リース取引の分割控除とインボイス


今回は、リース取引の分割控除を確認してみましょう。
インボイス制度に伴ってどういう取扱いになるのでしょうか。

公益社団法人リース事業協会の情報

2023/4/4、情報を追加しました。

公益社団法人リース事業協会が
リース取引のインボイス(2023年3月)を公表しています。
公益社団法人リース事業協会、リース取引のインボイス(2023年3月)
https://www.leasing.or.jp/studies/docs/invoice202303.pdf

リース取引の課税関係に変更がないため、
2023年10月1日以後に課税資産の譲渡等を行った場合は、
インボイスの交付義務が生じます。

2023年9月30日までにリース取引が開始した場合

内容2023年
9月30日以前
2023年
10月1日以後
ファイナンスリース
(売買取引)
旧法によりインボイスの交付義務なし

買い手は、請求書等の保存が必要
経過措置によりインボイスの交付義務なし

買い手は分割控除を選択した場合であっても、インボイスの保存は不要
(左記の時点でインボイスでない請求書等の保存は必要)
オペレーティング
リース
(賃貸借取引)
旧法によりインボイスの交付義務なし新法によりインボイスの交付義務あり
買い手はインボイスの保存が必要
2023年9月30日までにリース取引が開始した場合

2023年10月1日以後リース取引が開始した場合

内容2023年
9月30日以前
2023年10月1日以後に
リース取引が開始した場合
ファイナンスリース
(売買取引)
新法によりインボイスの交付義務あり
買い手はインボイスの保存が必要
オペレーティング
リース
(賃貸借取引)
新法によりインボイスの交付義務あり
買い手はインボイスの保存が必要
2023年10月1日以後リース取引が開始した場合

参考規定

(適格請求書等の交付に関する経過措置)

第五十条 この附則に別段の定めがあるものを除き、新消費税法第五十七条の四第一項の規定は、五年施行日以後に国内において事業者が行う課税資産の譲渡等について適用する。

 事業者が、五年施行日に行った消費税法第十六条第一項に規定するリース譲渡(三十年改正法第五条の規定による改正前の消費税法第十六条第一項に規定する長期割賦販売等及び旧効力消費税法第十六条第一項に規定する長期割賦販売等を含む。以下この項において同じ。)につき、当該リース譲渡に係る賦払金の額で五年施行日以後にその支払の期日が到来するものがあるときは、当該リース譲渡のうち五年施行日以後に行ったものとみなされる部分の課税資産の譲渡等については、新消費税法第五十七条の四第一項の規定は、適用しない。

消費税法附則(平成二八年三月三一日法律第一五号)
現行の取扱い

リース取引は、資産の貸し借りであっても、
資産の売買があったものとして、会計処理や税務処理を行います。

例えば、600万円の機械を60回払いで
リース取引に該当する賃貸借を行った場合、
原則として600万円の固定資産を買ったものとして処理します。

分割支払いであっても、
600万円×10%=60万円の消費税が発生します。
借り手は、60万円の消費税控除が可能となります。

支払利息を考慮しない仕訳は、次のとおりです。

借方貸方
リース資産 600万円リース債務 660万円
仮払消費税 60万円
ファイナンスリースの仕訳
分割控除の取扱い

原則は、固定資産を買ったものとして処理しますが、
簡便性を考慮して、賃借料処理が認められています。

上記の例だと、次のとおりです。

借方貸方
賃借料 10万円現金 11万円
仮払消費税 1万円
オペレーティングリースの仕訳

※ 60回仕訳をきります。

参考情報
国税庁、質疑応答事例
所有権移転外ファイナンス・リース取引について賃借人が賃貸借処理した場合の取扱い
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shohi/16/23.htm

インボイス制度では?

貸し手はインボイス(請求書)を発行し、
借り手がインボイス(請求書)を保存する。
この仕組みに大きな変更点はありません。

気になる点をいくつか。
貸し手がインボイスを発行しなかった場合の借り手の処理
1、リース開始時に、経過措置により80%で一括控除する。
2、経過措置により80%で分割控除できる。
3、分割控除を選択した場合、80%控除から50%控除に切り替えが必要か。

→ リース取引発生時の課税関係で判断します。

貸し手がインボイスを途中から発行した場合の借り手の処理
・経過措置の80%を選択後、インボイスを入手した後から100%控除に切り替えられるか。

逆に、貸し手がインボイスの発行を途中で止めた場合の借り手の処理
・インボイスが入手できなくなった後は、経過措置の80%(50%)に切り替えが必要か。

売り手がインボイスを発行しないケースは考えにくいところですが、
基本的には、リース取引発生時の課税関係で判断するのでしょう。

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