事業用債権の貸倒損失


所得税の損失規定は、別段の定めです。
基本的なところは法人税と変わりません。

対象となる所得区分

対象となる所得区分は、
不動産所得、事業所得、山林所得の3つ。

雑所得は事業ではないため、別の規定で出てきます。

所法51条2項は、「事業」用債権の貸倒損失に関する規定です。

例えば、商品を掛けで販売したが、回収不能となった。
この回収不能となった売掛金については、資産損失の規定により
必要経費として処理します。

貸倒れの他にも次の場合には、資産損失の対象となります。
1、商品の返戻又は値引きがあったこと
2、求償権の一部が行使できなくなったこと
3、無効な行為や取消しにより行為が取り消されたこと

売上返品や売上値引きも所得税では、
資産損失として取扱います。

実務上は、売上のマイナスや売上値引き等で処理します。

参考規定

2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

所得税法51条

(必要経費に算入される損失の生ずる事由)
第百四十一条 法第五十一条第二項(資産損失の必要経費算入)に規定する政令で定める事由は、次に掲げる事由で不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の遂行上生じたものとする。
一 販売した商品の返戻又は値引き(これらに類する行為を含む。)により収入金額が減少することとなつたこと。
二 保証債務の履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたこと。
三 不動産所得の金額、事業所得の金額若しくは山林所得の金額の計算の基礎となつた事実のうちに含まれていた無効な行為により生じた経済的成果がその行為の無効であることに基因して失われ、又はその事実のうちに含まれていた取り消すことのできる行為が取り消されたこと。

所得税法施行令
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