今回は、防衛特別法人税の
・基準法人税額
・課税事業年度
・納税地
の3つを確認してみましょう。
基準法人税額
令和8年4月1日から「防衛特別法人税」の制度が始まります。
基準法人税額がある場合に、防衛特別法人税がかかります。ということで、今回は、基準法人税額の法案を確認してみましょう。
(基準法人税額)
所得税法等の一部を改正する法律案
第十条 この章(第四十三条第二項第二号を除く。)において「基準法人税額」とは、次の各号に掲げる法人の区分に応じ当該各号に定める金額をいう。
一 法人税法第二条第三十一号に規定する確定申告書を提出すべき内国法人 当該内国法人の法人税の課税標準である各事業年度の所得の金額につき、同法その他の法人税の税額の計算に関する法令の規定(同法第六十八条から第七十条の二まで並びに租税特別措置法(昭和三十二年法律第二十六号)第四十二条の十二の六第六項及び第七項、第四十二条の十四第一項及び第四項(同法第四十二条の十二の六第六項及び第七項に係る部分に限る。)、第六十六条の七第四項並びに第六十六条の九の三第三項の規定を除く。)により計算した法人税の額(附帯税の額を除く。)
二 省略
基準法人税額は、第1号と第2号の区分に応じて第1号と第2号に定める金額をいいます。
第1号は、法人税の確定申告書を提出する内国法人について規定されています。
(第2号は、外国法人のため省略)
原則として、法人税に関する法令の規定により計算した法人税が「基準法人税額」となります。附帯税(延滞税や利子税など)は除外されます。
カッコ書きで除外するものが規定されています。
法人税法
・第68条、所得税額の控除
・第69条、外国税額の控除
・第69条の2、分配時調整外国税相当額の控除
・第70条、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う法人税額の控除
・第70条の2、税額控除の順序
租税特別措置法
・第42条の12の6、第6項と第7項、認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除
・第42条の14、第1項と第4項、通算法人の仮装経理に基づく過大申告の場合等の法人税額(第42条の12の6、第6項と第7項に限る。)
・第66条の7第4項、内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例に関する規定
・第66条の9の3第3項、特殊関係株主等である内国法人に係る外国関係法人に係る所得の課税の特例に関する規定
課税事業年度
防衛特別法人税の計算期間を「課税事業年度」といいます。
(消費税の課税期間のようなものです。)
課税事業年度は、令和8年4月1日以後に始まる各事業年度をいいます。
通算子法人の場合は、通算親法人の令和8年4月1日以後に始まる事業年度を計算して、この事業年度の期間内に始まる通算子法人の事業年度となります。
令和8年4月1日以後、先に通算子法人の事業年度が始まる場合は、注意しましょう。先に通算親法人の事業年度を計算する必要があります。
納税地
防衛特別法人税の納税地は、法人税法の取扱いと同じです。
内国法人の場合は、
・本店
・主たる事務所の所在地
が納税地となります。
参考、法人税法
・第16条、内国法人の場合
・第17条、外国法人の場合
・第17条の2、法人課税信託の受託者である個人の納税地
・第18条、納税地の指定
参考法案
納税義務者
第八条 各事業年度の所得に対する法人税を課される法人は、この法律により、防衛特別法人税を納める義務がある。
所得税法等の一部を改正する法律案
課税の対象
第九条 法人の各課税事業年度の基準法人税額には、この法律により、当分の間、防衛特別法人税を課する。
所得税法等の一部を改正する法律案
課税事業年度
第十一条 この章(第十八条第一項及び第二項を除く。)において「課税事業年度」とは、法人の令和八年四月一日以後に開始する各事業年度(当該法人が通算子法人である場合には、当該法人に係る通算親法人の同日以後に開始する事業年度の期間内に開始する当該法人の事業年度)をいう。
所得税法等の一部を改正する法律案
納税地
第十二条 法人の防衛特別法人税の納税地は、当該法人の法人税法第十六条から第十八条までの規定による法人税の納税地とする。
所得税法等の一部を改正する法律案
2 法人税法第十九条の規定は、法人税の納税地の指定の処分の取消しがあった場合における防衛特別法人税について準用する。
おまけコーナー
防衛特別法人税は、「我が国の防衛力の抜本的な強化等のために必要な財源の確保に関する特別措置法」という法律に規定されます。