個人が贈与等により資産を移転させた場合は、
移転させた個人に対し、みなし譲渡などの特例があります。
反対に、個人が贈与等により資産を取得した場合には、
取得費等を引継ぐ特例があります。
取得費等の引継ぎ
対象資産はみなし譲渡と同じです。土地・建物などの不動産、株式、事業所得に該当しない山林で、棚卸資産は含みません。
特例の対象となる事由は、次の4つです。
- 贈与
- 限定承認を選択しない相続
- 包括遺贈のうち限定承認でない遺贈
- 個人に対する低額譲渡(時価の1/2未満で譲渡した場合)
具体例
個人Aが320万円で取得した株式を
個人Bに40万円(時価150万円)で売った場合。
個人Aについては、個人に対する低額譲渡に該当します。
譲渡損280万円については切り捨てられます。
個人Bについては、個人に対する低額譲渡により取得しているため、
個人Aの取得費等320万円を引き継ぎます。
個人Bが40万円で取得した株式を100万円で売った場合、
売った金額100万円-買った金額40万円=譲渡益60万円ではなく、
売った金額100万円-取得費等の引継ぎ320万円=譲渡益△220万円となります。
参考規定
(贈与等により取得した資産の取得費等)
所得税法
第六十条 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡