リース延払基準の消費税


今回は、リース延払基準の消費税を確認してみましょう。

リース延払基準

リース譲渡については、次の3つの特例が設けられています。
1、延払基準の経理(賦払金割合に応じて計上する方法)
2、延払基準の経理(リース期間に応じて計上する方法)
3、リース譲渡の特例計算

個人事業者や法人が2の延払基準の経理を選択した場合、
消費税の特例は、2の計算となります。

消費税のリース譲渡の特例については、法人税や所得税と異なり、売上(リース譲渡延払収益額)のみ適用できます。リース譲渡に関するコスト(課税仕入れ)については、特例が適用できないため注意が必要です。

リース延払基準の計算について、次のケースで確認してみましょう。
・個人事業者
・リース譲渡の売上 3,600
・リース期間 3年
・リース開始日 X-1年1/1
・延払基準の経理、リース期間に応じて計上する方法を選択

この場合、X-1年分の売上については、X年1/1以後の売上を繰り延べることができるため、リース売上3,600-リース譲渡延払収益額2,400=1,200となります。

リース譲渡延払収益額 2,400=1,200+1,200
・X-1年12/31 1,200
・X年12/31 1,200

リース譲渡した後の取扱い

上記のケースで確認してみましょう。

リース譲渡延払収益額は、1年で1,200減少します。
・X-1年12/31 2,400=1,200+1,200
・X年12/31 1,200
・X+1年12/31 0

そのため、X年分の売上については1,200、
X+1年分の売上も同額の1,200となります。

課税期間を短縮した場合

課税期間(消費税の計算期間)を
12月から3月に短縮した場合はどうなるでしょうか?

短縮した各課税期間で売上を計上する場合は、
・1月-3月 300
・4月-6月 300
・7月-9月 300
・10月-12月 300
となりますが、リース譲渡については、各課税期間で計算するのではなく、
・個人事業者の場合は、12/31に属する課税期間
・法人の場合は、事業年度終了日の属する課税期間
で売上を計上する必要があります。

具体的には、
・1月-3月 0
・4月-6月 0
・7月-9月 0
・10月-12月 1,200
となります。

所得税や法人税には、課税期間を短縮する制度がなく、
・個人事業者の場合は暦年ごと
・法人の場合は事業年度ごと
に延払基準の経理判定を行うため、消費税の課税期間ごとに
リース譲渡の特例計算を認める理由がないからでしょう。

参考規定

リース譲渡した課税期間の取扱い

(リース延払基準の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十二条の二 法第十六条第一項の事業者の同項に規定する延払基準の方法が所得税法施行令(昭和四十年政令第九十六号)第百八十八条第一項第二号(延払基準の方法)又は法人税法施行令第百二十四条第一項第二号(延払基準の方法)に掲げる方法である場合には、法第十六条第一項の規定にかかわらず、同項の規定により当該事業者が同項のリース譲渡をした日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかつたものとみなされる部分は、当該リース譲渡のうち当該リース譲渡に係る所得税法第六十五条第一項(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)又は法人税法第六十三条第一項(リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)に規定する各年又は各事業年度(当該課税期間の翌課税期間の初日以後にその年の十二月三十一日又はその事業年度終了の日が到来するものに限る。)のリース譲渡延払収益額(これらの規定により当該各年の総収入金額に算入される収入金額又は当該各事業年度の益金の額に算入される収益の額をいう。)に係る部分とし、当該リース譲渡に係る対価の額から控除することができる対価の額は、当該部分に係る対価の額とする。

消費税法第32条の2第1項、施行日令和6年4月1日

リース譲渡した課税期間の後の取扱い

2 前項の場合において、法第十六条第一項及び前項の規定によりリース譲渡をした日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかつたものとみなされた部分につき同条第二項本文の規定により資産の譲渡等を行つたものとみなされる部分は、同項本文及び第三十一条の規定にかかわらず、当該リース譲渡に係る対価の額のうち前項に規定する各年又は各事業年度における同項のリース譲渡延払収益額に係る部分とし、当該リース譲渡延払収益額につき資産の譲渡等を行つたものとみなされる当該課税期間の翌課税期間以後の各課税期間は、当該各年又は各事業年度のそれぞれの年の十二月三十一日の属する課税期間又はそれぞれの事業年度終了の日の属する課税期間とする。

消費税法第32条の2第2項、施行日令和6年4月1日


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