過去に新設合併があった場合の固有事業者の基準期間における課税売上高


今回は、過去に新設合併があった場合の
固有事業者の基準期間における課税売上高を確認してみましょう。

法人課税信託の特例

合併があった場合、基準期間(原則2期前)の課税売上高の計算に特例があります。さらに、固有事業者については特例が修正されます。

今回、確認する規定はこちら↓

2 固有事業者(法第十五条第四項に規定する固有事業者をいう。以下この項から第七項までにおいて同じ。)に係る同条第七項に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる金額の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
1号 省略
二 固有事業者の法第十一条第四項に規定する当該事業年度の基準期間における課税売上高 次に掲げる金額の合計額
イ 当該固有事業者の当該基準期間における課税売上高として法第十一条第四項の規定により計算した同項に規定する残額
ロ 当該固有事業者の当該基準期間中に終了した当該固有事業者に係る各法人課税信託の受託事業者の各事業年度における課税売上高の合計額の合計額

消費税法施行令第27条第2項第2号、施行日令和6年4月1日

算式で示すと
・基準期間における課税売上高=イ+ロ
となります。

イは固有事業者の計算、ロは受託事業者の計算をしています。

固有事業者の計算

合併特例は、
・吸収合併、当期(消費税法第11条第1項)
・吸収合併、過去(消費税法第11条第2項)
・新設合併、当期(消費税法第11条第3項)
・新設合併、過去(消費税法第11条第4項)
の4つあります。

法人課税信託の特例では、
・法第十一条第四項の規定により計算した同項に規定する残額
とありますので、過去の新設合併の特例が対象となります。

過去の新設合併の特例の規定を確認してみましょう。

4 合併法人の当該事業年度開始の日の二年前の日から当該事業年度開始の日の前日までの間に合併があつた場合において、当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高(事業年度の基準期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から事業年度の基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額をいう。以下この項において同じ。)と各被合併法人の当該合併法人の当該事業年度の基準期間に対応する期間における課税売上高として政令で定めるところにより計算した金額の合計額との合計額(当該合併法人の当該事業年度の基準期間における課税売上高がない場合その他政令で定める場合には、政令で定める金額)が千万円を超えるときは、当該合併法人(第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は第九条の二第一項の規定により消費税を納める義務が免除されないものを除く。)の当該事業年度(その第九条第一項に規定する基準期間における課税売上高が千万円以下である事業年度に限る。)における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、同条第一項本文の規定は、適用しない。

消費税法第11条第4項、施行日令和6年4月9日

「同項に規定する残額」は、「事業年度の基準期間中の国内における課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から事業年度の基準期間における売上げに係る税抜対価の返還等の金額の合計額を控除した残額」を指しています。

年換算前の税抜き純課税売上高のことです。

イの固有事業者の計算では、
年換算前の税抜き純課税売上高を求めるだけとなります。

受託事業者の計算

ロの規定をもう一度確認します。

「当該固有事業者の当該基準期間中に終了した」
「当該固有事業者に係る各法人課税信託等の受託事業者の」
「各事業年度における課税売上高の合計額」の合計額
とあります。

固有事業者の基準期間を計算した後に、
受託事業者の事業年度を計算します。

この事業年度の課税売上高を合計します。

固有事業者と受託事業者は、
原則として別の人として取り扱われますが、
基準期間における課税売上高の計算では合算します。

例えば、
・固有事業者の課税売上高 500万円、
・受託事業者の課税売上高の合計額 600万円
の場合、合計すると1100万円となります。

1000万円を超えるため、消費税を納める必要があります。
(租税回避防止規定でしょうね。)


確認した点

今回確認した規定は、消費税法第11条第1項から第3項までも対象になるのだろうか?と考えました。消費税法第15条第7項で「第九条の二第二項若しくは第三項、第十一条第四項又は第三十条第六項の規定にかかわらず、」とあるので、第11条第4項(過去に新設合併があった場合の特例)だけの規定です。


新しいこと
・朝ラン


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