グループ通算承認_申請書の提出等とみなし承認


今回は、グループ通算制度の申請書の提出等とみなし承認を確認します。
規定が多いため、今回は法人税法64条の9第2項から第6項までを確認します。

申請書の提出(法人税法64条の9第2項)

内国法人グループ(注1)は、
通算承認を受けようとする場合には、

その親法人の通算承認の適用を受けようとする
最初の事業年度開始の日の3月前の日までに、

その通算承認に関する法人の全ての連名で、
「一定の事項を記載した申請書」を

親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、
国税庁長官に提出する必要があります。

原則は事前提出ですが、事後提出できる特例があります。

注1、親法人とその親法人との間にその親法人による
完全支配関係(注2)がある他の内国法人(子法人、孫法人など)に限ります。

注2、この完全支配関係は、「当該親法人による完全支配関係(第三号から第十号までに掲げる法人及び外国法人が介在しないものとして政令で定める関係に限る。以下この目において同じ。」と同じ意味です。

参考情報

国税庁、[手続名]グループ通算制度の承認の申請
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/renketsu/annai/10.htm

2 内国法人(前項に規定する親法人及び当該親法人との間に当該親法人による完全支配関係がある他の内国法人に限る。)は、同項の規定による承認(以下この目及び次目において「通算承認」という。)を受けようとする場合には、当該親法人の前目の規定の適用を受けようとする最初の事業年度開始の日の三月前の日までに、当該親法人及び他の内国法人の全ての連名で、当該開始の日その他財務省令で定める事項を記載した申請書を当該親法人の納税地の所轄税務署長を経由して、国税庁長官に提出しなければならない。

法人税法64条の9、通算承認
申請の却下(法人税法64条の9第3項)

国税庁長官は、通算承認申請書(2項)の提出があった場合において、
次のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下できます。

  • 通算予定法人のいずれかがその申請をしていない。
    (申請のもれがあるときです。)
  • その申請に通算予定法人以外の法人が含まれている。
    (通算対象外の法人を記載してしまった場合です。)
  • その申請を行っている通算予定法人につき一定の事実がある。

一定の事実

  • 所得計算などの計算が適正にされない可能性がある。
  • 帳簿書類の備付け、記録、保存が適正に行われない可能性がある。
  • 帳簿書類に取引を隠蔽、仮装して記載している等の可能性がある。
  • 法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる。

参考規定

3 国税庁長官は、前項の申請書の提出があつた場合において、次の各号のいずれかに該当する事実があるときは、その申請を却下することができる。
一 通算予定法人(第一項に規定する親法人又は前項に規定する他の内国法人をいう。以下この項において同じ。)のいずれかがその申請を行つていないこと。
二 その申請を行つている法人に通算予定法人以外の法人が含まれていること。
三 その申請を行つている通算予定法人につき次のいずれかに該当する事実があること。
イ 所得の金額又は欠損金額及び法人税の額の計算が適正に行われ難いと認められること。
ロ 前目の規定の適用を受けようとする事業年度において、帳簿書類の備付け、記録又は保存が第百二十六条第一項(青色申告法人の帳簿書類)に規定する財務省令で定めるところに従つて行われることが見込まれないこと。
ハ その備え付ける帳簿書類に取引の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装して記載し、又は記録していることその他不実の記載又は記録があると認められる相当の理由があること。
ニ 法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められること。

法人税法64条の9、通算承認
親法人が認められた場合のみなし承認(法人税法64条の9第4項)

通算承認申請(2項)につき、親法人に対して通算承認の処分があった場合には、子法人(注1)の全てにつき、その通算承認があったものとみなされます。

注1、通算制度を使用する最初の事業年度開始時に
完全支配関係(注2)があるものに限る。5項と6項において同じ。

注2、この完全支配関係は、「当該親法人による完全支配関係(第三号から第十号までに掲げる法人及び外国法人が介在しないものとして政令で定める関係に限る。以下この目において同じ。」と同じ意味です。

2項は申請時に100%支配関係、
4項・5項・6項は最初の事業年度開始時に100%支配関係が必要です。

参考規定

4 第二項の申請につき第一項に規定する親法人に対して通算承認の処分があつた場合には、第二項に規定する他の内国法人(同項に規定する最初の事業年度開始の時に当該親法人との間に完全支配関係があるものに限る。次項及び第六項において同じ。の全てにつき、その通算承認があつたものとみなす。

法人税法64条の9、通算承認
前日までに応答がない場合のみなし承認(法人税法64条の9第5項)

通算承認申請書(2項)の提出があった場合(注1)において、
2項の最初の事業年度開始日の前日までに
その申請つき応答がなかったときは、

グループ通算制度の対象法人の全てにつき、
その開始日においてその通算承認があったものとみなされます。

注1、7項の事後申請による提出を除く。

参考規定

5 第二項の申請書の提出があつた場合(第七項の規定の適用を受けて当該申請書の提出があつた場合を除く。)において、第二項に規定する最初の事業年度開始の日の前日までにその申請につき通算承認又は却下の処分がなかつたときは、第一項に規定する親法人及び第二項に規定する他の内国法人の全てにつき、その開始の日においてその通算承認があつたものとみなす。

法人税法64条の9、通算承認
効力発生時期は、最初の事業年度開始日(法人税法64条の9第6項)

みなし承認(4項・5項)があった場合において、
通算承認は、グループ通算制度の対象法人の全てにつき、
その最初の事業年度開始日から、その効力が生じます。

例えば、親法人が3月決算の場合、
3/31(開始日の前日)までに応答がないときは、
4/1(開始日)が通算承認があったものとみなされる日(5項)、
4/1(開始日)が通算承認の効力発生日(6項)となります。

参考規定

6 前二項の場合において、通算承認は、第一項に規定する親法人及び第二項に規定する他の内国法人の全てにつき、同項に規定する最初の事業年度開始の日から、その効力を生ずる。

法人税法64条の9、通算承認
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