リバースチャージの値引き等があった場合


今回は、リバースチャージの値引き等があった場合を確認します。

内容

文章(参考規定)だけ読むと理解しづらい規定だと思います。

リバースチャージについては、
買い手の特定仕入れに対し、売り手に代わって消費税が課されます。

リバースチャージ取引の値引き、割戻しがあった場合に、
対価の返還等(マイナス処理)があったときは、
消費税の控除(売上に係る消費税からマイナス)として取扱います。

売上返還等の規定が38条、リバースチャージの返還等が38条の2で、規定は非常に似ていますが、リバースチャージの返還等については返品がありません。

リバースチャージは役務の提供しかありませんので、
買い取った資産を返品することがないからです。

控除額は返金等の金額に対し、国税7.8%(消費税10%)をかけて計算します。
10,000円の場合、消費税の控除は780円となります。
10,000円を税抜金額に割り戻す必要はありません。

手続き規定

リバースチャージの返還等の消費税控除については、
その取引を明らかにする帳簿の保存が必要で、
保存がない場合には消費税控除ができません。

帳簿の記載事項は、次の5つです。

  1. 対価の返還等をした人の氏名、名称(誰が)
  2. 対価の返還等を受けた日付(いつ)
  3. 対価の返還等の内容(何を)
  4. 対価の返還等の金額(いくら)
  5. 対価の返還等である旨(その旨)

上記の帳簿は、原則として7年間保管する必要があります。

5番については、リバースチャージの返還等である旨を記載する必要がありますが、これは通常の売上等の入金と区別をするためだと思います。

みなし返還等

被相続人、被合併法人、分割法人が行った特定課税仕入れについて、相続人、合併法人、分割承継法人がリバースチャージの返還等を受けた場合には、
それぞれ相続人、合併法人、分割承継法人が
リバースチャージ取引を行ったものとみなして、消費税の控除を計算します。

参考規定

特定課税仕入れに係る消費税の課税標準

2 特定課税仕入れに係る消費税の課税標準は、特定課税仕入れに係る支払対価の額(対価として支払い、又は支払うべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額をいう。)とする。

消費税法28条

特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除

(特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合の消費税額の控除)
第三十八条の二 事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が、国内において行つた特定課税仕入れにつき、値引き又は割戻しを受けたことにより、当該特定課税仕入れに係る支払対価の額(第二十八条第二項に規定する支払対価の額をいう。)の全部若しくは一部の返還又は当該特定課税仕入れに係る支払対価の額に係る買掛金その他の債務の額の全部若しくは一部の減額(以下この項から第四項までにおいて「特定課税仕入れに係る対価の返還等」という。)を受けた場合には、当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた日の属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税期間における特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額(当該返還を受けた金額又は減額を受けた債務の額に百分の七・八を乗じて算出した金額をいう。次項において同じ。)の合計額を控除する。

2 前項の規定は、事業者が当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額の明細を記録した帳簿を保存しない場合には、当該保存のない特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額に係る消費税額については、適用しない。ただし、災害その他やむを得ない事情により当該保存をすることができなかつたことを当該事業者において証明した場合は、この限りでない。

3 相続により被相続人の事業を承継した相続人が被相続人により行われた特定課税仕入れにつき当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合には、その相続人が行つた特定課税仕入れにつき当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けたものとみなして、前二項の規定を適用する。

4 前項の規定は、合併により事業を承継した合併法人が被合併法人により行われた特定課税仕入れにつき当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合又は分割により事業を承継した分割承継法人が分割法人により行われた特定課税仕入れにつき当該特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた場合について準用する。

5 前二項に定めるもののほか、第二項に規定する帳簿の記録及び保存に関する事項その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

消費税法

帳簿の記載事項等

(特定課税仕入れに係る対価の返還等に係る帳簿の記載事項等)
第五十八条の二 法第三十八条の二第一項の規定の適用を受けようとする事業者は、次に掲げる事項を帳簿に整然と、かつ、明瞭に記録しなければならない。
一 特定課税仕入れに係る対価の返還等(法第三十八条の二第一項に規定する特定課税仕入れに係る対価の返還等をいう。以下この項において同じ。)をした者の氏名又は名称
二 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた年月日
三 特定課税仕入れに係る対価の返還等の内容
四 特定課税仕入れに係る対価の返還等を受けた金額
五 特定課税仕入れに係る対価の返還等である旨

2 前項に規定する事業者は、同項の規定により記録した帳簿を整理し、これをその閉鎖の日の属する課税期間の末日の翌日から二月(清算中の法人について残余財産が確定した場合には一月とする。次項において同じ。)を経過した日から七年間、当該事業者の納税地又はその取引に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地に保存しなければならない。

3 前項に規定する課税期間の末日の翌日から二月を経過した日から五年を経過した日以後の期間における同項の規定による保存は、財務大臣の定める方法によることができる。

消費税法施行令
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