今回は、自宅等を売却したときの損失に関する所得税の特例のうち、純損失の繰戻しによる還付の請求の特例との関係を見てみましょう。
繰戻しによる還付の特例との関係
今回確認する規定は、こちらです。
10 当該個人につき所得税法第百四十条第五項に規定する事実が生じた場合又は当該個人が死亡した場合において、当該事実が生じた日又は死亡した日の属する年の前年において生じた純損失の金額のうちに特定純損失の金額があるときにおける同項又は同法第百四十一条第四項(これらの規定を同法第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定の適用については、同法第百四十条第五項中「及び第百四十二条第二項」とあるのは「、第百四十二条第二項」と、「となつたもの」とあるのは「となつたもの及び租税特別措置法第四十一条の五第十項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)に規定する特定純損失の金額」と、同法第百四十一条第四項中「及び次条第二項」とあるのは「、次条第二項」と、「となつたもの」とあるのは「となつたもの及び租税特別措置法第四十一条の五第十項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)に規定する特定純損失の金額」とする。
租税特別措置法第41条の5第10項、令和8年1月1日施行
その個人につき所得税法第140条第5項に規定する事実が生じた場合や
その個人が亡くなった場合が1つ目の要件です。
第5項に規定する事実は、次の3つです。
・事業の全部の譲渡(売却)
・事業の全部の廃止
・政令(所得税法施行令)で定める事実
上記の事実が生じた日や亡くなった日を含む年の「前年」において生じた純損失の金額(特定の赤字)のうちに特定純損失の金額(要件を満たす自宅などの売却損)があるときが2つ目の要件です。
要件を満たす場合は、所得税法の規定を読み替える必要があります。
純損失の繰戻しによる還付の請求の特例
同項は、所得税法第140条第5項です。
純損失の繰戻しによる還付請求の特例が規定されています。
原則は本年の赤字を1年前に繰り戻せますが、
特例は1年前の赤字を2年前に繰り戻すことができます。
実際に読み替えてみましょう。
5 居住者につき事業の全部の譲渡又は廃止その他これらに準ずる事実で政令で定めるものが生じた場合において、当該事実が生じた日の属する年の前年において生じた純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び第百四十二条第二項、第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものとなつたもの及び租税特別措置法第四十一条の五第十項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)に規定する特定純損失の金額を除く。)があるときは、省略「純損失の金額」から租税特別措置法第41条の5第10項に規定する「特定純損失の金額」が除外されるため、特定純損失の金額(自宅などの売却損)については、「純損失の繰戻しによる還付の請求の特例」の対象外となります。
相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求の特例
所得税法第141条の4項は、
「相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求の特例」です。
読み替えてみましょう。
4 居住者が死亡した場合において、その死亡の日の属する年の前年において生じたその者に係る純損失の金額(第七十条第一項(純損失の繰越控除)の規定により同日の属する年において控除されたもの及び次条第二項、次条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものとなつたもの及び租税特別措置法第四十一条の五第十項(居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除)に規定する特定純損失の金額を除く。)があるときは、省略「純損失の金額」から租税特別措置法第41条の5第10項に規定する「特定純損失の金額」が除外されるため、特定純損失の金額(自宅などの売却損)については、「相続人等の純損失の繰戻しによる還付の請求の特例」の対象外となります。
参考情報
カッコ書きの(これらの規定を同法第百六十六条において準用する場合を含む。)について
所得税法第166条は、非居住者に関する準用規定です。
(申告、納付及び還付)
所得税法第166条、令和8年1月1日施行
第百六十六条 前編第五章及び第六章(居住者に係る申告、納付及び還付)の規定は、非居住者の総合課税に係る所得税についての申告、納付及び還付について準用する。省略
前編が居住者、
第5章が申告、納付及び還付
第6章が期限後申告及び修正申告等の特例です。
繰戻しによる還付の請求は、
第5章-第2節-第6款(還付)に規定されています。
そのため、非居住者についても特例が利用できます。
