リース取引に該当しない賃貸借取引に関する法律案


今回は、リース取引に該当しない賃貸借取引に関する法律案を確認してみましょう。

法律案

法律案が公表されていますので確認してみましょう。

第五十三条 内国法人が資産の賃貸借で第六十四条の二第三項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定するリース取引以外のもの(以下この項において「賃貸借取引」という。)によりその賃貸借取引の目的となる資産の賃借を行つた場合において、その賃貸借取引に係る契約をした事業年度以後の各事業年度においてその契約に基づき当該内国法人が支払うこととされている金額(その資産の賃借のために要する費用の額又はその資産を事業の用に供するために直接要する費用の額を含むものとし、次に掲げる額に該当するものを除く。)があるときは、その支払うこととされている金額のうち当該各事業年度において債務の確定した部分の金額は、当該各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入する。
一 第二十二条第三項第一号(各事業年度の所得の金額の計算の通則)に掲げる原価の額
二 固定資産の取得に要した金額とされるべき費用の額及び繰延資産となる費用の額

2 前項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

参考リンク、財務省、第217回国会における財務省関連法律
https://www.mof.go.jp/about_mof/bills/217diet/index.html

法人税法上のリース取引(ファイナンス・リース取引)に該当しない資産の賃貸借を「賃貸借取引」といいます。

法人が支払うこととされている金額のうち、債務が確定した部分が経費(損金算入)となります。

支払金額については、
・資産を借りるために要する費用
・資産を事業の用に供するための費用
の2つを含みます。

・原価の額
・固定資産の付随費用や繰延資産の対象となる費用
の2つについては、支払金額から除外されます。

法人税法上のリース取引

法人税法上のリース取引の定義は変わらないと思いますが、気になるところがありますので確認してみましょう。

3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。
二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。

法人税法第64条の2第3項、施行日令和7年1月1日

法人税法の定義では、資産の賃貸借から
・所有権が移転しない土地の賃貸借など
が除外されます。

施行令に規定されていますので確認してみましょう。

(リース取引の範囲)
第百三十一条の二 法第六十四条の二第三項(リース取引に係る所得の金額の計算)に規定する政令で定める資産の賃貸借は、土地の賃貸借のうち、第百三十八条(借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入)の規定の適用のあるもの及び次に掲げる要件(これらに準ずるものを含む。)のいずれにも該当しないものとする。
一 当該土地の賃貸借に係る契約において定められている当該賃貸借の期間(以下この項及び次項において「賃貸借期間」という。)の終了の時又は当該賃貸借期間の中途において、当該土地が無償又は名目的な対価の額で当該賃貸借に係る賃借人に譲渡されるものであること。
二 当該土地の賃貸借に係る賃借人に対し、賃貸借期間終了の時又は賃貸借期間の中途において当該土地を著しく有利な価額で買い取る権利が与えられているものであること。

法人税法施行令第131条の2第1項、施行日令和7年1月1日

土地の賃貸借のうち
・借地権の設定等により土地の簿価の一部を損金算入するもの
・一定の要件を満たすもの
のいずれにも該当しないものは、法人税法上のリース取引(ファイナンス・リース取引)から除外されます。

一定の要件は、次の2つです。
・無償や名目的な対価で土地が売却されるもの(所有権移転リース取引)
・著しく有利な価額で土地を買い取る権利があるもの(所有権移転リース取引)

一般的な土地の賃貸借取引については、法人税法の賃貸借取引(オペレーティング・リース取引)に該当することになります。

参考情報

国税庁、【新設】(これらに準ずるものの意義)
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/hojin/7081/08.htm

細かい内容ですが
・法人税法の借地権の設定等の取扱いがある借地権(建物又は構築物)
・リース会計基準の借地権(建物)
この2つの範囲が少し異なります。

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