今回は、消費税の電子決済手段の譲渡の改正規定を
確認してみましょう。
内容
電子決済手段の譲渡については、支払手段の譲渡と同様に、
非課税に変更され、課税売上割合の分母に含まないこととなりました。
消費税法施行令等の一部を改正する政令要綱
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/seirei/youkou/4shouhi.pdf
相場が安定した暗号資産(ステーブルコイン)が
令和5年6月1日から発行可能となるようで、これに合わせた改正なのですね。
改正内容はシンプルですが、規定が読みづらかったので
以下確認していきます。
消費税法上、有価証券などの譲渡については、
消費税が非課税となります。
別表第一(第六条、第十二条の二、第十二条の三、第三十条、第三十五条の二関係)
消費税法
二 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第一項(定義)に規定する有価証券その他これに類するものとして政令で定めるもの(ゴルフ場その他の施設の利用に関する権利に係るものとして政令で定めるものを除く。)及び外国為替及び外国貿易法第六条第一項第七号(定義)に規定する支払手段(収集品その他の政令で定めるものを除く。)その他これに類するものとして政令で定めるもの(別表第二において「有価証券等」という。)の譲渡
大枠は次の2つの譲渡です。
- 有価証券、有価証券に類するものとして政令で定めるもの
- 支払手段、支払手段に類するものとして政令で定めるもの
2つ併せて、「有価証券等」といいます。
続いて、政令(9条1項1号と4号)では、
1号で「有価証券に表示されるべき権利」から電子決済手段が除外されています。除外されると課税になりますが、課税ではなく別の規定に移動しています。
4号で「金銭債権」から電子決済手段が除外されています。
これも別の規定に移動しています。
4項で「支払手段に類するもの」に電子決済手段が追加されています。
(有価証券に類するものの範囲等)
第九条 法別表第一第二号に規定する有価証券に類するものとして政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
一 金融商品取引法第二条第一項第一号から第十五号まで(定義)に掲げる有価証券及び同項第十七号に掲げる有価証券(同項第十六号に掲げる有価証券の性質を有するものを除く。)に表示されるべき権利(これらの有価証券が発行されていないものに限るものとし、電子決済手段(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項(定義)に規定する電子決済手段をいう。第四号及び第四項並びに第十一条において同じ。)に該当するものを除く。)
四 貸付金、預金、売掛金その他の金銭債権(電子決済手段に該当するものを除く。)4 法別表第一第二号に規定する支払手段に類するものとして政令で定めるものは、電子決済手段、資金決済に関する法律第二条第十四項に規定する暗号資産及び国際通貨基金協定第十五条に規定する特別引出権とする。
消費税法施行令1項、4項
別の規定で、「物品切手に類するもの」から電子決済手段が除外されています。
(物品切手に類するものの範囲)
消費税法施行令11条
第十一条 法別表第一第四号ハに規定する政令で定めるものは、役務の提供又は物品の貸付けに係る請求権を表彰する証書及び資金決済に関する法律第三条第一項(定義)に規定する前払式支払手段に該当する同項各号に規定する番号、記号その他の符号(電子決済手段に該当するものを除く。)とする。
有価証券に類するもの(有価証券に表示されるべき権利、金銭債権)と
物品切手に類するものから電子決済手段を除外して、
支払手段に類するもの(非課税)に追加しています。
課税売上割合の計算上、分母に含めない。
課税売上割合の計算上、非課税売上に該当するものであっても、
課税売上割合の分母に計上しないものが規定されています。
2 前項第一号に規定する資産の譲渡等には、事業者が行う次に掲げる資産の譲渡は、含まないものとする。
消費税法施行令48条2項
一 法別表第一第二号に規定する支払手段又は第九条第四項に規定する電子決済手段、暗号資産若しくは特別引出権の譲渡
分母に計上しないものとして電子決済手段が追加されています。
経過措置(いつから適用されるのか)
改正規定は、令和5年4月1日以後の資産の譲渡等(売り手)と
課税仕入れ(買い手)について適用されます。
(電子決済手段の譲渡等に関する経過措置)
消費税法施行令
第二条 第一条の規定による改正後の消費税法施行令(次条において「新令」という。)第九条第一項及び第四項、第十一条並びに第四十八条第二項の規定は、前条第四号に定める日以後に国内において事業者(消費税法第二条第一項第四号に規定する事業者をいう。以下この条において同じ。)が行う資産の譲渡等(同法第二条第一項第八号に規定する資産の譲渡等をいう。以下この条において同じ。)及び同日以後に国内において事業者が行う課税仕入れ(同法第二条第一項第十二号に規定する課税仕入れをいう。以下この条において同じ。)に係る消費税について適用し、同日前に国内において事業者が行った資産の譲渡等及び同日前に国内において事業者が行った課税仕入れに係る消費税については、なお従前の例による。