今回は、インボイス制度の4つ義務と2つの特例について確認します。
インボイスの正式名称は「適格請求書」ですが、
インボイスで統一します。
目次
インボイスを発行する義務
インボイスの発行を選択した事業者が、
日本国内で商品を販売したり、サービスを行った場合には、
買い手である課税事業者(消費税の申告義務がある人)から、
インボイスの交付を求められたときに、インボイスを交付する必要があります。交付することが難しい場合は、インボイスの発行義務がなくなります。
インボイスの交付について、次の2点を確認します。
インボイスの記載内容
インボイスには、次の6つを記載する必要があります。
- インボイスを発行する事業者の名前・名称(誰が?)、インボイス登録番号
- 課税資産の譲渡等を行った年月日(いつ?)
- 課税資産の譲渡等の資産・サービスの内容(何を?)
- 課税資産の譲渡等の税抜き金額か税込み金額(いくら?)、適用される税率
- 消費税額(地方消費税含む)(いくら?)
- インボイスを受け取る事業者の名前・名称(誰に?)
上記6つが記載されていない書類は、
インボイスとして認められませんので、確認しておきましょう。
インボイスを全員に交付する必要がある?
全員にインボイスを交付する義務はありません。
交付する必要があるのは、
「買い手である課税事業者からインボイスの交付を求められたとき」です。
買い手が免税事業者や消費者の場合は、交付してなくていいのでしょうか?
実は交付する義務がありません。
実務上は、買い手が誰であるか関係なく、領収書などを発行すると思いますが、消費者に対してインボイスを発行する義務はありませんので、
インボイスの改正対応が必要か確認しましょう。
簡易インボイスでも可
インボイスを受け取る相手(買い手)の名前を確認するのが
難しい業種・事業に関する取扱いです。
例えば、スーパーやコンビニです。
買い手である消費者の名前をその都度確認することは困難ですので、
一定の事業については、簡易インボイスの交付が認められています。
簡易インボイスの記載内容
簡易インボイスの記載内容は、次の5つです。
- インボイスを発行する事業者の名前・名称(誰が?)、インボイス登録番号
- 課税資産の譲渡等を行った年月日(いつ?)
- 課税資産の譲渡等の資産・サービスの内容(何を?)
- 課税資産の譲渡等の税抜き金額か税込み金額(いくら?)、
適用される税率 - 消費税額(地方消費税含む)か適用される税率(いくら?)
インボイスを受け取る事業者の名前・名称(誰に?)
インボイスの記載内容と異なる点は、次の2点です。
1、消費税(具体的な金額)か税率か、いずれかの記載でよいこと。
両方記載しても問題ありません。
2、買い手の名前を確認することが困難なため、
買い手の名前の記載は不要です。
簡易インボイスの交付は任意
簡易インボイスの交付は義務ではありません。
インボイスか簡易インボイスか、どちらかを交付すれば問題ありません。
簡易インボイスの交付は事業が限定
簡易インボイスの交付は、次の事業に限定されています。
- 小売業、飲食店業、写真業、旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(コインパーキングなど)
- 不特定多数に取引を行う事業
売上返還インボイスを発行する義務
商品を有料で販売した場合に、インボイスの発行義務があります。
インボイスを発行した後、何らかの理由により、売上の値引きがあった場合は、売上の値引きを証明するインボイス(売上返還インボイス)を交付する必要があります。
売上返還インボイスの記載内容は、次の5つです。
- インボイスを発行する事業者の名前・名称(誰が?)、インボイス登録番号
- 売上値引きを行った年月日(いつ)、
その値引きを行った元の取引年月日(いつ) - 売上値引きを行った元の資産やサービスの内容
- 売上値引きの税抜き金額か税込み金額、
- 消費税(地方消費税含む)か適用される税率
売上返還インボイスの記載事項は、インボイスとほとんど同じです。
修正インボイスを発行する義務
インボイスの記載内容に誤りがある場合、
誤りを訂正したインボイス(修正インボイス)を交付し直す必要があります。
修正インボイスは、買い手から求められなくても交付し直す義務があるため、
注意しましょう。
電子インボイスでも可
インボイス、簡易インボイス、売上返還インボイスについては、
紙の交付に代えて、データで提供することも可能です。
控えを保存する義務
インボイス、簡易インボイス、売上返還インボイスについては、
インボイス等の写しやデータを保存する義務があります。