保険金の圧縮記帳と特別勘定の引継ぎ


今回は、保険金の圧縮記帳と特別勘定の引継ぎを確認してみましょう。

適格合併等があった場合

保険金の圧縮記帳は、
・適格合併
・適格分割
・適格現物出資
(適格合併等)があった場合に、特別勘定の金額を合併法人等に引き継げます。

引き継ぐ金額は、組織再編成の内容によって変わります。
1、適格合併の場合
2、適格分割等の場合

1の適格合併の場合は、適格合併の直前の特別勘定の金額を引き継ぎます。

2の適格分割等の場合は、2つあります。
(適格分割等は、適格分割、適格現物出資、適格現物分配の3つ)

1つ目は、特別勘定の金額を引き継ぐ場合です。

規定を確認してみましょう。

当該適格分割等の直前に有する保険金等に係る第一項の特別勘定の金額のうち当該適格分割等に係る分割承継法人等が取得改良期間(当該適格分割等の日から当該適格分割等に係る分割法人又は現物出資法人の当該保険金等の支払を受けた事業年度終了の日の翌日以後二年を経過した日の前日(指定日がある場合には、当該指定日)までの期間をいう。)内に行うことが見込まれる前条第一項に規定する取得又は改良に充てようとする当該保険金等に係るもの

適格分割等の直前の特別勘定の金額が対象となります。

この特別勘定の金額うち、分割承継法人等(引継ぎを受ける法人)が取得改良期間(圧縮記帳の予約期間)内に行う予定があるものです。

・適格分割等の日から
・分割法人などの保険金の支払いを受けた事業年度終了日の翌日以後2年を経過した日の前日まで
の期間を「取得改良期間」といいます。
(指定日がある場合は、指定日まで延長されます。)

2つ目は、期中特別勘定の金額を引き継ぐ場合です。

適格分割等があった場合は、期中に特別勘定が設定できるため、期中特別勘定の金額についても分割承継法人などに引き継げます。

参考リンク
保険金の圧縮記帳と特別勘定の期中設定

特別勘定の引継ぎは、手続きが必要

特別勘定の引継ぎは、手続きが必要です。参考規定を確認してみましょう。

9 前項の規定は、第一項の特別勘定を設けている内国法人で適格分割等を行つたもの(当該特別勘定及び期中特別勘定の双方を設けている内国法人であつて、適格分割等により分割承継法人等に当該期中特別勘定の金額のみを引き継ぐものを除く。)にあつては、当該特別勘定を設けている内国法人が当該適格分割等の日以後二月以内に当該適格分割等により分割承継法人等に引き継ぐ当該特別勘定の金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。

法人税法第48条第9項、令和7年6月20日施行

前項(=第8項)の規定は、特別勘定の引継ぎ規定です。

第一項の特別勘定を設けている内国法人で適格分割等を行つたもの(当該特別勘定及び期中特別勘定の双方を設けている内国法人であつて、適格分割等により分割承継法人等に当該期中特別勘定の金額のみを引き継ぐものを除く。)にあつては、

・特別勘定
・期中特別勘定
の2つを設定している場合、期中特別勘定の金額のみを引き継ぐものは、手続きの対象から除外されています。

手続きが必要かどうかのまとめ

適格合併
・特別勘定の金額 → 手続きなし

適格分割等
・特別勘定の金額 → 手続きあり
・特別勘定の金額と期中特別勘定の金額 →  手続きあり
・期中特別勘定の金額のみ引継ぎ → 除外(設定の手続きは必要)

続きを確認してみましょう。

当該特別勘定を設けている内国法人が当該適格分割等の日以後二月以内に当該適格分割等により分割承継法人等に引き継ぐ当該特別勘定の金額その他の財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。

「当該特別勘定を設けている内国法人が」とありますので、特別勘定を設定している法人(分割法人など)が手続きをします。

手続きの期限は、適格分割等の日以後2月以内です。

参考リンク、国税庁
C6-5 適格分割等による保険差益等に係る特別勘定の金額の引継ぎに関する届出
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/kigyosaihen/annai/05.htm

参考情報

今回確認した規定は、こちら↓。

8 内国法人が、適格合併、適格分割又は適格現物出資(以下この項において「適格合併等」という。)を行つた場合には、次の各号に掲げる適格合併等の区分に応じ、当該各号に定める特別勘定の金額又は期中特別勘定の金額は、当該適格合併等に係る合併法人等に引き継ぐものとする。
一 適格合併 当該適格合併の直前に有する保険金等に係る第一項の特別勘定の金額
二 適格分割等 当該適格分割等の直前に有する保険金等に係る第一項の特別勘定の金額のうち当該適格分割等に係る分割承継法人等が取得改良期間(当該適格分割等の日から当該適格分割等に係る分割法人又は現物出資法人の当該保険金等の支払を受けた事業年度終了の日の翌日以後二年を経過した日の前日(指定日がある場合には、当該指定日)までの期間をいう。)内に行うことが見込まれる前条第一項に規定する取得又は改良に充てようとする当該保険金等に係るもの及び当該適格分割等に際して設けた保険金等に係る期中特別勘定の金額

法人税法第48条第8項、令和7年6月20日施行

引き継がれた特別勘定の取り扱い

10 第八項の規定により合併法人等が引継ぎを受けた第一項の特別勘定の金額又は期中特別勘定の金額は、当該合併法人等が同項の規定により設けている同項の特別勘定の金額とみなす。

法人税法第48条第10項、令和7年6月20日施行

引き継がれた
・特別勘定の金額
・期中特別勘定の金額
は、合併法人等の
・特別勘定の金額
・期中特別勘定の金額
として取り扱われます。

その他の規定

11 合併、分割、現物出資又は現物分配(第二条第十二号の五の二(定義)に規定する現物分配をいう。)が行われた場合における前各項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

法人税法第48条第11項、令和7年6月20日施行


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