エンジェル税制_寄附金控除


今回は、エンジェル税制(寄附金控除)の規定を
確認してみましょう。

エンジェル税制(寄附金控除)

エンジェル税制は、3つあります。
・エンジェル税制(取得価額の控除)
・改正されたエンジェル税制(令和5年4月1日以後)
・エンジェル税制(寄附金控除)

今回は、エンジェル税制(寄附金控除)の規定を
確認したいと思います。

エンジェル税制の全体像を確認する場合は、
経済産業省のWEBサイトを確認してみましょう。

参考URL、経済産業省、
エンジェル税制とは

今回確認する規定はこちら↓

特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例

(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)
第四十一条の十九 居住者又は恒久的施設を有する非居住者が、次の各号に掲げる株式会社(以下この項において「特定新規中小会社」という。)の区分に応じ当該各号に定める株式(以下この項において「特定新規株式」という。)を払込み(当該株式の発行に際してするものに限る。以下この項及び次項において同じ。)により取得(第二十九条の二第一項本文の規定の適用を受けるものを除く。以下この項及び次項において同じ。)をした場合において、当該居住者又は恒久的施設を有する非居住者(当該取得をした日においてその者を判定の基礎となる株主として選定した場合に当該特定新規中小会社が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおける当該株主その他の政令で定める者であつたものを除く。)がその年中に当該払込みにより取得をした特定新規株式(その年12月31日において有するものとして政令で定めるものに限る。以下この条において「控除対象特定新規株式」という。)の取得に要した金額として政令で定める金額(当該金額の合計額が800万円を超える場合には、800万円)については、所得税法第七十八条(同法第百六十五条第一項の規定により準じて計算する場合を含む。)の規定を適用することができる。

この場合において、同法第七十八条第一項中「支出した場合」とあるのは「支出した場合又は租税特別措置法第四十一条の十九第一項(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)に規定する特定新規株式を同項に規定する払込みにより取得(同項に規定する取得をいう。以下この項において同じ。)をした場合」と、同項第一号中「の額」とあるのは「の額及びその年中に取得をした租税特別措置法第四十一条の十九第一項に規定する控除対象特定新規株式の取得に要した金額として同項に規定する政令で定める金額」と、同条第四項中「控除は」とあるのは「控除(租税特別措置法第四十一条の十九第一項の規定による控除を含む。)は」とする。

一 中小企業等経営強化法第六条に規定する特定新規中小企業者に該当する株式会社(その設立の日以後の期間が一年未満のものその他の財務省令で定めるものに限る。) 当該株式会社により発行される株式

二 内国法人のうちその設立の日以後五年を経過していない株式会社(第三十七条の十三第一項第二号に規定する中小企業者に該当する会社であることその他の財務省令で定める要件を満たすものに限る。) 当該株式会社により発行される株式で同号イ又はロに掲げるもの

三 第三十七条の十三第一項第三号に掲げる指定会社 当該指定会社により発行される株式

四 国家戦略特別区域法第二十七条の五に規定する株式会社 当該株式会社により発行される株式で国家戦略特別区域法及び構造改革特別区域法の一部を改正する法律(平成二十七年法律第五十六号)附則第一条第一号に掲げる規定の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に発行されるもの

五 内国法人のうち地域再生法第十六条に規定する事業を行う同条に規定する株式会社 当該株式会社により発行される株式で地域再生法の一部を改正する法律(平成三十年法律第三十八号)の施行の日から令和六年三月三十一日までの間に発行されるもの

租税特別措置法、施行日令和5年10月1日

第1項を整理してみましょう。

規定をまとめたもの


居住者等が、
次の各号に掲げる株式会社(注1、特定新規中小会社)の区分に応じ
その各号に定める株式(注2、特定新規株式)を
払込み(注3)により取得(注4)をした場合において、

その居住者等(注5)が
その年中にその払込みにより取得をした
特定新規株式(注6、控除対象特定新規株式)の取得に要した金額として
政令で定める金額(注7、最高800万円)については、
所得税法第78条(注8)の規定を適用することができる。

1号から5号までにエンジェル税制(寄附金控除)の
対象となる「特定新規中小会社」と「特定新規株式」が
規定されています。


注1、次の各号に掲げる株式会社
以下この項において「特定新規中小会社」という。

注2、特定新規株式
以下この項において「特定新規株式」という。

注3、払込み
その株式の発行に際してするものに限る。
以下この項及び次項において同じ。

注4、取得
第29条の2第1項本文の規定の適用を受けるものを除く。
以下この項及び次項において同じ。

注5、居住者等
その取得をした日においてその者を判定の基礎となる株主として選定した場合にその特定新規中小会社が法人税法第二条第十号に規定する同族会社に該当することとなるときにおけるその株主
その他の政令で定める者であつたものを除く。

注6、控除対象特定新規株式
その年12月31日において有するものとして政令で定めるものに限る。
以下この条において「控除対象特定新規株式」という。

注7、政令で定める金額
その金額の合計額が800万円を超える場合には、800万円

注8、所得税法第78条(寄附金控除)
同法第165条第1項の規定により準じて計算する場合を含む。


もう少しまとめてみましょう。

居住者等が「特定新規株式」を
払込みにより取得をした場合には、

「控除対象特定新規株式」の取得に要した金額のうち、
一定の金額(最高800万円)については、
所得税の寄附金控除を適用できます。

仕訳で示すと
実際には、
有価証券 ××円 / 現金等 ××円
ですが、

所得税法では、
支払寄附金(所得控除) ××円 / 現金等 ××円
とする特例です。

所得控除のため、利益(所得)がない場合、
税額が減少しないので留意しましょう。

読替規定

この場合において(後段)が
読み替え規定になっていますので、
読み替えてみましょう。


読み替え後

(寄附金控除)
第七十八条 居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合又は租税特別措置法第四十一条の十九第一項(特定新規中小会社が発行した株式を取得した場合の課税の特例)に規定する特定新規株式を同項に規定する払込みにより取得(同項に規定する取得をいう。以下この項において同じ。)をした場合において、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年中に支出した特定寄附金の額及びその年中に取得をした租税特別措置法第四十一条の十九第一項に規定する控除対象特定新規株式の取得に要した金額として同項に規定する政令で定める金額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の40%に相当する金額を超える場合には、当該40%に相当する金額)
二 2,000円


寄附金控除の規定には、
エンジェル税制(寄附金控除)の取扱いが
規定されていませんので、
読替規定で文言を追加しています。

算式で示すと次のとおりです。

寄附金控除の金額=1号-2号

1号の金額
特定寄附金+控除対象特定新規株式の取得金額のうち一定の金額
(所得の40%限度)

2号の金額
2,000円

エンジェル税制、新しいエンジェル税制の不適用

エンジェル税制(寄附金控除)の規定の適用を受けた
・控除対象特定新規株式
・その控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式で、
 その適用を受けた年中に払込みにより取得をしたもの
については、

・エンジェル税制
・新しいエンジェル税制(令和5年4月1日以後)
の規定は、適用できません。

下記3つの特例に該当する場合、実際に適用できる特例は1つとなります。
・エンジェル税制
・改正されたエンジェル税制(令和5年4月1日以後)
・エンジェル税制(寄附金控除)

参考規定

エンジェル税制、新しいエンジェル税制の不適用

2 前項の規定の適用を受けた控除対象特定新規株式及び当該控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式で、その適用を受けた年中に払込みにより取得をしたものについては、第37条の13第1項及び第37条の13の2第1項の規定は、適用しない。

租税特別措置法、施行日令和5年10月1日

政令委任規定

3 第一項の規定の適用を受けた場合における控除対象特定新規株式と同一銘柄の株式の取得価額の計算の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

租税特別措置法、施行日令和5年10月1日
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