短期退職と役員短期退職の勤続年数の計算


退職所得控除額は、勤続「年数」に応じて計算します。
勤続「期間」は、「〇年〇月〇日」から「□年□月□日」までという意味です。この期間の1年未満の端数は、1年として勤続「年数」を計算します。書いてみると違いが理解できました。

今回は、退職所得控除の1/2軽減がない「短期退職」と
「役員短期退職」の勤続年数を確認します。

役員等以外の者としての勤続年数

役員等でない一般の従業員のことです。
短期退職の勤続年数は、調整後勤続期間(※)のうち、
役員以外として勤務した期間により計算した勤続年数となります。

※調整後勤続期間とは、
施行令69条1項1号(前回確認した、イロハの調整)で計算した期間です。

実際の勤続期間 → イロハの調整 →
調整後勤続期間のうち従業員勤務期間 → 勤続年数という関係です。

役員等勤続年数

役員等勤続年数は、調整後勤続期間のうち、
役員等として勤務した期間により計算した勤続年数となります。

実際の勤続期間 → イロハの調整 →
調整後勤続期間のうち役員等勤務期間 → 勤続年数という関係です。

上記2つの期間が重複する場合

調整後勤続期間のうちに役員等勤続期間がある場合は、
従業員勤務期間には役員等勤続期間を含みます。

例えば、Aさんは従業員として2年間勤務、
その後に役員となり3年して退職した場合。

従業員勤務期間(2年)入社———-
役員等勤続期間(3年)      ——————–退職
調整後勤続期間(5年)  ——————————

この場合、従業員として勤務した期間は2年ですが、
役員等として勤務した期間の3年を含むため、従業員勤務期間は5年となります。

国税庁、短期退職手当等Q&A、令和4年1月改正
https://www.nta.go.jp/publication/pamph/gensen/0021009-037_01.pdf

上記URLの25ページと同じ例です。

正しくないかもしれませんが、メモします。
結果は同じになりますが、2年と3年を合計して5年というより、
勤続期間の定義から5年となり、この5年のうちに役員等勤続期間がある場合は、役員等勤続期間を除かなくてよいという意味だと思います。

その他

1年未満の端数切り上げルールなどについては、従業員の勤続年数や役員等の勤続年数を計算する場合に準用します。

参考規定

(役員等以外の者としての勤続年数及び役員等勤続年数の計算)
第六十九条の二 法第三十条第四項(退職所得)に規定する政令で定める勤続年数は、退職手当等に係る調整後勤続期間(前条第一項第一号の規定により計算した期間をいう。次項及び第三項並びに第七十一条の二第十三項(一般退職手当等、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等がある場合の退職所得の金額の計算)において同じ。のうち、その退職手当等の支払を受ける居住者が法第三十条第四項に規定する役員等以外の者として勤務した期間により計算した勤続年数とする。

 法第三十条第五項に規定する政令で定める勤続年数は、退職手当等に係る調整後勤続期間のうち、その退職手当等の支払を受ける居住者が同項に規定する役員等として勤務した期間(次項及び第七十一条の二第十三項において「役員等勤続期間」という。)により計算した勤続年数とする。

 第一項の調整後勤続期間のうちに役員等勤続期間がある場合には同項の役員等以外の者として勤務した期間には当該役員等勤続期間を含むものとし、居住者が支払を受ける法第三十条第一項に規定する退職手当等が退職一時金等である場合にはその退職一時金等に係る前条第一項第二号に規定する組合員等であつた期間を第一項の退職手当等に係る調整後勤続期間のうち役員等以外の者として勤務した期間として、同項の規定を適用する。

 前条第二項及び第三項の規定は、第一項及び第二項の勤続年数を計算する場合について準用する。

所得税法施行令
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