合併があった場合の資本金等の額、純資産価額


今回は、合併があった場合の資本金等の額のうち、資産及び負債の純資産価額を確認してみましょう。

合併があった場合の資本金等の額

合併があった場合の資本金等の額は、法人税法施行令を確認する必要があります。

参考リンク
合併があった場合の資本金等の額

算式で記載します。
1、資産と負債の純資産価額 800
2、増加資本金額等 500
3、抱合株式の帳簿価額 100
4、資本金等の額の加算額 1-(2+3)=200

今回は、1の資産と負債の純資産価額の計算方法を見てみましょう。

適格合併の場合

資産と負債の純資産価額のカッコ書きには、

資産及び負債の純資産価額(次に掲げる合併の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)

とあり、次に掲げる合併が3つあります。

イ、適格合併でない合併(ロを除外)
ロ、適格合併でない合併のうち、無対価合併で一定のもの
ハ、適格合併

まずは、適格合併の場合を確認してみましょう。

ハ 適格合併 当該適格合併に係る被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時における資本金等の額に相当する金額

資産及び負債の純資産価額は、被合併法人の合併前日の資本金等の額です。

一般的な非適格合併の場合

一般的な非適格合併の場合は、イに規定されています。

イ 適格合併に該当しない合併(ロに掲げるものを除く。) 当該合併に係る被合併法人の株主等に交付した当該法人の株式、金銭並びに当該株式及び金銭以外の資産並びに法第二十四条第二項の規定により抱合株式に対して交付されたものとみなされるこれらの資産の価額の合計額

資産と負債の純資産価額は、被合併法人の株主等に交付した
1、合併法人の株式
2、金銭
3、1と2以外の資産
4、抱合株式に対して交付されたものとみなされるこれらの資産
の価額の合計額(1+2+3+4)となります。

法人税の計算上、抱合株式に対して資産が交付されたものとして取り扱われます。

無対価合併で一定のもの

無対価合併で一定のものは、ロに規定されています。

ロ 適格合併に該当しない合併のうち第四条の三第二項第一号(適格組織再編成における株式の保有関係等)に規定する無対価合併で同項第二号ロに掲げる関係があるもの 当該合併により移転を受けた資産(営業権にあつては、第百二十三条の十第三項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する独立取引営業権(次号ハ及び第七号ハにおいて「独立取引営業権」という。)に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該合併により移転を受けた負債の価額(法第六十二条の八第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額

被合併法人の株主等に合併法人の株式などが交付されない合併を「無対価合併」といいます。

法人税法施行令第4条の3同項(=第2項)第2号ロに掲げる関係があるものについては、イの計算ではなく、ロの計算となります。
(第2号のロの関係がないものについては、イの計算)

カッコ書きを省略しますと
1、移転を受けた資産の価額
2、移転を受けた負債の価額
3、資産と負債の純資産価額 1-2
となります。

合併法人の仕訳イメージ
資産 1,000 / 負債 200
      / その他 ××

資産と負債の純資産価額は、1,000-200=800です。

資産のカッコ書き
移転を受けた資産の中に、営業権がある場合は、独立した資産として取引される慣習があるもの(独立取引営業権)に限られます。
(独立取引営業権でない場合は、資産から除外)

資産の価額のカッコ書き
資産調整勘定(法人税の計算上ののれん)を含みます。

負債の価額のカッコ書き
負債調整勘定(法人税の計算上の負ののれん)を含みます。

参考情報

合併があった場合の資本金等の額の加算額

五 合併により移転を受けた資産及び負債の純資産価額(次に掲げる合併の区分に応じそれぞれ次に定める金額をいう。)から当該合併による増加資本金額等(当該合併により増加した資本金の額又は出資金の額(法人を設立する合併にあつては、その設立の時における資本金の額又は出資金の額)並びに当該合併により被合併法人の株主等に交付した金銭並びに当該金銭及び当該法人の株式以外の資産(当該株主等に対する法第二条第十二号の八に規定する剰余金の配当等として交付した金銭その他の資産及び合併に反対する当該株主等に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。以下この号において同じ。)の価額の合計額をいい、適格合併(法第六十一条の二第二項に規定する金銭等不交付合併に限る。)により被合併法人の株主等に法第二条第十二号の八に規定する合併親法人の株式(以下この号において「合併親法人株式」という。)を交付した場合にあつては、その交付した合併親法人株式の当該適格合併の直前の帳簿価額とする。)と法第二十四条第二項(配当等の額とみなす金額)に規定する抱合株式(以下この号において「抱合株式」という。)の当該合併の直前の帳簿価額(法人を設立する合併で適格合併に該当しないものにあつては同項の規定により当該抱合株式に対して交付されたものとみなされる当該法人の株式その他の資産の価額とし、法人を設立する合併以外の合併で適格合併に該当しないものにあつては当該帳簿価額に同項又は同条第三項の規定により当該抱合株式に対して交付されたものとみなされる当該法人の株式その他の資産の価額のうち同条第一項の規定により法第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額を加算した金額とする。)とを合計した金額を減算した金額(被合併法人の全て又は当該法人が資本又は出資を有しない法人である場合には、零)
イ 適格合併に該当しない合併(ロに掲げるものを除く。) 当該合併に係る被合併法人の株主等に交付した当該法人の株式、金銭並びに当該株式及び金銭以外の資産並びに法第二十四条第二項の規定により抱合株式に対して交付されたものとみなされるこれらの資産の価額の合計額
ロ 適格合併に該当しない合併のうち第四条の三第二項第一号(適格組織再編成における株式の保有関係等)に規定する無対価合併で同項第二号ロに掲げる関係があるもの 当該合併により移転を受けた資産(営業権にあつては、第百二十三条の十第三項(非適格合併等により移転を受ける資産等に係る調整勘定の損金算入等)に規定する独立取引営業権(次号ハ及び第七号ハにおいて「独立取引営業権」という。)に限る。)の価額(法第六十二条の八第一項に規定する資産調整勘定の金額を含む。)から当該合併により移転を受けた負債の価額(法第六十二条の八第二項及び第三項に規定する負債調整勘定の金額を含む。)を控除した金額
ハ 適格合併 当該適格合併に係る被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時における資本金等の額に相当する金額

法人税法施行令第8条第1項第5号、令和7年4月1日施行

法人税法施行令第4条の3第2項第2号ロに掲げる関係

ロ 被合併法人及び合併法人の株主等(当該被合併法人及び合併法人を除く。)の全てについて、その者が保有する当該被合併法人の株式(出資を含む。以下この条において同じ。)の数(出資にあつては、金額。以下この条において同じ。)の当該被合併法人の発行済株式等(当該合併法人が保有する当該被合併法人の株式を除く。)の総数(出資にあつては、総額。以下この条において同じ。)のうちに占める割合と当該者が保有する当該合併法人の株式の数の当該合併法人の発行済株式等(当該被合併法人が保有する当該合併法人の株式を除く。)の総数のうちに占める割合とが等しい場合における当該被合併法人と合併法人との間の関係

A、その者が保有する当該被合併法人の株式(出資を含む。以下この条において同じ。)の数(出資にあつては、金額。以下この条において同じ。)の当該被合併法人の発行済株式等(当該合併法人が保有する当該被合併法人の株式を除く。)の総数(出資にあつては、総額。以下この条において同じ。)のうちに占める割合

B、当該者が保有する当該合併法人の株式の数の当該合併法人の発行済株式等(当該被合併法人が保有する当該合併法人の株式を除く。)の総数のうちに占める割合

A=Bの場合における、その被合併法人と合併法人との間の関係

例えば、
・被合併法人の株主等 C社 A社株式 100%保有
・合併法人の株主等 C社 B社株式 100%保有
・被合併法人 A社
・合併法人 B社

1、被合併法人A社と合併法人B社が合併する。
2、合併法人B社は、被合併法人A社の株主等C社に合併法人B株式を交付しない。

留意点
ロの規定は、「適格合併に該当しない合併のうち」とあります。
同じ無対価合併であっても、
・非適格合併の場合は、ロの規定(資産-負債)で計算
・適格合併の場合は、ハの規定(被合併法人の資本金等の額)
となります。

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