賃借人の会計リース料


今回は、賃借人の会計リース料を確認してみましょう。

賃借人の会計リース料

法人税の基本通達(12の5-1-3、リース取引の判定)の中で、
・⑴ 賃貸人の会計リース料の現在価値
・⑵ 賃貸人の会計リース期間
とあり、リース料やリース期間の前に「会計」と付いています。

税務上の言葉と分けるために用いていると思います。基本通達の注意書きにそれぞれ定義がありますので、今回は「賃借人の会計リース料」の定義を確認してみましょう。

2 賃借人が本文の判定を行う場合には、それぞれ次のとおりとする。
⑴ 本文⑴の「賃貸人の会計リース料」を次のとおり読み替える。
賃借人の会計リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間(7-6の2-10 の2(注)⦅賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い⦆に定める賃借人の会計リース期間をいう。以下この章において同じ。)中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、次のもので構成される使用料をいう。以下この章において同じ。)
イ 賃借人の固定リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、賃借人の変動リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払である使用料のうち、リース開始日以後に発生する事象又は状況の変化で時の経過によるもの以外のものにより変動する部分をいう。以下 12 の5-1-3において同じ。)以外の使用料をいう。)
ロ 指数又はレートに応じて決まる賃借人の変動リース料
ハ 残価保証に係る賃借人による支払見込額
ニ 賃借人が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
ホ リースの解約に対する違約金の賃借人による支払額(賃借人の会計リース期間に賃借人による解約オプションの行使を反映している場合に限る。)

借り手が借り手の会計リース期間中に原資産(リース資産)を使用する権利について、貸し手に支払う使用料を「賃借人の会計リース料」といいます。

賃借人の会計リース料は、
イ、賃借人の固定リース料(変動リース料以外の使用料)
ロ、賃借人の変動リース料
ハ、残価保証の支払い見込額
ニ、行使が合理的に確実な購入オプションの行使価額
ホ、解約違約金の支払額(解約オプション行使を反映している場合に限定)
の5つで構成されています。

実際の読替え

資産の賃貸借がリース取引の要件を満たすかどうかの判定は、貸し手を基準に通達が作られているため、基本通達を読み替える必要があります。

実際に読み替えてみましょう。

⑴ 賃借人の会計リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間(7-6の2-10 の2(注)⦅賃借人の会計リース期間をリース期間とする場合の取扱い⦆に定める賃借人の会計リース期間をいう。以下この章において同じ。)中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、次のもので構成される使用料をいう。以下この章において同じ。)
イ 賃借人の固定リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払であり、賃借人の変動リース料(賃借人が賃借人の会計リース期間中に原資産を使用する権利に関して行う賃貸人に対する支払である使用料のうち、リース開始日以後に発生する事象又は状況の変化で時の経過によるもの以外のものにより変動する部分をいう。以下 12 の5-1-3において同じ。)以外の使用料をいう。)
ロ 指数又はレートに応じて決まる賃借人の変動リース料
ハ 残価保証に係る賃借人による支払見込額
ニ 賃借人が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
ホ リースの解約に対する違約金の賃借人による支払額(賃借人の会計リース期間に賃借人による解約オプションの行使を反映している場合に限る。)の現在価値が、原資産の現金購入価額のおおむね90%以上であること。

イ、賃借人の固定リース料(変動リース料以外の使用料)
ロ、賃借人の変動リース料
ハ、残価保証の支払い見込額
ニ、行使が合理的に確実な購入オプションの行使価額
ホ、解約違約金の支払額(解約オプション行使を反映している場合に限定)
の合計の現在価値が、原資産(リース資産)の現金購入価額のおおむね90%以上の場合に、リース取引の要件の1つを満たすことになります。

リース会計基準の取扱い

リース会計基準の「借手のリース料」の定義を確認してみましょう。

  1. 「借手のリース料」とは、借手が借手のリース期間中に原資産を使用する権利に関して行う貸手に対する支払であり、次のもので構成される。
    (1) 借手の固定リース料
    (2) 指数又はレートに応じて決まる借手の変動リース料
    (3) 残価保証に係る借手による支払見込額
    (4) 借手が行使することが合理的に確実である購入オプションの行使価額
    (5) リースの解約に対する違約金の借手による支払額(借手のリース期間に借手による解約オプションの行使を反映している場合)
    借手のリース料には、契約におけるリースを構成しない部分に配分する対価は含まれない。ただし、借手がリースを構成する部分とリースを構成しない部分とを分けずに、リースを構成する部分と関連するリースを構成しない部分とを合わせてリースを構成する部分として会計処理を行う場合を除く。

(1)から(5)までは、基本通達の取扱いと同じです。

リース会計基準では、リースを構成しない部分(例、サービス)は、借手のリース料に含まれないことが明示されています。

ただし書き(例外)で、
・リースを構成する部分
・リースを構成しない部分
を区別しない方法(まとめてリースを構成する部分として処理する方法)を行う場合は、リースを構成しない部分は、借り手のリース料に含まれることになります。

確認した基本通達では明示されていませんが、別の基本通達
・7-6の2-17、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とがある場合の取扱い)
・12の5-1-7、リースを構成する部分とリースを構成しない部分とがある場合の取扱い
に同じ内容が規定されています。

耐用年数基準の読替え

耐用年数基準についても、読み替える通達が設けられています。

⑵ 本文⑵の「賃貸人の会計リース期間」を「賃借人の会計リース期間」
と読み替える。

実際に読み替えてみましょう。

賃借人の会計リース期間が、原資産の経済的耐用年数のおおむね75%以上であること(原資産の特性、経済的耐用年数の長さ、原資産の中古市場の存在等を考慮した場合に、⑴による判定が 90%を大きく下回ることが明らかな場合を除く。)

賃借人の会計リース期間は、基本通達7-6の2-10の2の注意書きで定義されています。

借り手のリース期間=
1、解約不能期間+延長オプションの対象期間(行使が合理的に確実)
2、解約不能期間+解約オプションの対象期間(不行使が合理的に確実)

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