リース譲渡の特例計算と消費税


今回は、リース譲渡の特例計算と消費税を確認してみましょう。

リース譲渡の特例計算

リース譲渡については、次の3つの特例が設けられています。
1、延払基準の経理(賦払金割合に応じて計上する方法)
2、延払基準の経理(リース期間に応じて計上する方法)
3、リース譲渡の特例計算

個人事業者や法人が1の延払基準の経理を選択した場合、
消費税の特例は、1の計算となります。

2の延払基準の経理を選択した場合、
消費税の特例は、2の計算となります。

3のリース譲渡の特例計算を選択した場合、
消費税の特例は、3の計算となります。

いずれの方法も、リース譲渡の売上を翌年や翌事業年度に繰り延べるもので、繰り延べる方法と金額が異なります。

リース譲渡した年や事業年度に計上する売上は、
・リース譲渡の対価(全額)-リース譲渡収益額(繰り延べる売上)
となります。

参考規定

(リース譲渡の特例計算の方法により経理した場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十六条の二 事業者がリース譲渡を行つた場合において、当該事業者(相続により当該事業者の当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人、合併により当該事業を承継した合併法人及び分割により当該リース譲渡に係る事業を承継した分割承継法人を含む。以下この条において同じ。)が当該リース譲渡につき所得税法第六十五条第二項(リース譲渡に係る収入及び費用の帰属時期)又は法人税法第六十三条第二項本文(リース譲渡に係る収益及び費用の帰属事業年度)の規定の適用を受けるときは、当該リース譲渡のうち当該リース譲渡に係るこれらの規定に規定する各年又は各事業年度(当該リース譲渡をした日の属する課税期間の翌課税期間の初日以後にその年の十二月三十一日又はその事業年度終了の日が到来するものに限る。)のリース譲渡収益額(これらの規定により当該各年の総収入金額に算入される収入金額又は当該各事業年度の益金の額に算入される収益の額をいう。次項及び第三項において同じ。)に係る部分については、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行わなかつたものとみなして、当該部分に係る対価の額を当該課税期間における当該リース譲渡に係る対価の額から控除することができる。

消費税法施行令第36条の2第1項、施行日令和6年4月1日
リース譲渡後の取扱い

リース譲渡の特例計算により繰り延べられた売上(リース譲渡収益額)は、リース期間に応じて売上を計上する必要があります。

課税期間(消費税の計算期間)を短縮している場合は、短縮された各課税期間に売上を計上するのではなく、年末又は事業年度終了日の属する課税期間に売上を計上するため注意しましょう。

例えば、個人事業者が課税期間を3月に短縮している場合、
課税期間が次の4つに分かれます。
・1月-3月
・4月-6月
・7月-9月
・10月-12月

リース売上を計上する課税期間は、1月-9月の課税期間ではなく、
年末の属する課税期間(10月-12月)となります。

参考規定

2 前項の規定によりリース譲渡をした日の属する課税期間において資産の譲渡等を行わなかつたものとみなされた部分は、同項の事業者が同項に規定する各年又は各事業年度のリース譲渡収益額に係る部分につきそれぞれの年の十二月三十一日の属する課税期間又はそれぞれの事業年度終了の日の属する課税期間において、資産の譲渡等を行つたものとみなす。

消費税法施行令第36条の2第2項、施行日令和6年4月1日
リース契約の解除や移転があった場合等

リース契約の解除や移転があった場合は、リース譲渡の特例計算が終了します。

リース譲渡の特例計算が終了する事由は、次の5つです。
・非適格株式交換等の特例(法人税法第63条第2項ただし書き)
・通算制度の特例(法人税法第63条第2項ただし書き)
・リース契約の解除・移転(法人税法施行令第125条第2項)
・普通法人等が公益法人等に移行する場合(法人税法施行令第125条第3項)
・リース契約の解除・移転(所得税法施行令第189条第2項)

参考規定

3 前項の規定の適用を受けている事業者が同項のリース譲渡に係る対価の額につき法人税法第六十三条第二項ただし書若しくは法人税法施行令第百二十五条第二項若しくは第三項(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理)又は所得税法施行令第百八十九条第二項(延払基準の方法により経理しなかつた場合等の処理)の規定の適用を受けることとなつた場合には、当該リース譲渡で前項の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る対価の額で同法第六十三条第二項ただし書若しくは法人税法施行令第百二十五条第二項の規定の適用を受けた事業年度終了の日の属する課税期間若しくは同条第三項に規定する前日の属する事業年度終了の日の属する課税期間又は所得税法施行令第百八十九条第二項の規定の適用を受けた年の十二月三十一日の属する課税期間(以下この項において「特定課税期間」と総称する。)以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額に係る部分については、前項の規定にかかわらず、当該事業者が当該特定課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。

消費税法施行令第36条の2第3項、施行日令和6年4月1日
確定申告書の付記

消費税のリース譲渡の特例計算を適用する場合は、消費税の確定申告書にリース譲渡の特例計算を適用する旨を付記する必要があります。

消費税の確定申告書を確認してみましょう。

参考情報、法人用、消費税の確定申告書、第一表https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/shinkoku/shohi/07/ippan_houjin.pdf

用紙の右側に「付記事項」「延払基準等の適用」の有に〇を付けます。
(「等」はリース譲渡の特例計算のことです。)

参考規定

5 第一項又は第二項の規定の適用を受けようとする事業者は、法第十六条第三項に規定する申告書(法第四十二条第一項、第四項又は第六項の規定による申告書で法第四十三条第一項各号に掲げる事項を記載したものを含む。)にその旨を付記するものとする。

消費税法施行令第36条の2第5項、施行日令和6年4月1日
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