リース譲渡期間中に免税事業者となった場合等


今回は、リース譲渡期間中に免税事業者となった場合等を確認してみましょう。

途中で免税事業者となった場合

一定の資産の賃貸借については、資産の売買として処理(リース取引・リース譲渡)が必要となります。

リース譲渡については、資産の売買として取り扱われますが、代金を分割して回収しますので、リース売上の分割計上が認められています。

リース売上を分割して計上している途中に、消費税の免税事業者となった場合は、分割計上の特例が終了し、未回収の残額を免税事業者になる前の期(課税事業者のとき)に一括計上する必要があります。

次のケースで確認してみましょう。
・リース売上高 1,000
・1期目の回収額、250、課税事業者
・2期目の回収額、250、課税事業者
・3期目の回収額、250、免税事業者
・4期目の回収額、250、課税事業者

免税事業者となる3期目に分割計上の特例が終了するため、未回収の残高(3期の250+4期の250=500)を2期に一括計上することになります。

4期目に課税事業者に戻りますが、免税事業者となるタイミングで残額を精算する必要がありますので注意しましょう。

途中で課税事業者となった場合

リース売上高を分割して計上している途中に、消費税の課税事業者となった場合も、分割計上の特例が終了します。未回収の残額を課税事業者になる前の期(免税事業者のとき)に一括計上する必要があります。

次のケースで確認してみましょう。
・リース売上高 2,000
・1期目の回収額、500、免税事業者
・2期目の回収額、500、免税事業者
・3期目の回収額、500、課税事業者
・4期目の回収額、500、免税事業者

課税事業者となる3期目に分割計上の特例が終了するため、未回収の残高(3期の500+4期の500=1,000)を2期に一括計上することになります。

4期目に免税事業者に戻りますが、課税事業者となるタイミングで残額を精算する必要があります。

インボイス登録の経過措置がある場合

免税事業者のインボイス登録については、
特例(経過措置)が用意されています。

特例によりインボイスの登録申請をした場合、
「登録開始日」から消費税を納める必要が生じます。

1つの課税期間(消費税の計算期間)の中に
・免税の期間
・課税の期間
が混在することになります。

リース譲渡の特例計算の終了は、課税期間を基準に適用します。仮に課税期間の途中で課税事業者となった場合であっても、1つ前の課税期間で残額が精算されることになります。

1つ前の課税期間が課税事業者の場合は、
・前期は課税
・当期は免税→登録開始日以後課税
となり、課税事業者から免税事業者に変わるため、
課税事業者のときに残額を精算する必要があります。

参考規定

リース譲渡期間中に課税事業者となった場合等

(納税義務の免除を受けることとなつた場合等の処理)
第三十三条 リース譲渡につき法第十六条第二項本文の規定の適用を受けている事業者が次に掲げる場合に該当することとなつた場合には、その該当することとなつた課税期間の初日の前日以前に行つたリース譲渡で同項本文の規定の適用を受けていたもののうち、当該リース譲渡に係る賦払金の額で当該課税期間の初日以後にその支払の期日が到来するもの(当該課税期間の初日の前日以前に既に支払を受けたものを除く。)に係る部分は、同項本文の規定にかかわらず、当該事業者が当該課税期間の初日の前日において資産の譲渡等を行つたものとみなす。
一 事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。)が同項本文の規定の適用を受けることとなつた場合
二 事業者(法第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者に限る。)が同項本文の規定の適用を受けないこととなつた場合

消費税法施行令第33条、施行日令和6年4月1日

1号が課税事業者から免税事業者
2号が免税事業者から課税事業者

インボイス登録の経過措置

4 新消費税法第五十七条の二第二項の申請書を提出した事業者(登録開始日が五年施行日から五年施行日以後六年を経過する日までの日の属する課税期間中である事業者に限る。)の当該登録開始日の属する課税期間(その基準期間における課税売上高が千万円を超える課税期間、消費税法第九条第四項の規定による届出書の提出により、又は同法第九条の二第一項、第十条第二項、第十一条第二項から第四項まで、第十二条第一項から第四項まで若しくは第六項、第十二条の二第一項若しくは第二項、第十二条の三第一項若しくは第三項若しくは第十二条の四第一項から第三項までの規定により消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間及び当該登録開始日の前日までに同法第十条第一項の相続、同法第十一条第一項の合併又は同法第十二条第五項の吸収分割があったことにより消費税を納める義務が免除されないこととなる課税期間を除く。)のうち当該登録開始日から当該課税期間の末日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、消費税法第九条第一項本文の規定は、適用しない。

消費税法附則第44条第4項
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