今回は、通勤手当の非課税限度額の改正の疑問点を確認してみましょう。
通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&A
参考情報、国税庁、通勤手当の非課税限度額の改正について
https://www.nta.go.jp/users/gensen/2025tsukin/index.htm
上記、通勤手当の非課税限度額の引上げに関するQ&Aの
Q13とQ14の2つの取扱いが気になったので確認してみましょう。
先に13番を見てみましょう。
Q13 年の中途(令和7年6月30日)に従業員が死亡したため、その死亡日までの給与等について年末調整を行っていましたが、この場合はどのように取り扱うのですか。
A13 既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である場合には精算の手続は不要ですが、改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合には改正後の非課税限度額により年末調整の再計算を行うことになります。気になった部分は、「改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合には改正後の非課税限度額により年末調整の再計算を行う」のところです。
「年末調整の再計算を行う」根拠規定はどの規定なのでしょう。
次は、14番です。
Q14 年の中途(令和7年6月30日)に従業員が海外勤務となり非居住者となりました。このため、その出国の時までに年末調整を行っていましたが、この場合はどのように取り扱うのですか。
A14 既に支払われた通勤手当が改正前の非課税限度額以下である場合には精算の手続は不要ですが、改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合には改正後の非課税限度額により年末調整の再計算を行うことになります。気になった部分は、「改正前の非課税限度額を超えた通勤手当を支払っていた場合には改正後の非課税限度額により年末調整の再計算を行う」のところです。
「年末調整の再計算を行う」根拠規定はどの規定なのでしょう。
令和7年度税制改正と年末調整など
令和7年分 年末調整のしかたの3ページを確認してみましょう。
令和7年度税制改正により、次のとおり、所得税の「基礎控除」や「給与所得控除」に関する見直し、「特定親族特別控除」の創設が行われました。
これらの改正は、原則として、令和7年12月1日に施行され、令和7年分以後の所得税について適用されます。
このため、令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます。「令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます。」とあるのは、原則として令和7年12月1日に施行されるからです。
「このため、令和7年12月に行う年末調整など、令和7年12月以後の源泉徴収事務に変更が生じます。」とあり、12月1日以後に取扱いが変わります。
気になった点
Q13やQ14の取扱い(考え方)が、令和7年度税制改正にも適用される場合、
・年の中途で亡くなった場合
・年の中途で出国した場合
についても、年末調整の再計算を行う必要があるのでしょうか。
・年末調整の時
・準確定申告の時
の法令で判断するような気がしています。
考えられるパターンとしては、4つ。
1、年末調整の時も準確定申告の時も改正前
2、年末調整の時は改正前、準確定申告の時は改正後
3、年末調整の時も準確定申告の時も改正後
4、その他
仮に準確定申告が済んでいる場合、
1、年末調整の再計算
2、準確定申告の再計算(更正の請求や再提出)
となります。
まとめ
年末調整の再計算が
1、通勤手当の改正にのみ適用されるのか。
2、通勤手当の改正だけではなく、令和7年度税制改正にも適用されるのか。
3、改正前の年末調整について、再計算が必要なのか。
