今回は、消費税の輸出物品販売場免税の改正法案を確認してみましょう。
目次
輸出物品販売場の免税
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(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税)
第八条 輸出物品販売場を経営する事業者が、免税購入対象者(外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六条第一項第六号(定義)に規定する非居住者であつて、出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第十四条から第十八条まで(上陸の許可)に規定する上陸の許可を受けて在留する者、同法別表第一の一の表の外交若しくは公用の在留資格又は同法別表第一の三の表の短期滞在の在留資格をもつて在留する者その他政令で定める者をいう。以下この条において同じ。)に対し、政令で定める物品で輸出するため政令で定める方法により購入される物品(消費税に関する不正の目的をもつて購入されるおそれが高い物品として財務省令で定めるもの及び当該購入される物品の譲渡が第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされる場合における当該物品を除く。以下この条において「免税対象物品」という。)の譲渡を行つた場合(その免税購入対象者に対して同一の輸出物品販売場において同一の日に譲渡する免税対象物品に係る第二十八条第一項に規定する対価の額の合計額が政令で定める金額以上となる場合に限る。)であつて、当該免税購入対象者が、政令で定めるところにより当該免税対象物品を輸出することにつき税関長の確認を受けたとき(その購入した日から九十日以内に確認を受けた場合に限る。)は、当該免税対象物品の譲渡については、消費税を免除する。
・消費税に関する不正の目的をもって購入されるおそれが高い物品
・非課税が適用される物品
の2つを除く物品を「免税対象物品」といいます。
免税となる販売については、
・免税対象物品を買う人に
・同一の輸出物品販売場において
・同一の日に販売する免税対象物品が一定額以上
のものに限定されます。
免税対象物品を買う人が輸出について税関長の確認を受けたときに、消費税が免除されます。この確認は、買った日から90日以内に受ける必要があります。
購入記録情報の提供義務
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2 前項の譲渡をした輸出物品販売場を経営する事業者は、当該譲渡に係る電磁的記録(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律(平成十年法律第二十五号)第二条第三号(定義)に規定する電磁的記録をいう。次項において同じ。)として政令で定めるもの(以下この条において「購入記録情報」という。)を、政令で定めるところにより、遅滞なく、国税庁長官に提供しなければならない。この場合において、購入記録情報の提供を受けた国税庁長官は、政令で定めるところにより、遅滞なく、当該購入記録情報を税関長に提供するものとする。
第1項の販売をした事業者は「購入記録情報」を遅滞なく国税庁長官に提供し、国税庁長官は遅滞なく購入記録情報を税関長に提供する必要があります。
購入記録情報の流れ
事業者 → 国税庁長官 → 税関長
税関長の確認と提供
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3 税関長は、前項の規定により提供された購入記録情報に基づき第一項の確認をした場合には、政令で定めるところにより、当該購入記録情報ごとに、遅滞なく、その確認をした旨を記録した電磁的記録(以下この項及び次項において「税関確認情報」という。)を国税庁長官に提供するものとする。この場合において、税関確認情報の提供を受けた国税庁長官は、政令で定めるところにより、遅滞なく、当該税関確認情報をこれに係る購入記録情報を提供した輸出物品販売場を経営する事業者に提供するものとする。
税関長は、購入記録情報ごとに遅滞なく「税関確認情報」を国税庁長官に提供し、国税庁長官は遅滞なく、税関確認情報を輸出物品販売場の事業者に提供する必要があります。
税関確認情報の流れ
事業者 ← 国税庁長官 ← 税関長
手続き
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4 第一項の規定は、同項の譲渡をした輸出物品販売場を経営する事業者が、当該譲渡に係る第二項前段の規定により提供した購入記録情報及び前項後段の規定により提供された税関確認情報を、政令で定めるところにより保存しない場合には、適用しない。ただし、既に次項本文若しくは第五項本文(第六項において準用する場合を含む。)の規定の適用により消費税が徴収された場合又は災害その他やむを得ない事情により当該購入記録情報及び当該税関確認情報を保存することができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。
・購入記録情報
・税関確認情報
の2つを保存しない場合、免税の規定は適用されません。
ただし、災害等により保存できないことを証明した場合は、免税となります。
輸出の義務と輸出しなかった場合
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5 第一項の税関長の確認を受けた免税購入対象者(輸出物品販売場において同項に規定する政令で定める方法により購入した後に免税購入対象者に該当しないこととなつた者を含む。次項において同じ。)は、当該確認を受けた免税対象物品を、遅滞なく、輸出しなければならない。
6 第一項の税関長の確認を受けた免税対象物品が輸出されないこととなつたときは、税関長は、当該確認を受けた免税購入対象者から当該免税対象物品の譲渡についての同項の規定による免除に係る消費税額に相当する消費税を直ちに徴収する。
税関長の確認を受けた免税対象物品を買った人は、遅滞なく輸出する必要があります。輸出しなかった場合、税関長は免税対象物品を買った人から免税された消費税を徴収することになります。
販売した物品が輸出されなかったとしても、輸出物品販売場の事業者の課税関係は、変わりません。
輸出物品販売場の定義
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7 第一項から第五項までに規定する輸出物品販売場とは、次に掲げる要件の全てを満たす事業者(次条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)の経営する販売場(第九項に規定する臨時販売場を除く。)であつて、免税購入対象者に対し免税対象物品で第一項に規定する政令で定める方法により購入されるものの譲渡をすることができるものとして、政令で定めるところにより、当該事業者の納税地を所轄する税務署長の許可を受けた販売場をいう。
一 現に国税の滞納(その滞納額の徴収が著しく困難であるものに限る。)がないこと。
二 次項(第三号に係る部分を除く。)の規定により輸出物品販売場の許可を取り消され、その取消しの日から三年を経過しない者でないことその他輸出物品販売場を経営する事業者として特に不適当と認められる事情がないこと。
第2号の
・次項(第3号に係る部分を除く。)
が変更されています。
税務署長が許可を取り消すことができる場合
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8 税務署長は、前項に規定する輸出物品販売場を経営する事業者が次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、当該輸出物品販売場に係る同項の許可を取り消すことができる。
一 消費税に関する法令の規定に違反した場合
二 当該輸出物品販売場において免税対象物品を譲渡する際の手続その他の状況が特に不適当と認められる場合
三 第二項前段の規定により提供された購入記録情報に不備又は不実の記録があることその他の事情により第一項の税関長の確認に支障があると認められる場合
第3号は、新しい規定です。
購入記録情報に不備や不実の記録がある場合、税関長の確認に支障が生じるため、輸出物品販売場の許可の取消対象となります。
許可要件の規定で、「第三号に係る部分を除く。」とあります。第3号で取り消された場合、許可の要件が厳しくなるのかもしれませんね。
臨時販売場
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9 臨時販売場(免税購入対象者に対し、免税対象物品を譲渡するために七月以内の期間を定めて設置する販売場をいう。)を設置しようとする事業者(第七項に規定する輸出物品販売場を経営する事業者に限る。)で次項の承認を受けた者が、当該臨時販売場を設置する日の前日までに、当該臨時販売場を設置しようとする期間その他財務省令で定める事項を記載した届出書に財務省令で定める書類を添付して、その納税地を所轄する税務署長に提出したときは、当該期間に限り、当該臨時販売場を第七項に規定する輸出物品販売場とみなして、第一項から第五項までの規定を適用する。
内容は変わっていません。
輸出物品販売場ではない販売場を7月以内の期間限定で輸出物品販売場として取り扱う特例です。臨時販売場については、設置前日までに届出書を提出する等の手続きが必要です。
臨時販売場の承認
下記規定は、改正されていません。
10 前項の規定の適用を受けようとする事業者は、政令で定めるところにより、あらかじめ、その納税地を所轄する税務署長の承認を受けなければならない。
事前に届出書の提出して、承認を受ける必要があります。
納税地
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(税関長の確認を受けた免税対象物品を輸出しない場合の納税地)
第二十七条 第八条第六項の規定に該当する同条第一項に規定する免税対象物品の譲渡に係る消費税の納税地は、同項の税関長の確認を受けた場所(同条第六項に規定する免税購入対象者が当該税関長の確認を受けた場所以外の場所から出国する場合には、その出港地)とする。2 第八条第五項本文又は第六項の規定に該当する物品の譲渡に係る消費税の納税地は、これらの規定に規定する譲渡又は譲受けがあつた時(同条第四項ただし書の承認があつた場合には、その承認があつた時)における当該譲渡若しくは譲受け又は承認に係る物品の所在場所とする。
免税対象物品を輸出しなかった場合の納税地の規定です。
税関長の確認を受けた場所となります。確認を受けた人が確認を受けた場所と異なる場所から出国する場合は、その出港地となります。
第2項については該当規定がなくなるため、納税地の規定もなくなります。
その他
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11 税関長は、政令で定めるところにより、第六項の規定による徴収に係る権限及びその徴収する消費税に関する法令の規定に基づく権限の一部を税関の支署その他の税関官署の長に委任することができる。
12 前各項に定めるもののほか、この条の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
・電磁的記録に記録された事項に関する重加算税の特例(第59条の2第1項)
・罰則等(第65条第1項)
(輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税に関する経過措置)
第二十一条 第五条の規定による改正後の消費税法第八条の規定は、輸出物品販売場を経営する事業者(同条第一項に規定する輸出物品販売場を経営する事業者をいう。以下この条において同じ。)が令和八年十一月一日以後に行う同項に規定する免税対象物品の譲渡について適用し、輸出物品販売場を経営する事業者が同日前に行った第五条の規定による改正前の消費税法第八条第一項に規定する物品の譲渡については、なお従前の例による。
輸出物品販売場の免税の改正は、令和8年11月1日以後の販売から適用開始。