今回は、
1、相続税の申告書を提出する前に亡くなった場合
2、相続時精算課税を選択した場合の還付申告
の2つを確認してみましょう。
亡くなった方の相続人が提出する。
今回は確認する規定はこちら↓
2 前項の規定により申告書を提出すべき者が当該申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合には、その者の相続人(注1)は、その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(注2)に、政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
(カッコ書きは省略)
前項(第1項、相続税の申告書を提出する義務)の規定により申告書を提出する必要がある人が、相続税の申告書の提出期限前に相続税の申告書を提出しないで亡くなった場合が、要件です。
参考リンク
・相続税の申告書
この場合、相続税の申告書を提出する必要がある人の相続人が、亡くなった人に代わって相続税の申告書を提出する必要があります。
例えば、次の場合
・父A
・父Aの子B
・Bの配偶者C
・BとCの子D
父Aが亡くなり、子Bに相続税の申告義務がある場合に、子Bが相続税の申告期限前に相続税の申告書を提出しないで亡くなったときは、子Bの相続人(配偶者Cと子D)が子Bに代わって相続税の申告書を提出する必要があります。
いつまでに提出する必要があるのでしょうか?
その相続の開始があつたことを知つた日の翌日から十月以内(注2)
と規定されていますので、相続税の申告書の提出期限と同じ10カ月以内です。
(所得税の申告期限は、4カ月以内)
最後に、何を誰に提出すればいいのかが規定されています。
政令で定めるところにより、その死亡した者に係る前項の申告書をその死亡した者の納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
亡くなった方の相続税の申告書を
亡くなった方の相続税の基準となる場所(納税地)の
税務署に提出してくださいね、と規定されています。
この規定の亡くなった方は、子Bではなく父Aのことです。
相続時精算課税を選択した場合の還付申告
相続時精算課税を選択した場合は、相続時精算課税が選択された贈与により支払った贈与税を相続時に精算できます。
相続税の申告が必要な方については、相続税の申告書を提出して相続時精算課税の贈与税を精算することが可能です。
相続税の申告が必要でない方については、申告書の提出により相続時精算課税の贈与税を精算して、還付を受けることが可能です。
参考規定
3 相続時精算課税適用者は、第一項の規定により申告書を提出すべき場合のほか、第三十三条の二第一項の規定による還付を受けるため、第二十一条の九第三項の規定の適用を受ける財産に係る相続税の課税価格、還付を受ける税額その他財務省令で定める事項を記載した申告書を納税地の所轄税務署長に提出することができる。
相続税法第27条第3項、令和7年6月1日施行
参考情報
相続税法施行令、記載事項
(死亡した者に係る相続税の申告書の提出)
相続税法施行令第6条第1項、令和7年4月1日施行
第六条 法第二十七条第二項の規定により同項に規定するその者の相続人が行う同条第一項の申告書の提出は、当該申告書を提出しないで死亡した者の氏名及びその者の死亡の時における住所又は居所並びに当該死亡の年月日その他の財務省令で定める事項を記載してしなければならない。
この規定の亡くなった方は、父Aではなく子Bのことです。
相続税法施行令、申告期限の後に亡くなった場合
2 前項の規定は、法第二十七条第一項又は第二十九条第一項の規定による申告書を提出すべき者でこれらの申告書を提出しないでその提出期限後に死亡したものの相続人がこれらの申告書に係る期限後申告書を提出する場合における当該期限後申告書の提出について準用する。
相続税法施行令第6条第2項、令和7年4月1日施行
相続税の申告期限を過ぎてから子Bが亡くなった場合に関する規定です。
申告期限を過ぎてから提出する申告を「期限後申告」といいます。
期限内申告の記載事項(前項=第1項)の規定は、期限後申告についても同様に取り扱われます。
・第27条第1項、相続税の期限内申告書
・第29条第1項、贈与税の期限内申告書
カッコ書きの内容
注1: 包括受遺者を含む。第五項において同じ。
注2: その者が国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしないで当該期間内にこの法律の施行地に住所及び居所を有しないこととなるときは、当該住所及び居所を有しないこととなる日まで
子Bの相続人となるC、Dが海外に引越しする場合は、引越する前に相続税の申告を済ませる必要があります。
相続税法施行規則、亡くなった方の記載事項
(死亡した者に係る相続税の申告書の記載事項)
相続税法施行規則第14条、令和7年4月1日施行
第十四条 施行令第六条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する財務省令で定める事項は、前条第一項第三号及び第四号に掲げる事項のほか、次に掲げる事項とする。
一 死亡した者の氏名及びその死亡の時における住所又は居所並びにその死亡の年月日
二 相続人が二人以上ある場合には、当該申告書を提出する者が当該相続又は遺贈により受けた利益の価額及び当該利益の価額の相続人の全員が相続又は遺贈により受けた利益の価額の合計額に対する割合
三 自己の納付すべき相続税額
四 死亡した者に係る前条第一項第一号、第二号及び第五号から第十号までに規定する事項