少額の繰延資産の取扱い


内容

繰延資産は2種類あります。
1つ目は会計上の繰延資産、2つ目は税金計算上の繰延資産。

同じ繰延資産ですが、償却費の計算方法が異なります。

会計上の繰延資産(開業費と開発費)は、
原則として5年で均等に償却します。初年度は月数按分します。

税金計算上の繰延資産は、
「支出の効果の及ぶ期間の月数」で均等に償却します。

「支出の効果の及ぶ期間の月数」は、
基本通達で具体的に「礼金は原則として5年」と通達されています。
税金計算上の繰延資産についても初年度は月数按分します。

例外として、開業費だけは任意償却できます。
5年均等償却せずに、好きなタイミングで経費にできます。

税金計算上の繰延資産の例外として、20万円未満の繰延資産については、
償却計算しないで一時の費用となります。

この20万円については、税込経理だと税込金額で、
税抜経理だと税抜金額で判定します。

例えば、支払った礼金が税込金額209,000円の場合、
税込経理だと209,000円≧200,000円で償却計算が必要ですが、
税抜経理だと190,000円<200,000円となり、償却計算は不要です。

参考規定など

繰延資産の償却費の計算

(繰延資産の償却費の計算)
第百三十七条 法第五十条第一項(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する政令で定めるところにより計算した金額は、次の各号に掲げる繰延資産の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 第七条第一項第一号又は第二号(繰延資産の範囲)に掲げる繰延資産 その繰延資産の額を六十で除し、これにその年において不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行つていた期間の月数(その年がその繰延資産となる費用を支出した日の属する年である場合には、同日から当該業務を行つていた期間の末日までの期間の月数)を乗じて計算した金額(当該計算した金額が、その繰延資産の額のうち既にこの項の規定により不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入された金額以外の金額を超える場合には、当該金額。次号において同じ。)
二 第七条第一項第三号に掲げる繰延資産 その繰延資産の額をその繰延資産となる費用の支出の効果の及ぶ期間の月数で除し、これに前号に規定する業務を行つていた期間の月数を乗じて計算した金額

2 前項の月数は、暦に従つて計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを一月とする。

3 居住者が、第一項第一号に掲げる繰延資産につきその年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額として、当該繰延資産の額の範囲内の金額をその年分の確定申告書に記載した場合には、同号に掲げる金額は、同号の規定にかかわらず、当該金額として記載された金額とする。

所得税法施行令

繰延資産となる費用のうち少額のものの必要経費算入

(繰延資産となる費用のうち少額のものの必要経費算入)
第百三十九条の二 居住者が支出する第七条第一項第三号(繰延資産の範囲)に掲げる費用のうちその支出する金額が二十万円未満であるものについては、前款(繰延資産の償却)の規定にかかわらず、その支出する金額に相当する金額を、その者のその支出する日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

所得税法施行令

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