居住用賃貸建物の判定と判定時期


基本通達の内容

居住用賃貸建物の判定については、原則として課税仕入れを行った日の状況で判定します。課税仕入れを行った日に、「住宅の貸付け」の用に供しないことが明らかでない建物については、居住用賃貸建物として取り扱います。

基本通達では、課税期間の末日において、「住宅の貸付け」の用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして差し支えないとあります。

    課税仕入れ            課税期間の末日
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   住宅の貸付けの用に         住宅の貸付けの用に          
   供しないことが明らかでない     供しないことが明らかに
   建物                された
     ↓                 ↓
   居住用賃貸建物〇   居住用賃貸建物としなくても問題がありません。
(通達11-7-1、11-7-2、原則)     (通達11-7-2、許容)

具体例

例えば、有償か無償かを決めていない従業員社宅を取得した場合で、決算日(課税期間の末日)までに、無償と決めたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして取り扱うことができると考えられます。

他には、取得した時点では、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物」であったとしても、課税期間の末日までに工事などを行って、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされた場合も通達に該当すると考えられます。具体的には有償貸付けの事務所として使用できるように工事した場合です。工事の決定であっても通達が適用できる余地があります。

通達の関係

基本通達11-7-1は、建物の判断基準(主観的ではなく客観的に判断)を示すものです。基本通達11-7-2は、判断する時期(原則は取得時、末日判断を許容)を示すもので、基本通達11-2-20(課税仕入れ等の用途区分の判定時期)に併せたものです。

基本通達11-7-2がない場合、基本通達11-2-20の期末判定で課税売上げ対応になったとしても、居住用賃貸建物(取得時判定)として、消費税の控除ができなくなると考えられます。

参考通達

(住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物の範囲)
11-7-1 居住用賃貸建物は、住宅の貸付け(法別表第一第13号《住宅の貸付け》に掲げる住宅の貸付けをいう。以下この節において同じ。)の用に供しないことが明らかな建物(その附属設備を含む。以下この節において同じ。)以外の建物であることが要件となるが、「住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物」とは、建物の構造及び設備の状況その他の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが客観的に明らかなものをいい、例えば、次に掲げるようなものがこれに該当する。(令2課消2-9により追加)

(1) 建物の全てが店舗等の事業用施設である建物など、建物の設備等の状況により住宅の貸付けの用に供しないことが明らかな建物

(2) 旅館又はホテルなど、旅館業法第2条第1項《定義》に規定する旅館業に係る施設の貸付けに供することが明らかな建物

(3) 棚卸資産として取得した建物であって、所有している間、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかなもの

消費税法基本通達

(居住用賃貸建物の判定時期)
11-7-2 居住用賃貸建物に該当するかどうかは、課税仕入れを行った日(自己建設資産にあっては、法第12条の4第1項第2号《高額特定資産を取得した場合等の納税義務の免除の特例》に定める日。以下11-7-2において同じ。)の状況により判定し、同日において住宅の貸付けの用に供しないことが明らかでない建物(高額特定資産及び調整対象自己建設高額資産に限る。)については、居住用賃貸建物に該当するのであるが、当該課税仕入れを行った日の属する課税期間の末日において、住宅の貸付けの用に供しないことが明らかにされたときは、居住用賃貸建物に該当しないものとして差し支えない。(令2課消2-9により追加)

消費税法基本通達

(課税仕入れ等の用途区分の判定時期)
11-2-20 個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において、課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物を課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分は、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日の状況により行うこととなるのであるが、課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日において、当該区分が明らかにされていない場合で、その日の属する課税期間の末日までに、当該区分が明らかにされたときは、その明らかにされた区分によって法第30条第2項第1号《個別対応方式による仕入税額控除》の規定を適用することとして差し支えない。

消費税法基本通達
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