リース取引の消費税の分割控除


今回は、リース取引の消費税の分割控除を確認してみましょう。

基本通達の確認

税金計算上のリース取引は、
・ファイナンスリース取引(売買処理)
・オペレーティングリース取引(賃貸借処理)
の2つに分かれます。

ファイナンスリース取引の要件を満たした場合は、ファイナンスリース取引に該当します。要件を満たさない場合は、オペレーティングリース取引に該当します。

ファイナンスリース取引は、さらに
・所有権移転ファイナンスリース取引
・所有権移転外ファイナンスリース取引
の2つに分かれます。

所有権移転外リース取引の要件を満たした場合は、所有権移転外リース取引に該当します。要件を満たさない場合は、所有権移転リース取引に該当します。

上記の取扱いは、法人税や所得税の法令に規定されていますが、消費税には細かく規定されていません。

そのため、基本通達が公表されています。確認してみましょう。

(割賦購入の方法等による課税仕入れを行った日)
11-3-2 割賦購入の方法又はリース取引による課税資産の譲り受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日は、当該資産の引渡し等を受けた日となるのであるから、当該課税仕入れについては、当該資産の引渡し等を受けた日の属する課税期間において法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定を適用するのであるから留意する。ただし、所有権移転外リース取引(所法令第120条の2第2項第5号《減価償却資産の償却の方法》及び法法令第48条の2第5項第5号《減価償却資産の償却の方法》に規定する所有権移転外リース取引をいう。)につき、賃借人が支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する課税期間の賃借料等として経理している場合において、当該リース料をその支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとしているときは、これを認める。

新しく公表されたもので、前の通達と少し変わっています。

前半部分の

割賦購入の方法又はリース取引による課税資産の譲り受けが課税仕入れに該当する場合には、その課税仕入れを行った日は、当該資産の引渡し等を受けた日となるのであるから、当該課税仕入れについては、当該資産の引渡し等を受けた日の属する課税期間において法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定を適用するのであるから留意する。

は、改正前と変わっていません。

リース取引の借り手は、消費税法の取扱いにしたがって消費税の仕入れを認識する内容です。

法人税・所得税の取扱い消費税の取扱い
ファイナンスリース取引
(売買処理)
資産を買ったものとして認識する。
オペレーティングリース取引
(賃貸借処理)
資産を借りたものとして認識する。
変更点

基本通達の続きが変わっていますので確認してみましょう。

ただし、所有権移転外リース取引(所法令第120条の2第2項第5号《減価償却資産の償却の方法》及び法法令第48条の2第5項第5号《減価償却資産の償却の方法》に規定する所有権移転外リース取引をいう。)につき、賃借人が支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する課税期間の賃借料等として経理している場合において、当該リース料をその支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとしているときは、これを認める。

カッコ書きを省略しますと

所有権移転外リース取引につき、賃借人が支払うべきリース料の額をその支払うべき日の属する課税期間の賃借料等として経理している場合において、当該リース料をその支払うべき日の属する課税期間における課税仕入れとしているときは、これを認める。

所有権移転外リース取引については、賃借料等として経理することを条件に、分割控除が可能です。

法人税・所得税の取扱い消費税の取扱い基本通達
所有権移転ファイナンスリース取引
(売買処理)
買ったものとして認識する。
(一括控除)
一括控除
所有権移転ファイナンスリース取引
(売買処理)
買ったものとして認識する。
(一括控除)
一括控除
所有権移転ファイナンスリース取引
(賃貸借処理、少額)
買ったものとして認識する。
(一括控除)
分割控除が可能
オペレーティングリース取引
(賃貸借処理)
借りたものとして認識する。
(分割控除)
分割控除

分割控除とは、リース料を支払うときに消費税の控除を認識する方法です。

仕訳例

借方貸方
リース料(賃借料等) 10,000円現預金 11,000円
仮払消費税等 1,000円
質疑応答事例

質疑応答事例を確認してみましょう。

国税庁、消費税、質疑応答事例、所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/16/23.htm

「令和7年4月1日現在の法令・通達等に基づいて作成しています。」とありますので、リース税制の改正が反映されています。

気になった部分を確認します。

 なお、令和7年度税制改正により、リース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例(延払基準)が廃止されましたが、賃貸人における処理にかかわらず、賃借人において会計上賃貸借処理が可能な場合には、引き続き分割控除して差し支えありません。

法令や基本通達にない限定が追加されています。

「賃借人において会計上賃貸借処理が可能な場合には、引き続き分割控除して差し支えありません。」とあり、賃貸借処理ができない場合は、分割控除ができないと読めます。

会計では、重要性が乏しいもの(少額リースなど)については、賃貸借処理が認められています。

質疑応答事例の内容を整理しますと、所有権移転外リース取引のうち
・原則として売買処理のため、一括控除(分割控除ができない)
・少額リースなどは、賃貸借処理できるため、分割控除が可能

となります。

法人税・所得税の取扱い消費税の取扱い基本通達質疑応答事例
所有権移転ファイナンスリース取引(売買処理)買ったものとして認識する。
(一括控除)
一括控除一括控除
所有権移転ファイナンスリース取引(売買処理)買ったものとして認識する。
(一括控除)
一括控除一括控除
会計上賃貸借処理ができない場合。
所有権移転ファイナンスリース取引(賃貸借処理)買ったものとして認識する。
(一括控除)
分割控除が可能
賃借料等として経理することが要件。
分割控除が可能
会計上賃貸借処理が可能な場合に限定。
オペレーティングリース取引
(賃貸借処理)
借りたものとして認識する。
(分割控除)
分割控除分割控除

消費税の計算上、オペレーティングリース取引については分割控除しか選択できないため、資産計上した場合であっても一括控除ができないため留意しましょう。


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