今回は、カジノ業務の仕入税額控除の禁止について確認します。
令和5年度の税制改正大綱の内容です。この改正は令和5年4月1日以後開始する課税期間から始まるため、担当する人は注意が必要ですね。措置法に規定されるようです。
内容を簡単にメモします。
カジノ収入割合が高い場合は仕入税額控除できない。
原則
認定設置運営事業者のカジノ業務の課税仕入れは仕入税額控除ができません。
例外
次の場合は、仕入税額控除ができます。
カジノ収入
——————————————————————- ≦ 5%
資産の譲渡等の対価の額の合計額+カジノ業務収入
消費税の国等の特例計算の考え方と同じでしょう。
ということは、一律に消費税控除を認めないわけではなく、
国等の特例計算のように概算するのでしょうか。
カジノ収入は「対価性のない収入」になるでしょうから、対価性のない収入に応じた仕入税額控除を認めない制度になりそうな気がします。
可能性としては
1、カジノ業務用のみの課税仕入れ→仕入税額控除×
(対価性のない収入の事業のため一切消費税控除を認めない?)
2、非カジノ業務用のみ(現行制度)の課税仕入れ
・課税売上対応 → 仕入税額控除〇 → カジノ収入割合に応じて調整?
・非課税売上対応 → 仕入税額控除×
3、上記以外→課税売上割合に応じて〇 → カジノ収入割合に応じて調整?
会計ソフトの対応、間に合うのかしら。
カジノ用調整対象固定資産の転用調整
現行の調整対象固定資産の転用調整のカジノ版です。
非カジノ業務用は消費税控除ができますが、
カジノ業務用は消費税控除ができません。
そのため、転用した場合の調整計算が必要です。
1、「非カジノ業務用調整対象固定資産」を「カジノ業務用調整対象固定資産」に転用した場合は、転用のタイミングで消費税額のマイナス調整となります。
2、「カジノ業務用調整対象固定資産」を「非カジノ業務用調整対象固定資産」に転用した場合は、転用のタイミングで消費税額のプラス調整となります。
現行の転用調整 | 大綱、カジノ転用調整 |
---|---|
課税売上対応→非課税売上対応 →マイナス調整 | 非カジノ業務→カジノ業務 →マイナス調整 |
非課税売上対応→課税売上対応 →プラス調整 | カジノ業務→非カジノ業務 →プラス調整 |
現行制度は、個別対応方式に限定されていますが、
カジノは個別・一括の区別がないかもしれませんね。
参考情報
令和5年度税制改正大綱、令和4年12月16日、P91
https://storage.jimin.jp/pdf/news/information/204848_1.pdf
特定複合観光施設区域整備法
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=430AC0000000080_20221101_502AC0000000033
(認定設置運営事業者等が行う業務の会計)
特定複合観光施設区域整備法
第二十八条 認定設置運営事業者等は、設置運営事業等について、国土交通省令で定めるところにより、その事業年度並びに勘定科目の分類及び貸借対照表、損益計算書その他の財務諸表で国土交通省令で定めるもの(第八項において「財務諸表」という。)の様式を定め、その会計を整理しなければならない。
2 認定設置運営事業者は、国土交通省令で定めるところにより、カジノ業務、カジノ行為区画内関連業務及び第二条第一項各号に掲げる施設ごとの業務並びにそれら以外の業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。
3 認定施設供用事業者は、国土交通省令で定めるところにより、カジノ施設供用業務及び第二条第一項各号に掲げる施設ごとの業務に係る経理をそれぞれ区分して整理しなければならない。