今回は、消費税の現金基準を止める場合の調整計算を確認してみましょう。
調整方法は3つ
消費税の現金基準を止める場合、
計上不足が生じるため、調整計算が必要となります。
消費税の調整計算は、3つあります。
・売上
・課税仕入れ
・特定課税仕入れ(特殊な課税仕入れ)
売上の調整
売上については、
・10%課税売上げ
・軽減8%課税売上げ
・免税売上げ
・非課税売上げ
等、売上の種類に応じて、調整計算が必要です。
調整方法に関する規定を先に確認してみましょう。
売上の取扱い
一 法第十八条第一項の規定の適用を受けることとなつた課税期間の初日の前日における資産の譲渡等に係る前受金の額の合計額から同項の規定の適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日における資産の譲渡等に係る前受金の額の合計額を控除した残額に係る部分については、その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が資産の譲渡等を行つたものとみなす。
消費税法施行規則第12条第1項第1号、施行日令和6年4月1日
現金基準を選択する直前の前受金(例3,000)から
現金基準を止める直前の前受金(例2,400)を
マイナスした残額(3,000-2,400=600)を計算します。
残額600(前受金の減少額)を
最後に現金基準で計算する期間(課税期間)の
売上にプラスして調整します。
前受金の減少額については、
現金基準を止めると売上として集計できないからです。
課税仕入れの調整
仕入については、
・10%課税仕入れ
・軽減8%課税仕入れ
の2つに分けて調整計算が必要です。
調整方法に関する規定を先に確認してみましょう。
仕入・経費等の取扱い
二 法第十八条第一項の規定の適用を受けることとなつた課税期間の初日の前日における課税仕入れに係る前払金の額の合計額から同項の規定の適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日における課税仕入れに係る前払金の額の合計額を控除した残額に係る部分については、その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が課税仕入れを行つたものとみなす。
消費税法施行規則第12条第1項第2号、施行日令和6年4月1日
現金基準を選択する直前の前払金(例2,500)から
現金基準を止める直前の前払金(例1,800)を
マイナスした残額(2,500-1,800=700)を計算します。
残額700(前払金の減少額)を
最後に現金基準で計算する期間(課税期間)の
課税仕入れにプラスして調整します。
前払金の減少額については、
現金基準を止めると課税仕入れとして集計できないからです。
特定課税仕入れ(特殊な仕入れ)についても、
国内の課税仕入れと同様に計算します。
参考規定
前受金、前払金、控除しきれない場合の取扱い
2 前項の場合における前受金に係る資産の譲渡等、前払金に係る課税仕入れ又は前払金に係る特定課税仕入れを行つた時期の特例、同項各号の規定による控除をして控除しきれない金額が生じた場合における控除しきれない金額の処理の方法その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、財務省令で定める。
消費税法施行令第40条第2項、施行日令和6年4月1日
現金基準を止める場合の調整計算
(小規模事業者等に係る資産の譲渡等の時期の特例)
消費税法施行規則第12条第1項、施行日令和6年4月1日
第十二条 法第十八条第一項の規定の適用を受ける個人事業者がその適用を受けないこととなつた場合における前受金に係る資産の譲渡等、前払金に係る課税仕入れ(特定課税仕入れ(法第五条第一項に規定する特定課税仕入れをいう。以下この項において同じ。)に該当するものを除く。以下この条において同じ。)又は前払金に係る特定課税仕入れを行つた時期については、次に定めるところによる。
以下省略
特定課税仕入れ(リバースチャージ)の取扱い
三 法第十八条第一項の規定の適用を受けることとなつた課税期間の初日の前日における特定課税仕入れに係る前払金の額の合計額から同項の規定の適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日における特定課税仕入れに係る前払金の額の合計額を控除した残額に係る部分については、その適用を受けないこととなつた課税期間の初日の前日において当該個人事業者が特定課税仕入れを行つたものとみなす。
消費税法施行規則第12条第1項第3号、施行日令和6年4月1日