受託事業者の納税義務が免除されない場合


今回は、受託事業者の納税義務が免除されない場合を
確認してみましょう。

納税義務が免除される場合

消費税の納税義務は原則として
事業者の基準期間(2年前)の課税売上高で判定します。

事業者の基準期間の課税売上高が1000万円以下であっても、
特例により消費税の納税義務が発生する場合があります。

信託についても同様に、
受託事業者の納税義務が免除されない特例があります。

法人課税信託については、1人の事業者を
・固有事業者
・受託事業者(信託財産を託された人)
の2人(以上)の事業者に分けます。

受託事業者の納税義務の判定については、
受託事業者の基準期間の課税売上高ではなく、
固有事業者の基準期間の課税売上高で行います。

固有事業者の基準期間の課税売上高が1000万円以下の場合、
受託事業者の納税義務は原則として免除されます。

納税義務が免除されない場合

特例の判定は、
受託事業者の課税期間の初日に行います。

固有事業者が次の特例により納税義務が発生する場合は、
受託事業者も納税義務が発生します。

特例は、次の8つです。
・固有事業者がインボイス発行事業者である場合(第9条第1項)
・課税事業者選択届出書を提出している場合(第9条第4項)
・相続があった場合の特例(第10条)
・合併があった場合の特例(第11条)
・分割等があった場合の特例(第12条)
・新設法人の特例(第12条の2)
・特定新規設立法人の特例(第12条の3)
・高額特定資産を取得した場合の特例(第12条の4)

特定期間による判定(第9条の2)は含まれていません。

参考規定

受託事業者の納税義務の免除の特例

6 受託事業者のその課税期間の初日において、当該受託事業者に係る法人課税信託の固有事業者が、当該初日の属する当該固有事業者の課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円以下である課税期間に限る。)の初日において適格請求書発行事業者である場合又は当該課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れにつき第九条第四項の規定による届出書の提出により、若しくは第十条から第十二条の四までの規定により消費税を納める義務が免除されない事業者である場合には、当該受託事業者の当該初日の属する課税期間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、第九条第一項本文の規定は、適用しない。

消費税法第15条第6項、施行日令和5年11月29日

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