特定新株予約権の行使による株式の取得をした場合の所得税の非課税_手続き関係


今回は、特定新株予約権の行使による株式の取得をした場合の所得税の非課税のうち、手続き関係を確認してみましょう。

手続き

今回確認する規定は、こちらです。

2 前項本文の規定は、権利者が特定新株予約権の行使をする際、次に掲げる要件(権利者が行使をする特定新株予約権が取締役等に対して与えられたものである場合には、第一号及び第三号に掲げる要件)を満たす場合に限り、適用する。以下省略

租税特別措置法第29条の2第2項、令和7年12月1日施行

前項(第1項)本文の規定は、所得税の非課税です。

・取締役等
・権利承継相続人
・特定従事者
の3つを併せて「権利者」といいます。

権利者が特定新株予約権を行使する場合、
次の4つの要件を満たすときに限り、所得税が課税されなくなります。

カッコ書きにより、取締役等については、
第1号要件と第3号要件の2つを満たす必要があります。
(第2号要件と第4号要件は、不要)

手続きの要件は、次の4つです。

第1号の書面提出の要件

第1号要件は、権利者が誓約書を株式会社に提出したことです。

誓約書の内容
権利者が特定新株予約権に係る付与決議の日において
・株式会社の大口株主
・大口株主の特別関係者
に該当しなかったこと

非課税要件の1つ(大口株主等でない)を満たしていることを書面により誓約する必要があります。

(大口株主と大口株主の特別関係者の定義は、第1項に規定されています。2つとも政令を確認する必要があります。)

参考規定

一 当該権利者が、当該権利者(その者が権利承継相続人である場合には、その者の被相続人である取締役等)が当該特定新株予約権に係る付与決議の日において当該行使に係る株式会社の大口株主及び大口株主の特別関係者に該当しなかつたことを誓約する書面を当該株式会社に提出(当該書面の提出に代えて行う電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下この項及び次項において同じ。)による当該書面に記載すべき事項の提供を含む。)をしたこと。

租税特別措置法第29条の2第2項第1号、令和7年12月1日施行
第2号の書面提出の要件

第2号要件は、権利者が誓約書を株式会社に提出したことです。

誓約書の内容
権利者に係る「認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画」の
・実施時期の開始等の日から
・行使の日まで
引き続き居住者であつたこと

非課税の要件の1つ(居住者要件)を満たしていることを書面により誓約する必要があります。

参考規定

二 当該権利者が、当該権利者に係る認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画の実施時期の開始等の日から当該行使の日まで引き続き居住者であつたことを誓約する書面を当該行使に係る株式会社に提出(当該書面の提出に代えて行う電磁的方法による当該書面に記載すべき事項の提供を含む。)をしたこと。

租税特別措置法第29条の2第2項第2号、令和7年12月1日施行
第3号の書面提出の要件

第3号要件は、権利者が書面を株式会社に提出したことです。

書面の記載内容
・特定新株予約権の行使日を含む年における権利者の「他の特定新株予約権」の行使の有無
・その他財務省令で定める事項

参考規定

三 当該権利者が、当該特定新株予約権の行使の日の属する年における当該権利者の他の特定新株予約権の行使の有無(当該他の特定新株予約権の行使があつた場合には、当該行使に係る権利行使価額及びその行使年月日)その他財務省令で定める事項を記載した書面を当該行使に係る株式会社に提出(当該書面の提出に代えて行う電磁的方法による当該書面に記載すべき事項の提供を含む。次号において同じ。)をしたこと。

租税特別措置法第29条の2第2項第3号、令和7年12月1日施行
第4号の要件

第4号要件は、株式会社が一定の事項を確認し、前号(第3号)の書面に確認した事実を記載することです。

確認事項
株式会社が、権利者に係る「認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画」につき中小企業等経営強化法第9条第2項の規定による「認定の取消し」がなかったこと

参考規定

四 当該行使に係る株式会社が、当該権利者に係る認定社外高度人材活用新事業分野開拓計画につき中小企業等経営強化法第九条第二項の規定による認定の取消しがなかつたことを確認し、当該権利者から提出を受けた前号の書面(電磁的方法により提供された当該書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。次項において同じ。)を含む。)に当該確認をした事実を記載し、又は記録したこと。

租税特別措置法第29条の2第2項第4号、令和7年12月1日施行

手続き要件のまとめ

取締役等
・第1号の誓約書を株式会社に提出。大口株主等でない。
・第3号の書面を株式会社に提出。他の特定新株予約権の状況を知らせる。

社外の個人(特定従事者)
・第1号、誓約書を株式会社に提出、大口株主等でない。
・第2号、誓約書を株式会社に提出、居住者であった。
・第3号、書面を株式会社に提出。他の特定新株予約権の状況を知らせる。
・第4号、認定の取消しがなかったことの確認と事実の記載

第1号から第4号までは、データで要件を満たすことも可能です。

書面やデータの保存

株式会社は、上記の第1号から第3号までの書面やデータの保存が必要です。

参考規定

3 前項第一号から第三号までの株式会社は、同項第一号から第三号までの書面の同項第一号から第三号までに規定する提出を受けた場合には、財務省令で定めるところにより、これらの書面(電磁的方法により提供されたこれらの書面に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)を保存しなければならない。

租税特別措置法第29条の2第3項、令和7年12月1日施行

財務省令で定める内容

6 法第二十九条の二第二項第一号から第三号までの株式会社は、同項第一号から第三号までに規定する提出を受けた同条第三項に規定する書面を、他の関係書類(電磁的方法により提供された当該関係書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録を含む。)とともに各人別に整理し、当該提出を受けた日の属する年の翌年から五年間保存しなければならない。

租税特別措置法施行規則第11条の3第6項、令和7年12月1日施行

書類の提出を受けた日の属する年の「翌年」から5年間が保存期間です。

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