税金計算上の繰延資産


内容

繰延資産とは、所得税や法人税を計算する上で、
複数年にわたって費用処理する必要があるものです。

繰延資産は2種類あります。
1つ目は会計上の繰延資産、2つ目は税金計算上の繰延資産。

税金計算上の繰延資産は、
「前二号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの」と規定されています。

会計上は費用ですが、税金計算上は減価償却資産と同じように、
1度に費用処理できませんので注意ましょう。

よくある取引は、事務所を借りたときの権利金(敷金、礼金など)です。
退去などで後から返金されるものは繰延資産ではなく資産として計上しますが、
後から返金されないものは繰延資産として処理する必要があります。
償却期間は、原則として5年です。

例えば、個人事業者が4月から事務所を事務所を借りて、55万円の権利金(後日返金されないもの)を支払った場合、

550,000円×9月÷60月(5年×12月)=82,500円が償却費となります。

参考規定など

所得税基本通達、〔繰延資産(第20号関係)〕
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/01/05.htm

(繰延資産の範囲)
第七条 法第二条第一項第二十号(繰延資産の意義)に規定する政令で定める費用は、個人が支出する費用(資産の取得に要した金額とされるべき費用及び前払費用を除く。)のうち次に掲げるものとする。
一 開業費(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を開始するまでの間に開業準備のために特別に支出する費用をいう。)
二 開発費(新たな技術若しくは新たな経営組織の採用、資源の開発又は市場の開拓のために特別に支出する費用をいう。)
三 前二号に掲げるもののほか、次に掲げる費用で支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもの
イ 自己が便益を受ける公共的施設又は共同的施設の設置又は改良のために支出する費用
ロ 資産を賃借し又は使用するために支出する権利金、立ちのき料その他の費用
ハ 役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用
ニ 製品等の広告宣伝の用に供する資産を贈与したことにより生ずる費用
ホ イからニまでに掲げる費用のほか、自己が便益を受けるために支出する費用

2 前項に規定する前払費用とは、個人が一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出する費用のうち、その支出する日の属する年の十二月三十一日(年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。

所得税法施行令

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