今回は、消費税のリース譲渡の経過措置のうち、施行令の附則第3条第9項を確認してみましょう。
規定の確認
先に規定を確認してみましょう。
9 改正法附則第二十二条第五項(前二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下第二十項までにおいて同じ。)の規定の適用を受ける事業者の同条第五項の規定の適用を受ける旧リース譲渡に係る未計上譲渡額(同項第一号に規定する未計上譲渡額をいう。以下この条において同じ。)につき同号の規定による控除をして控除しきれない金額がある場合には、当該未計上譲渡額のうち当該控除しきれない金額に係る部分については、当該控除しきれない金額が生じた適用課税期間(同項に規定する適用課税期間をいう。第二十項において同じ。)において、当該控除に係る資産の譲渡等につき消費税法第三十八条第一項に規定する売上げに係る対価の返還等をしたものとみなして、同法(同条第二項及び第五十七条の四第三項を除く。)の規定を適用する。
消費税法施行令附則(令和七年三月三一日政令第一二五号)抄、第3条第9項
改正法附則第22条第5項を確認してみましょう。
5 旧効力消費税法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者のその適用に係る旧リース譲渡が、前二項に規定する場合のいずれかに該当する場合には、これらの規定にかかわらず、当該旧リース譲渡のうち、第一号に掲げる金額(同号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超える課税期間にあっては、同号に掲げる金額)に係る部分については、当該事業者が不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等以後の各年又は各事業年度の末日の属する各課税期間(以下この項及び次項において「適用課税期間」という。)において、資産の譲渡等を行ったものとみなすことができる。
一 当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で、不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分の金額(以下この項において「未計上譲渡額」という。)を百二十で除し、これに当該適用課税期間が含まれる年又は事業年度の月数を乗じて計算した金額(当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額)
二 当該未計上譲渡額から当該未計上譲渡額のうち当該適用課税期間前の各課税期間において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額を控除した金額
10年(120回)分割でリース譲渡を計算できる特例です。
前2項(施行令附則第3条第7項と第8項)を確認してみましょう。
7 事業者(改正法附則第二十二条第二項に規定する事業者に該当するものを除く。)が、相続又は合併若しくは分割により同項の規定によりなおその効力を有するものとされる旧法第十六条第一項又は第二項本文の規定の適用を受ける事業者の旧リース譲渡に係る事業を承継した場合(旧効力令第三十四条第一項第二号若しくは第三号又は第三十五条第一項第一号若しくは第二号(同条第五項において準用する場合を含む。)に掲げる場合に該当することとなった場合を除く。)には、当該事業を承継した事業者の当該事業に係る旧リース譲渡が改正法附則第二十二条第三項に規定する場合に該当するものとみなして、同条第三項及び第五項の規定を適用する。この場合において、同条第三項及び第五項第一号中「支払を受けたもの」とあるのは、「支払を受けたもの(既に当該旧リース譲渡に係る事業を承継させた被相続人又は消費税法第二条第一項第五号の二に規定する被合併法人若しくは同項第六号に規定する分割法人が支払を受けたものを含む。)」とする。
旧リース譲渡の経過措置の特例がない相続人が、旧リース譲渡の経過措置の特例がある被相続人のリース譲渡を承継した場合などの規定です。
8 旧効力令第三十二条の二第一項又は第二項の規定の適用がある場合における改正法附則第二十二条第三項から第五項までの規定及び第六項の規定の適用については、同条第三項及び第四項中「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)」とあるのは「の前日以前に既に資産の譲渡等を行ったものとした部分に係る金額以外の金額」と、同条第五項第一号中「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分」とあるのは「の前日以前に既に資産の譲渡等を行ったものとした部分に係る金額以外」と、第六項中「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日」とあるのは「の前日」と、「支払を受けたものを除く。)」とあるのは「資産の譲渡等を行ったものとした部分に係る金額以外の金額」とする。
元本相当額と利息相当額に分けて計算する特例の読替規定です。
取扱い
「旧リース譲渡に係る未計上譲渡額(同項第一号に規定する未計上譲渡額をいう。以下この条において同じ。)につき同号の規定による控除をして控除しきれない金額がある場合」とありますので、第1号の未計上譲渡額を確認してみましょう。
一 当該旧リース譲渡に係る賦払金の額で、不適用基準事業年度等又は満了基準事業年度等の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分の金額(以下この項において「未計上譲渡額」という。)を百二十で除し、これに当該適用課税期間が含まれる年又は事業年度の月数を乗じて計算した金額(当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額)
3つ目のカッコ書きを確認してみましょう。
「当該未計上譲渡額に当該年又は当該事業年度において資産の譲渡等を行ったものとみなされた部分に係る金額がある場合には、当該金額を控除した残額」
数字で確認してみましょう。
当該未計上譲渡額 1200÷120=10×12=120
カッコ書き
当該年などにおいてみなされた部分に係る金額 140
当該金額140を控除した残額0
残額とありますので、マイナスは生じません。
ただし、控除しきれない金額が20発生します。
「当該控除に係る資産の譲渡等につき消費税法第38条第1項に規定する売上げに係る対価の返還等をしたものとみなして、同法(同条第二項及び第五十七条の四第三項を除く。)の規定を適用する。
この20については、売上のマイナスとして取り扱う必要があります。
カッコ書きで、
・第38条第2項
・第57条の4第3項
の2つが除外されています。
第38条第2項は、売上のマイナスとして取り扱う場合の手続き規定です。
第57条の4第3項は、売上返還インボイスの規定です。
カッコ書きで除外されていますので、上記2つの規定は適用する必要がなくなります。