今回は、分割型分割があった場合の資本金等の額を確認してみましょう。
規定の概要
今回確認する規定は、こちら↓です。
六 分割型分割により移転を受けた資産(以下この号において「移転資産」という。)及び負債(以下この号において「移転負債」という。)の純資産価額(次に掲げる分割型分割の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)から当該分割型分割による増加資本金額等(当該分割型分割により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する分割型分割にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該分割型分割により分割法人(分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分割型分割により分割法人に法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人の株式(以下この号及び次号において「分割承継親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額とする。)及び当該法人が有していた当該分割型分割(第四条の三第六項第一号イに規定する無対価分割(以下この項において「無対価分割」という。)で同条第六項第二号イ(1)又は(2)に掲げる関係があるものに限る。)に係る分割法人の株式に係る法第六十一条の二第四項に規定する分割純資産対応帳簿価額(適格分割型分割に該当しない分割型分割にあつては、法第二十四条第三項の規定により当該株式に対して交付されたものとみなされる当該法人の株式の価額のうち同条第一項の規定により法第二十三条第一項第一号に掲げる金額とみなされる金額を加算した金額)を減算した金額(当該法人が資本又は出資を有しない法人である場合には、零)
法人税法施行令第8条第1項第6号、令和7年4月1日施行
イ 適格分割型分割に該当しない分割型分割(ロ及びハに掲げるものを除く。) 当該分割型分割により分割法人(分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)に交付した当該法人の株式その他の資産の価額の合計額
ロ 適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないもの(無対価分割に該当するものを除く。) 当該移転資産の価額から当該移転負債の価額を減算した金額
ハ 適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち無対価分割で第四条の三第六項第二号イ(2)に掲げる関係があるもの 当該移転資産(営業権にあつては、独立取引営業権に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該移転負債の価額(法第六十二条の八第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額
ニ 適格分割型分割 当該適格分割型分割に係る分割法人の資本金等の額につき第十五号の規定により計算した金額に相当する金額
長い規定のため、カッコ書きを省略してみましょう。
六 分割型分割により移転を受けた資産(注1)及び負債(注2)の純資産価額(注3)から当該分割型分割による増加資本金額等(注4)及び当該法人が有していた当該分割型分割(注5)に係る分割法人の株式に係る法第六十一条の二第四項に規定する分割純資産対応帳簿価額(注6)を減算した金額(注7)算式に変えてみましょう。
1、純資産価額 1,000
2、増加資本金額等 600
3、分割法人の株式の分割純資産対応帳簿価額 100
4、資本金等の額の加算額 1-(2+3)=300
仕訳イメージ
資産 1,200 / 負債 200
/ 増加資本金額等 600
/ 分割法人の株式の分割純資産対応帳簿価額 100
/ 資本金等の額の加算額 300 ← この部分を計算
純資産価額
純資産価額(注3)のカッコ書きを確認してみましょう。
純資産価額(次に掲げる分割型分割の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)次に掲げる分割型分割は、次のイ、ロ、ハ、ニの4つです。
イ、適格分割型分割に該当しない分割型分割(ロとハを除外)
ロ、適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち、一定の非適格合併等に該当しないもの(無対価分割を除外)
ハ、適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち、無対価分割で一定の関係があるもの
ニ、適格分割型分割
増加資本金額等
増加資本金額等(注4)のカッコ書きを見てみましょう。
増加資本金額等(当該分割型分割により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する分割型分割にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該分割型分割により分割法人(分割対価資産の全てが分割法人の株主等に直接に交付される分割型分割にあつては、当該株主等)に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分割型分割により分割法人に法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人の株式(以下この号及び次号において「分割承継親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額とする。)もう一度カッコ書きを省略します。
(当該分割型分割により増加した資本金の額又は出資金の額並びに当該分割型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、適格分割型分割により分割法人に法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人の株式を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額とする。)2つ規定されています。
1つ目
当該分割型分割により増加した資本金の額又は出資金の額並びに当該分割型分割により分割法人に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産の価額の合計額をいい、算式で記載します。
1、資本金の額や出資金の額 400
2、分割法人(分割法人の株主等)に交付した金銭 100
3、1や2以外の資産 100
4、増加資本金額等 1+2+3=600
2つ目
適格分割型分割により分割法人に法第二条第十二号の十一に規定する分割承継親法人の株式(以下この号及び次号において「分割承継親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、その交付した分割承継親法人株式の当該適格分割型分割の直前の帳簿価額とする。適格分割型分割により分割法人に「分割承継親法人株式」を交付した場合は、「分割承継親法人株式」の適格分割型分割直前の帳簿価額となります。
分割純資産対応帳簿価額
「法第61条の2第4項に規定する分割純資産対応帳簿価額」とあるため、規定を確認してみましょう。
法人税法第61条の2は、有価証券の売却損益を計算する規定です。第4項は、分割法人が有する「所有株式」に関する規定です。
(分割法人が所有している株式を「所有株式」といいます。)
お金などが交付されない分割型分割を「金銭等不交付分割型分割」といいます。
1、金銭等不交付分割型分割を除く場合
2、金銭等不交付分割型分割に限る場合
の2つがあり、分割型分割により移転した純資産価額の割合に応じて、所有株式の売却(帳簿価額の減額)を計算する規定です。
合併があった場合の抱合株式の取扱いと似ています。
参考情報
次に掲げる分割型分割は、4つあります。
イ 適格分割型分割に該当しない分割型分割(注8) 当該分割型分割により分割法人(注9)に交付した当該法人の株式その他の資産の価額の合計額
ロ 適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち法第六十二条の八第一項に規定する非適格合併等に該当しないもの(注10) 当該移転資産の価額から当該移転負債の価額を減算した金額
ハ 適格分割型分割に該当しない分割型分割のうち無対価分割で第四条の三第六項第二号イ(2)に掲げる関係があるもの 当該移転資産(注11)の価額(注12)から当該移転負債の価額(注13)を控除した金額
ニ 適格分割型分割 当該適格分割型分割に係る分割法人の資本金等の額につき第十五号の規定により計算した金額に相当する金額
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編集後記
合併(全部移転)と分割型分割(部分移転)の取扱いは、似ています。
