今回は、外国税額控除の当初申告税額控除額の固定措置を確認します。
規定の趣旨
通算法人の場合、外国税額控除については全体計算します。
計算に誤りがあった場合は、全体再計算しないように、
1回目に申告した金額を固定します(固定措置)。
当初申告税額控除額の固定措置
規定の内容を確認してみましょう。
外国税額控除を適用する場合において、
通算法人の適用事業年度の税額控除額(注1、2回目に計算した金額)が、
当初申告税額控除額(注2、1回目に計算した金額)と異なるときは、
当初申告税額控除額(1回目の金額)を
税額控除額(2回目の金額)として取扱います。
注1、税額控除額
その適用事業年度における
外国税額控除の規定による控除をされるべき金額
注2、当初申告税額控除額
その適用事業年度の確定申告書に添付された書類に
その適用事業年度の税額控除額として記載された金額
2回目に計算した金額と1回目に計算した金額が異なるときは、
1回目に計算した金額を2回目に計算した金額として取扱います。
固定措置のイメージ
当初申告(1回目) | 再計算(2回目) |
---|---|
当初申告税額控除額 100 | 税額控除額 |
隠ぺい仮装があった場合等の不適用
次の場合には、
当初申告税額控除額の固定措置は適用されません。
1、税額控除額の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいや仮装して
税額控除を増加させて、法人税の負担を減少させようとする場合
2、税務署長が「法人税の負担を不当に減少させる結果となる」と認める場合
(法人税法64条の5第8項)
全体再計算を省略するために金額を固定しますが、
事実を隠ぺい、仮装して法人税を故意に減らす場合にまで、
全体再計算を省略する必要がないため、
上記の事由に該当する場合は金額を固定せずに全体再計算します。
参考規定
法人税法69条15項
当初申告税額控除額の固定措置
15 第一項から第三項までの規定を適用する場合において、通算法人の第一項から第三項までの各事業年度(当該通算法人に係る通算親法人の事業年度終了の日に終了するものに限るものとし、被合併法人の合併の日の前日の属する事業年度、残余財産の確定の日の属する事業年度及び公益法人等に該当することとなつた日の前日の属する事業年度を除く。以下第十七項までにおいて「適用事業年度」という。)の税額控除額(当該適用事業年度における第一項から第三項までの規定による控除をされるべき金額をいう。以下この条において同じ。)が、当初申告税額控除額(当該適用事業年度の第七十四条第一項(確定申告)の規定による申告書に添付された書類に当該適用事業年度の税額控除額として記載された金額をいう。以下この項及び第十七項において同じ。)と異なるときは、当初申告税額控除額を税額控除額とみなす。
法人税法69条15項
法人税法69条16項、隠ぺい仮装があった場合等の当初申告税額控除額の固定措置の不適用