一括償却資産の取扱い_所得税


今回は、個人事業者(所得税)の一括償却資産の取扱いを確認してみましょう。

内容

購入金額が10万円以上20万円未満の減価償却資産を
「一括償却資産」といいます。

一括償却資産については、通常の減価償却ではなく、
一括して3年で均等に費用処理することが可能です。

個人事業者については、一括償却資産の取扱いが認められる所得は、
不動産所得、事業所得、山林所得、雑所得の4つです。

手続き

一括償却資産は特例ですので、使用する場合は、
確定申告書に「一括償却対象額を記載した書類」を添付して、
その計算書類を保存する必要があります。

一括償却資産の必要経費を計算した場合は、
確定申告書に「必要経費を計算した明細書」を添付する必要があります。

令和3年分の収支内訳書、2ページ目、減価償却費の計算
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r03/07.pdf

国税庁、収支内訳書(一般用)
貸付け用は特例の対象外

令和4年4月1日以後に取得した貸付用の減価償却資産については、
一括償却資産の特例が適用できなくなりました。

租税回避を防止するための改正です。
貸付用の詳細については別途確認します。

参考リンク
特例対象外の貸付用の減価償却資産_所得税

開業年の取扱い

所得税の一括償却資産については、
暦年の中途に開業した場合であっても、月数計算が不要です。

例えば、令和4年10月1日に
一括償却資産60万円(15万円×4個)を取得した場合。

所得税の減価償却費は、
15万円×4=60万円×1/3=20万円となります。

参考規定など

(一括償却資産の必要経費算入)
第百三十九条 居住者が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供した減価償却資産で取得価額が二十万円未満であるもの(第百二十条第一項第六号及び第百二十条の二第一項第六号(減価償却資産の償却の方法)に掲げるもの並びに前条第一項の規定の適用があるものを除く。以下この項において「対象資産」という。)については、その居住者が当該対象資産(貸付け(主要な業務として行われるものを除く。)の用に供したものを除く。)の全部又は特定の一部を一括したもの(以下この項及び次項において「一括償却資産」という。)の取得価額の合計額をその業務の用に供した年以後三年間の各年の費用の額とする方法を選択したときは、第四款(減価償却資産の償却)の規定にかかわらず、当該一括償却資産につき当該各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、当該一括償却資産の取得価額の合計額(次項及び第三項において「一括償却対象額」という。)を三で除して計算した金額とする。

2 前項の規定は、一括償却資産を業務の用に供した日の属する年分の確定申告書に一括償却対象額を記載した書類を添付し、かつ、その計算に関する書類を保存している場合に限り、適用する。

3 居住者は、その年において一括償却対象額につき必要経費に算入した金額がある場合には、その年分の確定申告書に、第一項の規定により必要経費に算入される金額の計算に関する明細書を添付しなければならない。

4 前二項に定めるもののほか、第一項に規定する主要な業務として行われる貸付けに該当するかどうかの判定その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、財務省令で定める。

所得税法施行令

(施行期日)
第一条 この政令は、令和四年四月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

(少額の減価償却資産等に関する経過措置)
第四条 新令第百三十八条及び第百三十九条の規定は、個人が施行日以後に取得又は製作若しくは建設をする減価償却資産について適用し、個人が施行日前に取得又は製作若しくは建設をした減価償却資産については、なお従前の例による。

所得税法附則、令和4年4月1日施行開始

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