受託事業者を変更した場合の課税売上高の計算


今回は、受託事業者を変更した場合の課税売上高の計算を確認してみましょう。

信託法では、受託者が変更されることがあります。受託者が変更された場合に前の受託者と新しい受託者が登場しますので、消費税法では読替規定が設けられています。

基準期間における課税売上高

読替後の規定を確認してみましょう。

(法人課税信託の固有事業者の基準期間における課税売上高等の特例)
第二十七条 法第十五条第四項第二号に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、同項の固有事業者のその課税期間の基準期間の初日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した同号の受託事業者(以下この項において「新受託事業者」という。)の各事業年度における課税売上高(第二十二条第一項に規定する各事業年度における課税売上高をいう。以下この項及び次項において同じ。)の合計額に当該基準期間の初日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した当該新受託事業者に係る法第十五条第一項に規定する法人課税信託の旧受託事業者(当該法人課税信託の受託者の変更又は第三項に規定する主宰受託者の変更前の受託者である同条第三項に規定する受託事業者をいう。)の各事業年度における課税売上高の合計額を加算した金額(当該新受託事業者及び当該旧受託事業者の各事業年度の月数の合計数が十二を超える場合には、当該加算した金額を当該合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額)とする。

結論は、
「新受託事業者」の各事業年度における課税売上高に
「旧受託事業者」の各事業年度における課税売上高をプラスします。

課税売上高の計算期間は、固有事業者の課税期間の
・基準期間の初日から同日以後1年を経過する日まで
の間に終了した各事業年度となります。
(固有事業者が基準となります。)

新受託事業者と旧受託事業者の計算月数の合計が12を超える場合は、
12カ月相当に換算する必要があります。

特定期間における課税売上高

読替後の規定を確認してみましょう。

ロ 当該固有事業者に係る各法人課税信託(法第十五条第一項に規定する法人課税信託をいう。以下この項、次項及び第六項第七号において同じ。)の受託事業者(同条第三項に規定する受託事業者をいう。以下この項、第六項及び第七項において同じ。)及び当該受託事業者に係る法人課税信託の旧受託事業者(当該法人課税信託の受託者の変更又は次項に規定する主宰受託者の変更前の受託者である受託事業者をいう。(1)及び(2)において同じ。)の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額(当該金額のうちその計算の基礎となつた期間の月数が当該固有事業者の固有事業年度等に係る特定期間の月数を超えるものである場合には、当該金額をその計算の基礎となつた期間の月数で除し、これに当該特定期間の月数を乗じて計算した金額)の合計額
(1) 当該固有事業者の固有事業年度等に係る特定期間中に当該旧受託事業者の準特定期間(当該旧受託事業者の事業年度(六月以下であるものを除く。)開始の日以後六月の期間をいい、当該六月の期間の末日を第二十条の六第一項に規定する六月の期間の末日とみなした場合において同項各号に掲げる場合に該当するときは同項の規定によりみなされた期間とする。(1)において同じ。)の末日が到来する場合 当該準特定期間における課税売上高(当該準特定期間を法第九条の二第二項に規定する特定期間とみなした場合における同項に規定する残額をいい、当該固有事業者のイの残額の計算につき同条第三項の規定の適用がある場合には当該準特定期間中に支払つた給与等金額の合計額とする。)
(2) 当該固有事業者の固有事業年度等に係る特定期間中に終了した当該受託事業者の各事業年度(当該旧受託事業者の各事業年度を含む。)がある場合((1)に該当する場合を除く。) 当該各事業年度における課税売上高(当該固有事業者のイの残額の計算につき法第九条の二第三項の規定の適用がある場合には、当該各事業年度中に支払つた給与等金額の合計額)の合計額

受託事業者と旧受託事業者の区分に応じて2つに分かれます。

(1)は、旧受託事業者だけで判断します。
(2)は、受託事業者と旧受託事業者の両方で判断します。
(1)と(2)が重複する場合は、(1)が優先となります。

課税期間における課税売上高

読替後の規定を確認してみましょう。

ロ 当該固有事業者の当該課税期間中に終了した当該固有事業者に係る各法人課税信託の受託事業者(ロにおいて「新受託事業者」という。)の各課税期間における課税売上高(当該課税期間中の法第三十条第六項に規定する課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から当該課税期間中の同項に規定する売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額をいう。ロにおいて同じ。)の合計額に当該固有事業者の当該課税期間中に終了した当該新受託事業者に係る法人課税信託の旧受託事業者(当該法人課税信託の受託者の変更又は次項に規定する主宰受託者の変更前の受託者である受託事業者をいう。)の各課税期間における課税売上高の合計額を加算した金額(当該新受託事業者及び当該旧受託事業者の各課税期間の月数の合計数が十二を超える場合には、当該加算した金額を当該合計数で除し、これに十二を乗じて計算した金額)の合計額

結論は、
「新受託事業者」の課税期間における課税売上高に
「旧受託事業者」の課税期間における課税売上高をプラスします。

新受託事業者と旧受託事業者の計算月数の合計が12を超える場合は、
12カ月相当に換算する必要があります。

参考規定

受託者に変更があった場合の基準期間における課税売上高

一 第一項の規定の適用については、同項中「の受託事業者」とあるのは「の受託事業者(以下この項において「新受託事業者」という。)」と、「次項」とあるのは「以下この項及び次項」と、「(当該受託事業者」とあるのは「に当該基準期間の初日から同日以後一年を経過する日までの間に終了した当該新受託事業者に係る法第十五条第一項に規定する法人課税信託の旧受託事業者(当該法人課税信託の受託者の変更又は第三項に規定する主宰受託者の変更前の受託者である同条第三項に規定する受託事業者をいう。)の各事業年度における課税売上高の合計額を加算した金額(当該新受託事業者及び当該旧受託事業者」と、「当該合計額」とあるのは「当該加算した金額」とする。

消費税法施行令第27条第3項第1号、施行日令和6年4月1日

受託者に変更があった場合の特定期間における課税売上高

二 前項第一号の規定の適用については、同号ロ中「の次に掲げる場合」とあるのは「及び当該受託事業者に係る法人課税信託の旧受託事業者(当該法人課税信託の受託者の変更又は次項に規定する主宰受託者の変更前の受託者である受託事業者をいう。(1)及び(2)において同じ。)の次に掲げる場合」と、同号ロ(1)中「受託事業者」とあるのは「旧受託事業者」と、同号ロ(2)中「の各事業年度」とあるのは「の各事業年度(当該旧受託事業者の各事業年度を含む。)」とする。

消費税法施行令第27条第3項第2号、施行日令和6年4月1日

受託者に変更があった場合の課税期間における課税売上高

三 前項第三号の規定の適用については、同号ロ中「受託事業者」とあるのは「受託事業者(ロにおいて「新受託事業者」という。)」と、「)の合計額(当該」とあるのは「ロにおいて同じ。)の合計額に当該固有事業者の当該課税期間中に終了した当該新受託事業者に係る法人課税信託の旧受託事業者(当該法人課税信託の受託者の変更又は次項に規定する主宰受託者の変更前の受託者である受託事業者をいう。)の各課税期間における課税売上高の合計額を加算した金額(当該新受託事業者及び当該旧受託事業者の」と、「当該各課税期間における課税売上高の合計額」とあるのは「当該加算した金額」とする。


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