今回は、所得税のリース譲渡のうち、リース期間で計算する場合を確認してみましょう。
リース譲渡の計算方法は2つ
税法上の要件を満たす資産の賃貸借については、
資産の売買をしたものとして税金を計算する必要があります。
資産を貸す側の取引を「リース譲渡」といいます。
リース譲渡については、計算方法が2つあります。
・賦払金割合(代金の回収割合)に応じて計算する方法
・リース期間に応じて計算する方法
今回は、リース期間に応じて計算する方法を確認してみましょう。
リース期間に応じて計算する方法
リース譲渡に該当する場合は、
売上とコストを一括で計上するのが原則です。
ただし、リース取引の性質上、代金を分割して受け取りますので、売上とコストの分割計上が認められています。
リース期間による計算は、リース期間で売上とコストを按分計算します。
規定では、
・イ(元本相当額)+ロ(利息相当額)の合計額=売上金額
・ハの金額=コスト
と定められています。
算式で示します。
イの金額=
・リース譲渡の売上-利息相当額=元本相当額
・元本相当額÷リース期間の月数×その年のリース期間の月数(定額法)
例えば、次の場合
・リース譲渡の売上 5,500,000円
・利息相当額 462,322円
元本相当額は、
5,500,000円-462,322円=5,037,678円となります。
5,037,678円を月数按分します。
・リース期間の月数 60月
・その年のリース期間の月数 12月
の場合は、5,037,678円÷60月×12月=1,007,536円となります。
ロの金額=その年の利息相当額
1年目の利息相当額が151,130円の場合、
イ+ロ=元本相当額1,007,536円+利息相当額151,130円
=1,158,666円が売上金額となります。
ハの金額=
・リース譲渡のコスト÷リース期間の月数×その年のリース期間の月数
コストが4,000,000円の場合、
4,000,000円÷60月×12月=800,000円が1年分のコストとなります。
利益は、
売上金額1,158,666円-コスト800,000円=358,666円となります。
利息相当額はリース料(元本と利息)を支払うと減少しますので、売上金額(利益)も減少していきます。
参考情報、下記の前提で計算しています。
・リース料 年払い
・1,100,000円の後払い
・リース期間 5年
・契約開始月 1月
・リース譲渡対価 5,500,000円
・利率 3%
・売上原価(コスト) 4,000,000円
参考規定
リース譲渡の利息法の計算
(延払基準の方法)
所得税法施行令188条第1項第2号、施行日令和6年4月1日
第百八十八条 法第六十五条第一項(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)に規定する政令で定める延払基準の方法は、次に掲げる方法とする。
一 省略
二 リース譲渡に係るイ及びロに掲げる金額の合計額をその年分の収入金額とし、ハに掲げる金額をその年分の費用の額とする方法
イ 当該リース譲渡の対価の額から利息相当額(当該リース譲渡の対価の額のうちに含まれる利息に相当する金額をいう。ロにおいて同じ。)を控除した金額(ロにおいて「元本相当額」という。)をリース資産(法第六十五条第一項に規定するリース資産をいう。)のリース期間(同項に規定するリース取引に係る契約において定められた当該リース資産の賃貸借の期間をいう。以下この号及び第三項において同じ。)の月数で除し、これにその年における当該リース期間の月数を乗じて計算した金額
ロ 当該リース譲渡の利息相当額がその元本相当額のうちその支払の期日が到来していないものの金額に応じて生ずるものとした場合にその年におけるリース期間に帰せられる利息相当額
ハ 当該リース譲渡の原価の額をリース期間の月数で除し、これにその年における当該リース期間の月数を乗じて計算した金額