今回は、リース譲渡の特例計算の準用規定を確認してみましょう。
リース譲渡の特例は3種類
リース譲渡については、次の3つの特例が設けられています。
1、延払基準の経理(賦払金割合に応じて計上する方法)
2、延払基準の経理(リース期間に応じて計上する方法)
3、リース譲渡の特例計算
リース譲渡の売上を繰り延べる特例は3つありますが、リース譲渡の特例が終了する規定は1種類(1の賦払金割合に応じて計上する方法)しかありません。
2の延払基準の経理については、1種類の規定を読み替えます。
3のリース譲渡の特例計算はどうなるのでしょうか?
実際に規定を確認してみましょう。
4 第三十二条第三項の規定は第二項の規定の適用を受けている事業者が同項の規定の適用を受けないこととした場合について、第三十三条の規定は当該事業者が同条各号に掲げる場合に該当することとなつた場合について、第三十四条第一項の規定は当該事業者(個人事業者に限る。)が同項各号に掲げる場合に該当することとなつた場合について、第三十五条第一項の規定は当該事業者(法人に限る。)が同項各号に掲げる場合に該当することとなつた場合について、同条第五項の規定は当該事業者(法人に限る。)が分割により当該リース譲渡に係る事業を分割承継法人に承継させた場合について、それぞれ準用する。
この場合において、第三十二条第三項中「同条第二項本文」とあるのは「第三十六条の二第二項」と、「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)」とあるのは「以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額(同条第一項に規定するリース譲渡収益額をいう。第三十三条から第三十五条までにおいて同じ。)」と、「同項本文」とあるのは「第三十六条の二第二項」と、
第三十三条、第三十四条第一項及び第三十五条第一項中「リース譲渡で同項本文」とあるのは「リース譲渡で第三十六条の二第二項」と、「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)」とあるのは「以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額」と、「同項本文の規定にかかわらず」とあるのは「同項の規定にかかわらず」と読み替えるものとする。
消費税法施行令第36条の2第4項、施行日令和6年4月1日
一部改行しています。
準用規定の対象
3のリース譲渡の特例計算は、準用規定です。
似たような規定があるのでその規定を利用することになります。
準用規定をまとめてみましょう。
・第32条3項の規定は、第2項の適用を受けている事業者が第2項の適用を受けない場合
・第33条の規定は、第33条各号に該当する場合
・第34条第1項の規定は、個人事業者が第1項各号に該当する場合
・第35条第1項の規定は、法人が第1項各号に該当する場合
・第35条第5項の規定は、分割によりリース事業を承継させた場合
について準用します。
第32条第3項は、消費税の延払基準の特例を止める規定です。第2項は、第36条の2(リース譲渡の特例計算)第2項(リース譲渡後の取扱い)を指しています。
リース譲渡の特例計算を選択した場合に、消費税のリース譲渡の特例計算だけを止めることができます。
第33条には、納税義務が変わる場合に延払基準の特例が終了することが規定されています。リース譲渡の特例計算を選択した場合に、納税義務が変わるとリース譲渡の特例計算が終了します。
第34条第1項には、個人事業者の延払基準の特例の終了事由が規定されています。第35条第1項には、合併等があった場合の延払基準の特例の終了事由が規定されています。第35条第5項は、分割等があった場合が規定されています。
リース譲渡の特例計算を選択した場合であっても、延払基準の経理の取扱いと変わらないことになります。
第32条第3項読み替え
読み替える規定が4つありますので、1つずつ確認してみましょう。
読替規定
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この場合において、第三十二条第三項中「同条第二項本文」とあるのは「第三十六条の二第二項」と、「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)」とあるのは「以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額(同条第一項に規定するリース譲渡収益額をいう。第三十三条から第三十五条までにおいて同じ。)」と、「同項本文」とあるのは「第三十六条の二第二項」と、
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第32条第3項を読み替えてみましょう。
3 リース譲渡につき法第十六条第一項の規定の適用を受けている事業者が同項の規定の適用を受けることとした課税期間の翌課税期間以後のいずれかの課税期間において同項の規定の適用を受けないこととした場合(前二項に規定する場合に該当する場合を除く。)には、その適用を受けないこととした課税期間の初日の前日以前に行つたリース譲渡で第三十六条の二第二項の規定の適用を受けていたもののうち、その適用を受けないこととしたリース譲渡に係る対価の額で当該課税期間以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額(同条第一項に規定するリース譲渡収益額をいう。第三十三条から第三十五条までにおいて同じ。)に係る部分は、第三十六条の二第二項の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
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リース譲渡の特例計算を選択していた場合に、消費税のリース譲渡の特例計算を止めることができます。
第33条読み替え
読替規定
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第三十三条、第三十四条第一項及び第三十五条第一項中「リース譲渡で同項本文」とあるのは「リース譲渡で第三十六条の二第二項」と、「賦払金の額」とあるのは「対価の額」と、「の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)」とあるのは「以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額」と、「同項本文の規定にかかわらず」とあるのは「同項の規定にかかわらず」と読み替えるものとする。
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第33条を読み替えてみましょう。
(納税義務の免除を受けることとなつた場合等の処理)
第三十三条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている事業者が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた課税期間の初日の前日以前に行つたリース譲渡で第三十六条の二第二項の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る対価の額で当該課税期間以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額に係る部分は、同項の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間の初日の前日において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が同項本文の規定の適用を受けることとなつた場合
二 事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者に限る。)が同項本文の規定の適用を受けないこととなつた場合
リース譲渡の特例計算を選択していた場合に、納税義務が変わったときは、リース譲渡の特例計算が終了します。
第34条読み替え
第34条第1項を読み替えてみましょう。
(事業の廃止、死亡等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十四条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている個人事業者が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた日の属する課税期間の初日の前日以前に当該個人事業者が行つたリース譲渡で第三十六条の二第二項の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る対価の額で当該課税期間以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額に係る部分は、同項の規定にかかわらず、当該個人事業者が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 当該個人事業者が死亡した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人がないとき。
二 当該個人事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が死亡した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人が同項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者であるとき。
三 当該個人事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者に限る。)が死亡した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した相続人が同項本文の規定の適用を受けない事業者であるとき。
四 当該個人事業者が当該リース譲渡に係る事業の全部を譲渡し、又は廃止した場合
個人事業者がリース譲渡の特例計算を選択していた場合に、事業の廃止等があったときは、原則としてリース譲渡の特例計算が終了します。
第35条第1項読み替え
第35条第1項を読み替えてみましょう。
(合併等の場合のリース譲渡に係る資産の譲渡等の時期の特例)
第三十五条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている法人が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた日の属する課税期間の初日の前日以前に当該法人が行つたリース譲渡で第三十六条の二第二項の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る対価の額で当該課税期間以後の各課税期間におけるリース譲渡収益額に係る部分は、同項の規定にかかわらず、当該法人が当該課税期間において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 当該法人(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人を除く。)が合併により消滅した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した合併法人が同項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人であるとき。
二 当該法人(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される法人に限る。)が合併により消滅した場合において、当該リース譲渡に係る事業を承継した合併法人が同項本文の規定の適用を受けない法人であるとき。
三 当該法人が当該リース譲渡に係る事業の全部を譲渡した場合
法人がリース譲渡の特例計算を選択していた場合に、事業の廃止や合併があったときは、原則としてリース譲渡の特例計算が終了します。分割によりリース事業を承継させた場合も、同様です。