インボイスQ&Aの改定_分割控除の保存期間等


今回は、国税庁のインボイスに関するQ&Aを確認してみましょう。
令和5年4月14日に色々更新されていますね。

消費税の仕入税額控除制度における
適格請求書等保存方式に関するQ&A
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/pdf/qa/01-01.pdf

気になった項目を確認していきます。

問38、売り手の売上と買い手の仕入れのタイミングが異なる場合

軽減税率8%の導入があったときの問題と同じ問題です。

例えば、売り手は出荷した9月に売上計上、
買い手が検収した10月に仕入・経費・資産を計上する場合。

この場合は、売り手が売上を9月に計上しているため、
インボイスを交付する義務はありません。
(インボイスの要件を満たす請求書を交付することは可能です。)

注意点の2、電気料金等
検針日で売上、仕入を計上している場合は、
令和5年10月1日前後の取引を分ける必要はありません。
税率が同じだからです。

注意点の3、未成工事支出金と建設仮勘定
買い手については、未成工事支出金や建設仮勘定を整理するときに、
消費税の控除を計算することが可能です。基本通達の取扱いです。
この場合、令和5年10月1日以後の整理であっても、課税仕入れそのものが
令和5年9月30日以前に発生しているものは、インボイスの保存は不要です。
(区分記載の請求書等を保存する必要があります。)

注意点の4、短期前払費用
サービスを受けていないものであっても、
短期前払費用として取り扱う場合については、インボイスの保存が不要です。
(区分記載の請求書等を保存する必要があります。)

問97、所有権移転外ファイナンス・リースの賃貸借処理(分割控除)をした場合のインボイスの保存期間

気になるところを引用します。

なお、当該適格請求書については、リース料の最終支払期日(移転外リース取引について賃貸借処理により計上する最後の課税仕入れ)の属する課税期間の末日の翌日から2月を経過した日から7年間保存する必要があります。

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
所有権移転外ファイナンス・リース取引で賃借人が賃貸借処理した場合の適格請求書の保存

リース料の最終支払期日の課税期間の末日の翌日
から2月を経過した日から7年間?

例えば、契約が令和6年4月1日、リース契約5年、毎月後払いの場合
最終支払期日は、令和11年3月31日となります。

3月決算の場合、翌日が令和11年4月1日、
2月を経過した日が令和11年6月1日。
この日から7年間だと令和18年となりますね。

契約時や引渡し時の書類がインボイスとなる場合、
通算すると保存期間が12年間になってしまいます。

問108、1万円未満の課税仕入れのインボイス保存不要

気になるところを引用します。

(注)
1  新たに設立した法人における基準期間のない課税期間については、特定期間の課税売上高が5千万円超となった場合であっても、当該課税期間について、本経過措置の適用を受けることができます。
2  適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、課税仕入れに係る支払対価の額(税込み)が1万円未満である場合には本経過措置の対象となります。

消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A
一定規模以下の事業者に対する事務負担の軽減措置

1については、納税義務の判定と異なり、
A、その基準期間における課税売上高が1億円以下である課税期間
B、その特定期間における課税売上高が5000万円以下である課税期間
A「又は」Bに限ってインボイスの保存要件がなくなりますので、
基準期間がない=基準期間の課税売上高が1億円以下と考えるのでしょうね。
(判定する期間は特定期間ですが、判定する金額は課税売上高です。)

2については、インボイスの保存に限定されません。
保存要件の「帳簿及び請求書等」を「帳簿」とする経過措置だからです。

参考規定

(請求書等の保存を要しない課税仕入れに関する経過措置)
第五十三条の二 事業者(新消費税法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が五年施行日から五年施行日以後六年を経過する日までの間に国内において行う課税仕入れ(その基準期間における課税売上高が一億円以下である課税期間又はその特定期間における課税売上高(消費税法第九条の二第一項に規定する特定期間における課税売上高をいう。)が五千万円以下である課税期間に行うものに限る。)について、当該課税仕入れに係る支払対価の額が少額である場合として政令で定める場合における新消費税法第三十条第七項の規定の適用については、同項中「帳簿及び請求書等(請求書等の交付を受けることが困難である場合、特定課税仕入れに係るものである場合その他の政令で定める場合における当該課税仕入れ等の税額については、帳簿)」とあるのは、「帳簿」とする。この場合において、当該課税仕入れについては、前二条の規定は、適用しない。

消費税法、施行日令和5年10月1日
問109、1万円未満の判定単位

税込み課税仕入れが1万円未満の場合、インボイスの保存要件がなくなります。
この1万円については単価等で判定するのではなく、1回の取引で判定します。
3万円未満の判定(Q&Aの問43)と同じです。

例えば、6000円の商品を2つ購入して、一緒に精算すると合計12000円(1万円以上)となるため、インボイスの保存が必要となります。

その他

問39、代金の前受けした場合のインボイスの交付時期
サービスを行う前にインボイスを交付することは問題ありません。

問71、軽減8%税率取引のインボイスの記載方法
方法は3つ。軽減8%税率の改正と同じ内容です。

  1. 軽減8%売上に記号や番号を付けて、
    「記号や番号は、軽減税率対象商品」と付記する方法
  2. 10%税率と軽減8%税率を区別、集計して記載する方法
  3. 10%税率と軽減8%税率を分けてインボイスを発行する方法
    (インボイスを2つ交付します。)
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