簡易課税制度の第3種事業の売上を区分していない場合


今回は、第3種事業(例、製造業)の売上を
区分していない場合を確認してみましょう。

第1種事業と第2種事業を区分していない場合

消費税の簡易課税制度は、
業種ごとの売上に業種ごとの仕入率をかけて
マイナスする消費税を計算します。
そのため、業種ごとの売上を区分する必要があります。

業種ごとに仕入率は決まっています。
・第一種事業(例、卸売業) 90%
・第二種事業(例、小売業) 80%
・第三種事業(例、製造業) 70%
・第四種事業(例、飲食店業) 60%
・第五種事業(例、サービス業) 50%
・第六種事業(例、不動産業) 40%

・第一種事業(例、卸売業) 90%
・第二種事業(例、小売業) 80%
の2つを区分しなかった場合は、
全て第2種事業の売上として計算することになります。

参考リンク
簡易課税制度の売上を区分していない場合

さらに第3種事業があり、売上を区分していない場合はどうなるでしょうか?
今回は、第3種事業の売上を区分していない場合を確認してみましょう。

第3種事業を区分していない場合

・第1種事業(卸売業)
・第2種事業(小売業)
・第3種事業(製造業)
の売上がある事業者が、売上を区分していない場合、
全て第3種事業の売上として計算する必要があります。

第3種事業の仕入率は70%ですので、
必ず納付する消費税が増えます(不利な計算)。

事業が2つだけであればシンプルですが、
事業が3つある場合、部分的に区分していることがあります。

例えば、第1種事業は区分しているが、
第2種事業と第3種事業を区分していない場合です。

この場合、第1種事業はそのまま計算できます。
第2種事業と第3種事業の売上の内訳がわからないため、
区分していない第2種事業の売上を
第3種事業の売上として計算することになります。

第2種事業は区分しているが、
第1種事業と第3種事業を区分していない場合はどうなるでしょうか?

この場合、第2種事業はそのまま計算できます。
第1種事業と第3種事業の売上の内訳がわからないため、
区分していない第1種事業の売上を
第3種事業の売上として計算することになります。

いずれにしても、事業を区分していない場合は、
仕入率の少ない割合で計算することになりますので、留意しましょう。

事業を区分していない場合と特例の併用

・事業を区分していない場合の不利な計算
・特例(1事業の売上割合が75%以上、2事業の売上割合が75%以上)
この2つは併用できるのかと疑問に思いました。

2つは併用できると考えられます。

理由としては、規定では、「これらの事業の種類ごとの区分をしていないものがある場合における前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。」とあり、前2項(1事業75%以上、2事業75%以上)の規定は、適用可能と読めるからです。

もう少し具体的に確認してみましょう。

例えば、
・第1種事業の売上割合、区分あり、80%
・第2種事業と第3種事業の売上割合、区分なし、20%
の場合、区分されていない第2種事業の売上を
第3種事業の売上として計算することになります。
(第1種事業はそのまま計算できます。)

その結果、
・第1種事業の売上割合 80%
・第3種事業の売上割合 20%
となります。

第1種事業の売上割合が単独で75%以上ありますので、
全て第1種事業の仕入率90%で消費税の計算が可能と考えられます。

参考規定

事業の種類ごとに区分していない場合

4 第一項各号に掲げる事業又は第四種事業のうち二以上の事業を営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、当該課税資産の譲渡等につきこれらの事業の種類ごとの区分をしていないものがある場合における前二項の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 省略
二 第一種事業又は第二種事業と第三種事業とを営む事業者が当該課税期間中に国内において行つた課税資産の譲渡等で、第一種事業又は第二種事業に係るものであるか第三種事業に係るものであるかの区分をしていないものがある場合には、当該区分をしていない課税資産の譲渡等は、第三種事業に係るものとする。

消費税法施行令第57条第4項、施行日令和6年11月18日


新しいこと
・ことこと、玉子とじスペシャル、とりかつ

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