今回は、法人税のリース譲渡の経過措置のうち、5年均等計上する場合を確認してみましょう。
主な経過措置は2つ
リース会計基準の変更に併せて、法人税の取扱いも変わります。具体的には、リース資産を販売した場合(リース譲渡)の特例が廃止されます。
急に取扱いが変わると取引や法人税に影響が生じるため、一定の期間、例外が設けられています。経過措置といいます。
リース譲渡の主な経過措置は、2つあります。
1、原則的な取扱い
2、未計上の収益が未計上の経費を超える場合
参考リンク、原則的な取扱い
・法人税のリース譲渡はどう変わる?
今回は、2の取扱いを確認してみましょう。
未計上の収益が未計上の経費を超える場合
法案を確認してみましょう。
4 旧効力法人税法第六十三条第一項本文又は第二項本文の規定の適用を受ける法人のその適用に係る旧リース譲渡に係る収益の額及び費用の額が前項各号に掲げる場合に該当する場合において、当該旧リース譲渡に係る未計上収益額が当該旧リース譲渡に係る未計上費用額を超えるときは、同項の規定にかかわらず、第一号に掲げる金額(解散若しくは事業の全部の廃止若しくは譲渡(適格分割による分割承継法人への譲渡その他の政令で定めるものを除く。)の日の属する事業年度、清算中の事業年度又は被合併法人の合併(適格合併を除く。)の日の前日の属する事業年度、普通法人又は協同組合等が公益法人等に該当することとなる場合におけるその該当することとなる日の前日の属する事業年度及び同号に掲げる金額がそれぞれ第二号に掲げる金額を超える事業年度にあっては、同号に掲げる金額)を、基準事業年度以後の各経過措置事業年度の所得の金額の計算上、益金の額及び損金の額に算入する。
所得税法等の一部を改正する法律案
以下省略
・旧効力法人税法第63条第1項本文(延払基準、賦払金割合、リース譲渡)
・旧効力法人税法第63条第2項本文(20%相当額を利息相当額とする特例)
の特例を利用する法人が対象です。
上記特例の収益の額と費用の額が一定の場合に
・未計上収益額>未計上費用額
の場合は、原則的な経過措置ではなく、今回確認する経過措置により計算する必要があります。
一定の場合は、次の2つです。
・令和9年3月31日以前に始まる経過措置事業年度の決算で延払基準を止めた場合
・延払基準を継続したが、未計上の金額がある場合(例外あり)
所得税の取扱いとほとんど同じです。カッコ書きが異なります。
・解散
・事業の全部廃止、全部譲渡(適格分割など一定のものを除く。)
・清算
・被合併法人の合併前日(適格合併を除く。)
・普通法人などが公益法人等に移行する日の前日
に関する事業年度については、計上額が変わります。
原則は、5年均等計上
計算方法は、2つあります。通常は、第1号の金額となります。
一 当該未計上収益額及び未計上費用額をそれぞれ六十で除し、これらに当該事業年度の月数を乗じて計算した金額
所得税法等の一部を改正する法律案
二 イに掲げる金額からロに掲げる金額を控除した金額
イ 当該未計上収益額及び未計上費用額
ロ イに掲げる金額のうち当該事業年度前の各事業年度の所得の金額の計算上益金の額及び損金の額に算入された金額
第1号
・未計上収益額÷60×事業年度の月数を益金算入
・未計上費用額÷60×事業年度の月数を損金算入
第2号
・第1号の金額>第2号の金額となる場合
・カッコ書き(解散など)に該当する場合
は、第2号の金額を計上します。
計上額(残額)=イの金額-ロの金額
イの金額=未計上収益額と未計上費用額
ロの金額=未計上収益額と未計上費用額のうち、過去に益金算入・損金算入した金額
まだ計上されていない残額を該当する事業年度で計上するという意味です。
リース譲渡の経過措置の5年均等計上を利用する場合は、確定申告書に別表を添付する必要がありますので注意しましょう。
参考規定など
5年均等計上の経過措置は、確定申告書の別表添付が必要。
5 前項の規定は、基準事業年度の確定申告書(基準事業年度の中間申告書で法人税法第七十二条第一項各号又は第百四十四条の四第一項各号若しくは第二項各号に掲げる事項を記載したものを提出する場合には、その中間申告書。次項において同じ。)に前項の規定により益金の額及び損金の額に算入される金額の申告の記載がある場合に限り、適用する。
所得税法等の一部を改正する法律案
やむを得ない事情があれば、記載がなくても認められる。
6 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があった場合においても、その記載がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第四項の規定を適用することができる。
所得税法等の一部を改正する法律案
1月未満の端数は、切り捨て。
7 第四項第一号の月数は、暦に従って計算し、一月に満たない端数を生じたときは、これを切り捨てる。
所得税法等の一部を改正する法律案
その他
8 適格合併、適格分割又は適格現物出資により旧リース譲渡に係る契約の移転があった場合における当該旧リース譲渡に係る収益の額及び費用の額の処理の特例その他第二項から第四項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
所得税法等の一部を改正する法律案