カジノ業務用調整対象固定資産の調整


今回は、改正予定の「カジノ業務用調整対象固定資産の調整」を確認します。「非カジノ業務用調整対象固定資産の調整」の逆パターンです。カジノ業務用として仕入税額控除が規制された後、非カジノ業務用に転用して仕入税額控除を再適用する特例です。現行制度の非業務用調整対象固定資産を業務用調整対象固定資産に転用する調整と似た規定です。

内容

対象者
認定設置運営事業者

要件1
国内において調整対象固定資産を取得して、
カジノ業務用として仕入税額控除を規制した場合

要件2
認定設置運営事業者が調整対象固定資産を取得した日から
3年以内に非カジノ業務用に「のみ」に転用したとき

取扱い
調整対象固定資産の消費税額を次の区分に応じて、
仕入に係る消費税額にプラスします。

区分

内容取得1年以内取得2年以内取得3年以内
プラスする金額調整対象税額調整対象税額×2/3調整対象税額×1/3
調整対象税額300万円の場合300万円200万円100万円
調整のまとめ

調整対象税額
仮に仕入税額控除を適用した場合の調整対象固定資産の課税仕入れ等の税額

適用除外
非カジノ業務用からカジノ業務用の転用については一定の場合に適用が除外されますが、カジノ業務用から非カジノ業務用の転用については適用除外規定がありません。事業者にとって不利になるからです。

合併・分割があった場合

認定設置運営事業者が合併・分割により調整対象固定資産を承継した場合も転用調整の対象となります。ただし、免税事業者については除外されます。

留意点

1、認定設置運営事業者である事業者が、カジノ業務用の調整対象固定資産を取得して仕入税額控除が規制された後に、認定設置運営事業者でない事業者となって非カジノ業務に転用する場合は、転用調整の対象外と読めます。

2、課税売上割合の著しい変動のような調整が法案にはありませんが、特定収入の調整のように政令で規定されるかもしれません。

参考法案

4 認定設置運営事業者が、国内において調整対象固定資産の課税仕入れ若しくは特定課税仕入れを行い、又は調整対象固定資産に該当する課税貨物を保税地域から引き取り、かつ、当該課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は当該課税貨物に係る課税仕入れ等の税額につきカジノ業務の用に供するものとして第一項本文の規定の適用を受けた場合において、当該認定設置運営事業者(合併により当該事業を承継した合併法人及び分割により当該調整対象固定資産に係る事業を承継した分割承継法人を含むものとし、これらの者のうち消費税法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される者を除く。)が当該調整対象固定資産を当該課税仕入れの日若しくは当該特定課税仕入れの日又は当該保税地域からの引取りの日から三年以内にカジノ業務以外の業務の用にのみ供したときは、当該カジノ業務以外の業務の用にのみ供した日が次の各号に掲げる期間のいずれに属するかに応じ当該各号に定める消費税額を同日の属する課税期間における仕入れに係る消費税額に加算する。この場合において、当該加算をした後の金額を当該課税期間における仕入れに係る消費税額とみなす。

一 当該調整対象固定資産の課税仕入れの日若しくは特定課税仕入れの日又は当該調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りの日からこれらの日以後一年を経過する日までの期間 当該カジノ業務以外の業務の用にのみ供した日において当該調整対象固定資産の課税仕入れ若しくは特定課税仕入れ又は当該調整対象固定資産に該当する課税貨物の保税地域からの引取りを行つたとした場合に消費税法第三十条第一項の規定により控除することとなる当該調整対象固定資産に係る課税仕入れ等の税額(次号及び第三号において「調整対象税額」という。)に相当する消費税額
二 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間調整対象税額の三分の二に相当する消費税額
三 前号に掲げる期間の末日の翌日から同日以後一年を経過する日までの期間調整対象税額の三分の一に相当する消費税額

租税特別措置法の一部改正、法案
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