今回は、療養や医療に関する消費税の非課税のうち、消費税法施行令を確認してみましょう。
療養や医療に関する非課税
消費税法の別表第2に規定されている取引については、消費税が特別に課税されません。非課税といいます。
療養や医療に関する取引の非課税は、7つあります。
7つ目のトの規定は、
イからヘまでに掲げる療養又は医療に類するものとして政令で定めるもの
と規定されていますので、消費税法施行令を確認する必要があります。
予防接種法などに基づく医療
消費税法施行令に規定されている非課税は、全部で24個あります。
3つ目は、予防接種法などに基づく医療です。
三 予防接種法(昭和二十三年法律第六十八号)又は新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法(平成二十一年法律第九十八号)の規定に基づく医療費の支給に係る医療
消費税法施行令第14条第3号、令和7年4月1日施行
・予防接種法
・新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法
の規定に基づく医療費の支給に係る医療
予防接種の費用については、消費税が課税されます。非課税に規定されていないからです。
上記2つの法律の医療については、非課税になりますが、何が異なるのでしょうか?
予防接種法を確認してみましょう。
(定義)
予防接種法第2条第1項、令和6年4月1日施行
第二条 この法律において「予防接種」とは、疾病に対して免疫の効果を得させるため、疾病の予防に有効であることが確認されているワクチンを、人体に注射し、又は接種することをいう。
第2項にはA類疾病、第3項にはB類疾病が定義されています。B類疾病の中に、インフルエンザや新型インフルエンザ等感染症があります。
病気になることを避けるために予防接種をしますが、予防接種が原因で病気になることがあります。この場合には、医療が受けられます。
(給付の範囲)
予防接種法第16条第1項、令和6年4月1日施行
第十六条 A類疾病に係る定期の予防接種等又はB類疾病に係る臨時の予防接種を受けたことによる疾病、障害又は死亡について行う前条第一項の規定による給付は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
一 医療費及び医療手当 予防接種を受けたことによる疾病について医療を受ける者
以下省略
2 B類疾病に係る定期の予防接種を受けたことによる疾病、障害又は死亡について行う前条第一項の規定による給付は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
予防接種法第16条第2項、令和6年4月1日施行
一 医療費及び医療手当 予防接種を受けたことによる疾病について政令で定める程度の医療を受ける者
以下省略
・A類疾病の定期の予防接種と臨時の予防接種(予防接種等)
・B類疾病の臨時の予防接種
・B類疾病の定期の予防接種
が原因で病気などになった場合は、医療費などが給付されます。この場合の医療費については、消費税が非課税となります。
「新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法」についても同じ仕組みです。
その他
4つ目から8つ目までの取扱いを確認してみましょう。
4つ目
・麻薬及び向精神薬取締法
・感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
の規定に基づく医療
5つ目
・検疫法
の規定に基づく入院に係る医療
6つ目
・沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令
第3条や第4条の規定に基づく医療費の支給に係る医療
・第3条には、精神障がい者の医療に関する特別措置
・第4条には、結核患者の医療に関する特別措置
が規定されています。
7つ目
・難病の患者に対する医療等に関する法律
の規定に基づく特定医療費の支給に係る医療
8つ目
・学校保健安全法
第24条(地方公共団体の援助)の規定に基づく医療に要する費用の援助に係る医療
参考規定
消費税法施行令第14条、非課税となる療養、医療等の範囲
(療養、医療等の範囲)
消費税法施行令第14条、令和7年4月1日施行
第十四条 法別表第二第六号トに規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
四 麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)又は感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)の規定に基づく医療
五 検疫法(昭和二十六年法律第二百一号)の規定に基づく入院に係る医療
六 沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和四十七年政令第百八号)第三条(精神障害者の医療に関する特別措置)又は第四条(結核患者の医療に関する特別措置)の規定に基づく医療費の支給に係る医療
七 難病の患者に対する医療等に関する法律(平成二十六年法律第五十号)の規定に基づく特定医療費の支給に係る医療
八 学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第二十四条(地方公共団体の援助)の規定に基づく医療に要する費用の援助に係る医療
新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法、給付の範囲、3つ目に関するもの
(給付の範囲)
新型インフルエンザ予防接種による健康被害の救済に関する特別措置法第4条、令和4年12月9日施行
第四条 前条第一項の規定による給付(以下この章において「給付」という。)は、次の各号に掲げるとおりとし、それぞれ当該各号に定める者に対して行う。
一 医療費及び医療手当 新型インフルエンザ予防接種を受けたことによる疾病について政令で定める程度の医療を受ける者
以下省略
沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令、第3条、6つ目に関するもの
(精神障害者の医療に関する特別措置)
沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令第3条第1項、令和7年6月1日施行
第三条 沖縄県知事は、法の施行の際沖縄の精神衛生法(千九百六十年立法第百二号)第二十六条又は第四十五条の規定により琉球政府の負担において精神障害について医療を受けている者が、法の施行の日(以下「施行日」という。)以後沖縄県の区域内に居住している間に当該精神障害について医療(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第二十九条第一項又は第二十九条の二第一項の規定により入院する場合の医療を除く。)を受けたときは、その者に対し、医療費を支給する。沖縄県の区域内に居住している者が、精神障害(前段に規定する医療費の支給を受けることができるものを除く。)について病院又は診療所へ収容しないで行われる医療を受けたときも、当分の間、同様とする。
沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令、第4条
(結核患者の医療に関する特別措置)
沖縄の復帰に伴う厚生省関係法令の適用の特別措置等に関する政令第4条第1項、令和7年6月1日施行
第四条 沖縄県知事は、法の施行の際沖縄の結核予防法(千九百五十六年立法第八十五号)第二十三条の規定により琉球政府の負担において結核について医療を受けている者が、施行日以後沖縄県の区域内に居住している間に当該結核について医療を受けたときは、その者に対し、医療費を支給する。沖縄県の区域内に居住している者が、結核(前段に規定する医療費の支給を受けることができるものを除く。)について医療を受けたときも、当分の間、同様とする。
学校保健安全法、8つ目に関するもの
(地方公共団体の援助)
学校保健安全法第24条、平成28年4月1日施行
第二十四条 地方公共団体は、その設置する小学校、中学校、義務教育学校、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部若しくは中学部の児童又は生徒が、感染性又は学習に支障を生ずるおそれのある疾病で政令で定めるものにかかり、学校において治療の指示を受けたときは、当該児童又は生徒の保護者で次の各号のいずれかに該当するものに対して、その疾病の治療のための医療に要する費用について必要な援助を行うものとする。
一 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)第六条第二項に規定する要保護者
二 生活保護法第六条第二項に規定する要保護者に準ずる程度に困窮している者で政令で定めるもの