中堅企業向け賃上げ促進税制の特定法人


今回は、中堅企業向け賃上げ促進税制の特定法人を確認してみましょう。

賃上げ促進税制の特定法人

令和6年度改正で中堅企業向けの賃上げ促進税制が設けられます。
要件の1つに
・事業年度終了時に特定法人に該当すること
があります。

今回確認する特定法人は、
電子申告義務がある特定法人と異なります。

定義を確認してみましょう。

十 特定法人 常時使用する従業員の数が二千人以下の法人(当該法人及び当該法人との間に当該法人による法人税法第二条第十二号の七の五に規定する支配関係がある他の法人の常時使用する従業員の数の合計数が一万人を超えるものを除く。)をいう。

新租税特別措置法第42条の12の5第5項第10号

常時使用する従業員数が2,000人以下の法人を
特定法人といいます。

ただし、
・判定の対象となる法人
・判定の対象となる法人が支配している法人(子法人や孫法人等)
の従業員数の合計が10,000人を超える場合は、
特定法人から除外されます。

支配関係

支配関係については、従前の取扱い(50%超判定)と同じです。

十二の七の五 支配関係 一の者が法人の発行済株式若しくは出資(当該法人が有する自己の株式又は出資を除く。以下この条において「発行済株式等」という。)の総数若しくは総額の百分の五十を超える数若しくは金額の株式若しくは出資を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係(以下この号において「当事者間の支配の関係」という。)又は一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係をいう。

法人税法第2条第12号の7の5

支配関係は次の2つです。
・当事者間の支配の関係
・一の者との間に当事者間の支配の関係がある法人相互の関係

留意点

50%超の支配関係グループ全体の従業員数が10,000人を超えていれば、
グループ全社が特定法人に該当しなくなると考えるのでしょうね。

ただし、特定法人を判定するタイミングは、
各法人の事業年度終了の時となるため、
決算日が異なる場合は、その都度人数の判定が必要になるのでしょう。

特定法人の判定については、中堅企業向け特例のみにあります。
特定法人に該当しない=大企業向け特例を選択ということではなく、
・大企業向け特例
・中小企業者向け特例
の判定がそれぞれ必要になるのでしょう。

改正前と改正後の比較

改正前改正後
令和6年4月1日以後開始
大企業向け特例大企業向け特例
中堅企業向け特例(新設)
(特定法人の判定が必要)
中小企業者向け特例中小企業者向け特例
(5年繰越しが追加)
5年間の繰越控除(新設)
(中小企業者に限定しない)
改正前と改正後の比較
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