適格分社型分割があった場合の計算


今回は、適格分社型分割があった場合の計算を確認してみましょう。

分社型分割

法人税法では、分割が2種類あります。
1、分割型分割
2、分社型分割

分割があった場合、分割法人は分割承継法人に資産や負債を渡します。
分割法人 → 分割承継法人

分割対価として分割承継法人は、分割法人に資産(お金や株式)を渡します。
分割法人 ← 分割承継法人

分割の対価を受け取った分割法人が、分割法人の株主等に資産を
1、渡すものを「分割型分割」
2、渡さないものを「分社型分割」
といいます。

今回は、2の分社型分割の内容です。
(参考規定は、後半に記載)

分社型分割は、
1、適格要件を満たす「適格分社型分割」
2、適格要件を満たさない分社型分割
の2つあります。

「適格分社型分割により」とあるため、2番の分社型分割については関係がありません。

「第62条第1項の規定にかかわらず、」は、合併や分割があった場合の資産や負債の売却損益を認識する規定に関係なく、という意味です。

取扱いを確認してみましょう。

当該分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。

「移転した資産や負債の分割直前の帳簿価額」による売却をしたものとして法人税を計算します。時価による売却(損益)を認識しないこととなります。

施行令の取扱い

法人税法施行令に分割承継法人の取扱いが規定されています。

(適格分社型分割における分割承継法人の資産及び負債の取得価額)
第百二十三条の四 内国法人が適格分社型分割により分割法人から資産又は負債の移転を受けた場合には、当該移転を受けた資産及び負債の取得価額は、法第六十二条の三第一項(適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡)に規定する帳簿価額に相当する金額(その取得のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)とする。

法人税法施行令第123条の4、令和7年4月1日施行

「適格分社型分割により」とあるため、2番の分社型分割については関係がありません。

取扱いを確認してみましょう。

当該移転を受けた資産及び負債の取得価額は、法第六十二条の三第一項(適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡)に規定する帳簿価額に相当する金額(その取得のために要した費用がある場合には、その費用の額を加算した金額)とする。

法第62条の3第1項の規定は、先ほど確認した規定です。「帳簿価額に相当する金額」とあるため、

1、渡した資産や負債の金額
2、受け取った資産や負債の金額
2つの金額は、同じになります。

資産や負債の取得に要した費用については、取得費用をプラスします。

参考情報

考え方

分割法人、帳簿価額による譲渡、法人税法第62条の3
・負債(帳簿価額) 200 / 資産(帳簿価額) 1,000

分割承継法人、帳簿価額に相当する金額、法人税法施行令第123条の4
・資産(帳簿価額) 1,000 / 負債(帳簿価額) 200

適格分社型分割による資産等の帳簿価額による譲渡

第六十二条の三 内国法人が適格分社型分割により分割承継法人にその有する資産又は負債の移転をしたときは、第六十二条第一項(合併及び分割による資産等の時価による譲渡)の規定にかかわらず、当該分割承継法人に当該移転をした資産及び負債の当該適格分社型分割の直前の帳簿価額による譲渡をしたものとして、当該内国法人の各事業年度の所得の金額を計算する。
2 分割承継法人の資産及び負債の取得価額その他前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

法人税法第62条の3、令和7年6月20日施行

PAGE TOP