相当の地代を支払っている場合の貸家建付借地権等の価額


今回は、相当の地代を支払っている場合の貸家建付借地権等の価額を確認してみましょう。

相当の地代を支払っている場合の貸家建付借地権等の価額

今回確認する通達は、こちらです。

相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sozoku/850605/01.htm

10 (1) 3((相当の地代を支払っている場合の借地権の評価))から5((「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額))までに定める借地権(以下「相当の地代を支払っている場合の借地権等」という。)が設定されている土地について、貸家の目的に供された場合又は相当の地代の支払、相当の地代に満たない地代の支払若しくは無償返還届出書の提出により借地権の転貸があった場合の評価基本通達28((貸家建付借地権の評価))から31((借家人の有する宅地等に対する権利の評価))までに定める貸家建付借地権、転貸借地権、転借権又は借家人の有する権利の価額は、相当の地代を支払っている場合の借地権等の価額を基として1((相当の地代を支払って土地の借受けがあった場合)から9((相当の地代を引き下げた場合))までの定めによるものとする。

分けて見てみましょう。

3((相当の地代を支払っている場合の借地権の評価))から5((「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額))までに定める借地権(以下「相当の地代を支払っている場合の借地権等」という。)が設定されている土地について、

通達の3番から5番までが対象です。
3番、相当の地代を支払っている場合の借地権の評価
4番、相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の評価
5番、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額

続きを見てみましょう。

貸家の目的に供された場合

又は

相当の地代の支払
相当の地代に満たない地代の支払
無償返還届出書の提出
により借地権の転貸があった場合

前半は土地を借りて建物を建てて賃貸している場合、
後半は土地を借りて借地権を転貸している場合です。

の評価基本通達28((貸家建付借地権の評価))から31((借家人の有する宅地等に対する権利の評価))までに定める貸家建付借地権、転貸借地権、転借権又は借家人の有する権利の価額は、

28番、貸家建付借地権等の評価
29番、転貸借地権の評価
30番、転借権の評価
31番、借家人の有する宅地等に対する権利の評価

に定める
28番、貸家建付借地権
29番、転貸借地権
30番、転借権
31番、借家人の有する権利の価額
は、とあり、28番から31番までが対応しています。

相当の地代を支払っている場合の借地権等の価額を基として
1((相当の地代を支払って土地の借受けがあった場合)
から9((相当の地代を引き下げた場合))までの定めによるものとする。

「相当の地代を支払っている場合の借地権等」を基として、基本通達1から基本通達9までの定めによるものとします。

基本通達の趣旨を確認してみましょう。

借地権の設定された土地について権利金の支払に代え相当の地代を支払うなどの特殊な場合の相続税及び贈与税の取扱いを定めたものである。
 したがって、借地権の設定に際し通常権利金を支払う取引上の慣行のある地域において、通常の地代(その地域において通常の賃貸借契約に基づいて通常支払われる地代をいう。)を支払うことにより借地権の設定があった場合又は通常の地代が授受されている借地権若しくは貸宅地の相続、遺贈又は贈与があった場合には、この通達の取扱いによることなく、相続税法基本通達及び相続税財産評価に関する基本通達等の従来の取扱いによるのであるから留意する。

借地権の設定された土地について、権利金の支払いに代えて、相当の地代を支払うなどの特殊な場合の取扱いを定めた通達が1番から11番まであります。
(今確認している通達は、10番です。)

そのため、
3番、相当の地代を支払っている場合の借地権の評価
4番、相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の評価
5番、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額
の3つの借地権については、

通常の借地権等ではなく、
「相当の地代を支払っている場合の借地権等」を基に
基本通達1から基本通達9までが適用されることになります。

(1)以外の借地権の場合

(1)の続きに(2)が規定されています。

(2) 借地権(1)に該当する借地権を除く。)が設定されている土地について、相当の地代の支払、相当の地代に満たない地代の支払又は無償返還届出書の提出により借地権の転貸があった場合の評価基本通達29((転貸借地権の評価))から31((借家人の有する宅地等に対する権利の評価))までに定める転貸借地権、転借権又は借家人の有する権利の価額は、評価基本通達27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額を基として1((相当の地代を支払って土地の借受けがあった場合))から9((相当の地代を引き下げた場合))までの定めによるものとする。

こちらも分けて見てみましょう。

借地権(1)に該当する借地権を除く。)が設定されている土地について、

(1)に該当する借地権を除くとあります。

3((相当の地代を支払っている場合の借地権の評価))から5((「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額))までに定める借地権(以下「相当の地代を支払っている場合の借地権等」という。)

3番、相当の地代を支払っている場合の借地権の評価
4番、相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の評価
5番、「土地の無償返還に関する届出書」が提出されている場合の借地権の価額
に該当する3つの借地権は、対象から外れます。

ということは、通常の借地権を指しているのでしょう。

相当の地代の支払
相当の地代に満たない地代の支払
無償返還届出書の提出
により借地権の転貸があった場合

(1)と比較しますと、「貸家の目的に供された場合」がありません。
(2)は、借地権の転貸のみです。

の評価基本通達29((転貸借地権の評価))から31((借家人の有する宅地等に対する権利の評価))までに定める転貸借地権、転借権又は借家人の有する権利の価額は、

28番、貸家建付借地権等の評価
29番、転貸借地権の評価
30番、転借権の評価
31番、借家人の有する宅地等に対する権利の評価

に定める
28番、貸家建付借地権
29番、転貸借地権
30番、転借権
31番、借家人の有する権利の価額
は、とあり、29番から31番までが対応しています。

評価基本通達27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額を基として1((相当の地代を支払って土地の借受けがあった場合))から9((相当の地代を引き下げた場合))までの定めによるものとする。

評価基本通達27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額を基に
基本通達1から基本通達9までが適用されることになります。

(1)と(2)の相違点

(1)は、相当の地代を支払っている場合の借地権等を基に、基本通達1番から基本通達9番までを適用します。

(2)は、評価基本通達27((借地権の評価))の定めにより評価したその借地権の価額を基に、基本通達1番から基本通達9番までを適用します。

(1)は相当の地代に関する通達が適用されている場合は、通常の借地権ではなく相当の地代を支払っている場合の借地権等を基に計算するということが確認できます。

(2)は、(1)以外の借地権とあるため、通常の借地権(通達27番)を基に、基本通達1番から基本通達9番までを適用するとあります。

(1)と(2)の借地権は、内容が異なるにもかかわらず、同じ基本通達を適用します。

(1)は、1回目の貸付けが相当の地代の内容があり、2回目の貸付けも相当の地代の内容があるケースです。

(2)は、1回目の貸付けは相当の地代の内容がなく、2回目の貸付けで相当の地代の内容があるケースです。

そのため、(1)の借地権については、相当の地代を支払っている場合の借地権等を基に2回目の計算を、(2)の借地権については、通常の借地権(27番)を基に、2回目の計算をするという意味なのでしょう。

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