の判定が追加されています。
会計と税務を合わせるための基本通達だと思いますが、租税回避を防止するためのものでもありそうです。
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