社会福祉事業などに類する取引の非課税_児童福祉法


今回は、社会福祉事業などに類する取引の消費税の非課税を確認してみましょう。

消費税法の非課税は3つ

消費税法で規定されている非課税は、次の3つです。
イ、介護保険などに関するサービス
ロ、社会福祉などに関するサービス
ハ、社会福祉などに関するサービスに類するサービス

ハの取引については、

ロに掲げる資産の譲渡等に類するものとして政令で定めるもの

と規定されているため、消費税法施行令を確認してみましょう。

児童福祉法に関するもの

消費税法施行令で規定されている消費税の非課税は、全部で8つです。

児童福祉法に関するものが3つありますので、まとめて確認してみましょう。

児童福祉法第6条の3第23項に規定する乳児等通園支援事業として行われる資産の譲渡等(法別表第2第7号ロに掲げるものを除く。)

並びに

児童福祉法第7条第1項に規定する児童福祉施設を経営する事業として行われる資産の譲渡等(同号ロに掲げるものを除く。)
及び
同項に規定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等として内閣総理大臣が財務大臣と協議して指定するもの

児童福祉法第7条第1項を確認してみましょう。

第七条 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター及び里親支援センターとする。

児童福祉法第7条第1項、令和7年6月1日施行

保育所や幼保連携型認定こども園などを「児童福祉施設」といいます。ロに掲げるものを除くは、社会福祉サービス関係の非課税に該当するものを除くという意味です。社会福祉サービス関係の非課税規定が優先されます。

「内閣総理大臣が財務大臣と協議して指定するもの」については、消費税法基本通達6-7-7の2(保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等)を確認してみましょう。

消費税法基本通達の確認

消費税法基本通達を分けて確認してみましょう。

6-7-7の2 令第14条の3第1号《社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものの範囲》に規定する「児童福祉法第7条第1項に規定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等として内閣総理大臣が財務大臣と協議して指定するもの」に該当する資産の譲渡等とは、次に掲げるものをいうのであり、同法に規定する保育所において行われる乳児又は幼児を保育する業務と同様の業務として行われる資産の譲渡等に限られることに留意する。

児童福祉法の保育所で行われる乳児や幼児の保育業務と同様の業務として行われる資産の譲渡等に限定されています。

次に掲げるものは、2つあります。

1つ目を確認してみましょう。

(1) 児童福祉法第59条の2第1項《認可外保育施設の届出》の規定による届出を行っている施設が、平成17年厚生労働省告示第128号「消費税法施行令第14条の3第1号の規定に基づき内閣総理大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等」に定める要件を満たし、都道府県知事等から当該要件を満たしている旨の証明書の交付を受けている場合に、当該施設において乳児又は幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等
(注) 1 都道府県知事等とは、都道府県知事又は地方自治法第252条の19第1項の指定都市、同法第252条の22第1項の中核市若しくは児童福祉法第59条の4第1項の児童相談所設置市の長をいう。
2 当該施設が都道府県知事等から当該証明書を返還することを求められた日以後の乳児又は幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等は、非課税とされる資産の譲渡等に該当しない。

1、認可外保育施設の届出をしている施設が、保育所の経営事業に類するものの要件を満たして、都道府県知事などから証明書の交付を受ける必要があります。この認可外保育施設において、乳児や幼児の保育業務として行われる資産の譲渡等について、消費税が非課税となります。

参考リンク、厚生労働省告示第128号、消費税法施行令第十四条の三第一号の規定に基づき内閣総理大臣が指定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=33aa7001&dataType=0&pageNo=1

2つ目を確認してみましょう。

(2) 児童福祉法施行規則第49条の2第3号《厚生労働省令で定める施設》に規定する施設であって、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第3項《教育、保育等を総合的に提供する施設の認定等》の認定を受けているもの又は同条第10項の規定による公示がされているもの(同条第1項の条例で定める要件に適合していると認められるものを除く。)において、乳児又は幼児を保育する業務として行われる資産の譲渡等

児童福祉法施行規則第49条の2第3号を確認してみましょう。

第四十九条の二 法第五十九条の二第一項に規定する内閣府令で定めるものは、次の各号のいずれかに該当する施設(子ども・子育て支援法第五十九条の二に規定する仕事・子育て両立支援事業に係るものを除く。)とする。
三 認定こども園法第三条第三項に規定する連携施設を構成する保育機能施設

児童福祉法施行規則第49条の2第3号、令和7年6月1日施行

認定こども園法は、「就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律」のことです。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第3項を確認してみましょう。

3 幼稚園及び保育機能施設のそれぞれの用に供される建物及びその附属設備が一体的に設置されている場合における当該幼稚園及び保育機能施設(以下「連携施設」という。)の設置者(都道府県及び指定都市等を除く。)は、その設置する連携施設が都道府県(当該連携施設が指定都市等所在施設である場合にあっては、当該指定都市等)の条例で定める要件に適合している旨の都道府県知事(当該連携施設が指定都市等所在施設である場合にあっては、当該指定都市等の長)の認定を受けることができる。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第3項、令和7年6月1日施行

「連携施設を構成する保育機能施設」であって、認定こども園法第3条第3項(上記の法律)の認定を受けているものが、乳児や幼児の保育業務として行われる資産の譲渡等が消費税の非課税となります。

認定こども園法第3条第10項の規定による公示がされているものが、乳児や幼児の保育業務として行われる資産の譲渡等についても、消費税の非課税となります。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第10項を確認してみましょう。

10 都道府県知事又は指定都市等の長は、当該都道府県又は指定都市等が設置する施設のうち、第一項又は第三項の当該都道府県又は指定都市等の条例で定める要件に適合していると認めるものについては、これを公示するものとする。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律第3条第10項、令和7年6月1日施行
その他

1、児童福祉法第27条第2項の規定に基づく指定発達支援医療機関が行う治療等
2、児童福祉法第33条の一時保護
の2つについては、消費税が非課税となります。

・独立行政法人国立病院機構
・国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
の設置する医療機関であつて内閣総理大臣が指定するものを「指定発達支援医療機関」といいます。

参考情報、児童福祉法第27条第2項

② 都道府県は、肢体不自由のある児童又は重症心身障害児については、前項第三号の措置に代えて、指定発達支援医療機関に対し、これらの児童を入院させて障害児入所施設(第四十二条第二号に規定する医療型障害児入所施設に限る。)におけると同様な治療等を行うことを委託することができる。

児童福祉法第27条第2項、令和7年6月1日施行
参考情報

今回確認した規定は、こちら↓

(社会福祉事業等として行われる資産の譲渡等に類するものの範囲)
第十四条の三 法別表第二第七号ハに規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 児童福祉法第六条の三第二十三項(定義)に規定する乳児等通園支援事業として行われる資産の譲渡等(法別表第二第七号ロに掲げるものを除く。)並びに児童福祉法第七条第一項(定義)に規定する児童福祉施設を経営する事業として行われる資産の譲渡等(同号ロに掲げるものを除く。)及び同項に規定する保育所を経営する事業に類する事業として行われる資産の譲渡等として内閣総理大臣が財務大臣と協議して指定するもの
二 児童福祉法第二十七条第二項(都道府県のとるべき措置)の規定に基づき同項に規定する指定発達支援医療機関が行う同項に規定する治療等
三 児童福祉法第三十三条(児童の一時保護)に規定する一時保護

参考規定、児童福祉法第6条の3第23項、令和7年6月1日施行

㉓ この法律で、乳児等通園支援事業とは、内閣府令で定めるところにより、保育所その他の内閣府令で定める施設において、乳児又は幼児であつて満三歳未満のもの(保育所に入所しているものその他の内閣府令で定めるものを除く。)に適切な遊び及び生活の場を与えるとともに、当該乳児又は幼児及びその保護者の心身の状況及び養育環境を把握するための当該保護者との面談並びに当該保護者に対する子育てについての情報の提供、助言その他の援助を行う事業をいう。

参考規定、児童福祉法第7条第1項、令和7年6月1日施行

第七条 この法律で、児童福祉施設とは、助産施設、乳児院、母子生活支援施設、保育所、幼保連携型認定こども園、児童厚生施設、児童養護施設、障害児入所施設、児童発達支援センター、児童心理治療施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター及び里親支援センターとする。

気になった点をメモします。

認定こども園は、次の4つがあります。
1、幼保連携型認定こども園
2、幼稚園に保育所の機能を備えた幼稚園型(第3条第1項、第3条第3項)
3、保育所に幼稚園の機能を備えた保育所型(第3条第1項)
4、認可外保育所に幼稚園の機能を備えた地方裁量型(第3条第1項)

2つ目のカッコ書きで「同条第1項の条例で定める要件に適合していると認められるものを除く。」は、「同条第10項の規定による公示がされているもの」のみに該当します。

認定こども園の認定方法が2つあります。
・第3条第1項、単体施設認定(幼稚園型、保育所型、地方裁量型)
・第3条第3項、連携施設認定(幼稚園型)

・第3条第1項の認定を受けた幼稚園 → 幼稚園型
・第3条第3項の連携施設(幼稚園+保育機能施設)であっても第3項の認定を受けたもの → 幼稚園型
・第3条第1項の認定を受けた保育所 →保育所型
・第3条第1項の認定を受けた第2条第4項の保育機能施設 →地方裁量型

幼稚園型は2つあり、「第3条第1項の認定を受けられる幼稚園」を除くという意味だと考えましたが、「児童福祉法施行規則第49条の2第3号《厚生労働省令で定める施設》に規定する施設であって」とあるため、第3条第1項の認定を受けた幼稚園(第3条第1項の認定を受けられる幼稚園)は最初から対象に含まれていません。

「同条第10項の規定による公示がされているもの」については、
A、第3条第1項の条例で定める要件に適合しているもの
B、第3条第3項の条例で定める要件に適合しているもの
の2つあり、「同条第1項の条例で定める要件に適合していると認められるものを除く。」は、Aを除くという意味です。

まとめると、幼稚園型は認定方法が2つありますが、第3条第3項の認定(公示)された保育機能施設における乳幼児の保育業務として行われる資産の譲渡等が消費税の非課税になります。

今回確認したものは、
・ハ、社会福祉などに関するサービスに類するサービス
なので、幼稚園関係についてはハの非課税の範囲から外れます。

幼稚園関係は、別に教育関係として非課税規定が設けられているからです。

児童福祉法第33条第1項、一時保護

第三十三条 児童相談所長は、児童虐待のおそれがあるとき、少年法第六条の六第一項の規定により事件の送致を受けたときその他の内閣府令で定める場合であつて、必要があると認めるときは、第二十六条第一項の措置を採るに至るまで、児童の安全を迅速に確保し適切な保護を図るため、又は児童の心身の状況、その置かれている環境その他の状況を把握するため、児童の一時保護を行い、又は適当な者に委託して、当該一時保護を行わせることができる。

児童福祉法第33条第1項、令和7年6月1日施行

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