リース事業を承継した相続人が契約を解除した場合


今回は、リース事業を承継した相続人が契約を解除した場合を確認してみましょう。

相続人が契約を解除した場合

リース譲渡の特例計算を選択している個人事業者が亡くなった場合、原則として、リース譲渡の特例計算が終了します。

亡くなった個人事業者が繰り延べている売上等を一括計上する必要がありますが、リース契約の移転を受けた相続人がいる場合は、相続人がリース譲渡の特例計算を承継します。

この相続人が、
・リース契約の解除
・リース契約の移転
をした場合は、リース譲渡の特例計算が終了するため、繰り延べている売上や経費の一括計上が必要となります。

亡くなった個人事業者が既に回収した代金については、事業を承継した相続人が代金を回収したものとして、繰延計算する必要があります。亡くなった個人事業者の所得計算で考慮されているからです。

相続した年に契約を解除した場合

リース事業を相続した年にリース契約を解除した場合、
・1月1日から個人事業者が亡くなった日(Aとします。)
・リース契約を承継した日からリース契約を解除した日(Bとします。)
の2つに分かれます。

Aの期間については、亡くなった個人事業者の売上や経費となるのでしょうか?リース契約を承継した相続人の売上や経費となるのでしょうか?

答えは、亡くなった個人事業者の売上や経費となります。
Bの期間については、リース契約を承継した相続人の売上や経費となります。

リース契約の解除による残額(Bより後の期間の部分)については、相続人の売上や経費として計上する必要があります。

相続が発生した場合、法定相続分で不動産収入などを按分する取扱いがありますが、リース譲渡の計算についても同様の取扱いとなるのでしょう。

参考規定

リース譲渡の特例計算を選択している個人事業者が亡くなった場合等

5 リース譲渡に係る収入金額及び費用の額につき法第六十五条第二項の規定の適用を受けている居住者が第一項各号に掲げる場合に該当することとなつたときは、その該当することとなつた日の属する年以前の各年においてその者がしたリース譲渡に係る収入金額及び費用の額(当該各年分の事業所得の金額の計算上総収入金額及び必要経費に算入されるものを除く。)は、同条第二項の規定にかかわらず、その者の同日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。

所得税法施行令191条第5項、施行日令和6年4月1日

リース譲渡の特例計算の引継ぎ

6 リース譲渡に係る収入金額及び費用の額につき法第六十五条第二項の規定の適用を受けている居住者が死亡した場合において、その者の当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人が当該居住者から同項の規定の適用を受けているリース譲渡に係る契約の移転を受けたときは、当該死亡の日の属する年以後の各年分における当該相続人の同項の規定の適用については、当該リース譲渡に係る対価の額及び原価の額並びにリース期間(第百八十八条第一項第二号イに規定するリース期間をいう。以下この項において同じ。)は当該相続人が行つたリース譲渡に係る対価の額及び原価の額並びにリース期間と、当該居住者がした法第六十五条第三項の明細の記載は当該相続人がしたものと、それぞれみなす。

所得税法施行令191条第6項、施行日令和6年4月1日

リース事業を承継した相続人が契約を解除した場合

7 前項に規定する居住者が死亡した場合において、その者の同項に規定する事業を承継した相続人が、法第六十五条第二項の規定の適用を受けているリース譲渡に係る契約の解除又は他の者に対する移転をした場合には、そのリース譲渡に係る収入金額及び費用の額(その居住者の各年分の事業所得の金額又は当該相続人のその年の前年分以前の各年分の事業所得の金額の計算上総収入金額及び必要経費に算入されるものを除く。)は、その該当することとなつた年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。

所得税法施行令191条第7項、施行日令和6年4月1日
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