賃上げ促進税制の基準日


今回は、賃上げ促進税制の基準日を確認してみましょう。

基準日

賃上げ促進税制を利用しようとする年度に
合併や分割があった場合は、
・教育訓練費
・給与等
の調整計算が必要となります。

この調整計算の規定の中で、「基準日」が出てきます。
今回は、基準日の定義を確認してみましょう。

基準日の定義規定はこちら↓

17 第十二項及び第十四項に規定する基準日とは、次に掲げる日のうちいずれか早い日をいう。
一 法第四十二条の十二の五第一項から第三項までの規定の適用を受けようとする法人(以下この号において「適用法人」という。)が未経過法人に該当し、かつ、当該適用法人がその設立の日から適用年度開始の日の前日までの期間内に行われた合併又は分割等(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては当該設立の日から当該適用年度開始の日の前日を含む事業年度終了の日の前日までの期間内においてその残余財産が確定したものとし、その分割等に係る移転給与等支給額(給与等支給額を教育訓練費の額とみなした場合における前項に規定する移転教育訓練費の額をいう。)が零である場合における当該分割等を除く。以下この号及び第十九項第一号イにおいて同じ。)に係る合併法人又は分割承継法人等に該当する場合(当該設立の日から当該合併又は分割等の日の前日(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、その残余財産の確定の日。第十九項第一号イにおいて同じ。)までの期間に係る給与等支給額が零である場合に限る。)における当該合併又は分割等に係る被合併法人又は分割法人等の当該適用年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日
二 適用年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日

租税特別措置法施行令第27条の12の5第17項、施行日令和6年6月1日

・第12項は、合併があった場合の教育訓練費の調整計算
・第14項は、分割があった場合の教育訓練費の調整計算
を指しています。

続いて、次に掲げる日のうち「いずれか早い日」と規定されています。

比較する日付は、2つあります(第1号と第2号)。

先に第2号の規定を確認してみましょう。

二 適用年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日

賃上げ促進税制を利用する年度を「適用年度」といいます。

開始の日「前」1年以内に「開始」した
各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日

とあります。

事業年度が2つある場合は、
古い方の事業年度開始の日が基準日の候補となります。

未経過法人の場合

第1号の規定を確認してみましょう。

一 法第四十二条の十二の五第一項から第三項までの規定の適用を受けようとする法人(注1)が未経過法人に該当し、かつ、当該適用法人がその設立の日から適用年度開始の日の前日までの期間内に行われた合併又は分割等(注2)に係る合併法人又は分割承継法人等に該当する場合(注3)における当該合併又は分割等に係る被合併法人又は分割法人等の当該適用年度開始の日前一年以内に開始した各事業年度のうち最も古い事業年度開始の日

カッコ書きを省略してまとめてみますと
・未経過法人に該当する。
・設立日から適用年度の開始前日までの間に合併や分割が発生する。
・事業を承継した法人(合併法人や分割承継法人等)に該当する。

3つの要件を満たした場合、
・被合併法人や分割法人等の
・適用年度開始の日「前」1年以内に
・「開始」した各事業年度のうち
・最も古い事業年度開始の日

が基準日の候補となります。

被合併法人等の適用年度開始の日ということではなく、
被合併法人等の当該(合併法人等の)適用年度開始の日
という意味です。

合併法人の適用年度の開始日から見て
設立日の翌日以後1年を経過していない法人を
「未経過法人」といいます。

参考リンク
賃上げ促進税制の未経過法人と調整対象年度

最近設立された法人ということになります。

給与等がない場合に限定

カッコ書きの注3の要件を確認してみましょう。

当該設立の日から当該合併又は分割等の日の前日(残余財産の全部の分配に該当する現物分配にあつては、その残余財産の確定の日。第十九項第一号イにおいて同じ。)までの期間に係る給与等支給額が零である場合に限る。

・設立日から
・合併や分割等の前日まで
の期間の給与等支給額が0円である場合に限ります。

最近設立された法人で、
合併や分割等のイベントがあるまで、給料が発生していない。

この場合に、合併法人や分割承継法人等の設立日より前の日が
基準日となることがあります。

給与等支給額が0円の場合に限定されているため、
第1号の日が基準日となる場合はほとんどないのでしょうね。


編集後記
措置法施行令第27条の12の5の第17項に「基準日」の定義があります。
第17項の中に「未経過法人」が出てきます。

措置法施行令第27条の12の5の第12項に「未経過法人」の定義があります。
第12項の中に「基準日」が出てきます。

読みやすい規定から読む方が理解しやすいのかなと。

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